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WRA6-2 高校選手権決勝後半 山梨学院-青森山田 (中村太主審)

今回は、2021年高校選手権決勝「山梨学院高等学校-青森山田高等学校」の試合を分析してみます。延長+PKまでもつれ込んだ試合ですので、全3回で分析します。

初の育成年代かつアマチュアカテゴリーの分析ということで、プロとアマチュアの違いについても考えていきます。そして、私たちが担当するアマチュアの試合にどう応用できるか考えてみたいと思います。本日もよろしくお願いします。

公式記録(クリックでPDFにジャンプします)

スクリーンショット 2021-01-12 09.01.57

46:51 中村さんにボールが当たったシーン

青森山田10松木玖生選手の気持ちはよくわかります。ただ、主審の中村さんの気持ちを考えると、あまり不満を示してもポジティブな影響はないと思います。

主審をやっていてボールに当たってしまったときには本当に申し訳なさがわいてくるので、当たらないようにしていますが、このシーン中村さんのポジションとしては当たった位置が適切ですし、当たることを分かってボールを出しているようにも見えます。ですので、お互いさまといえるシーンかなと思います。

青森山田の選手もしくはチームスタッフの方から松木選手をたしなめる声も上がっていたのはポジティブです。

再開としては、ボールの保持が変わっているので、当たった地点からの青森山田の選手1人へのドロップボールです。

61:44 用具の交換

山梨学院11広澤灯喜選手の靴に不具合があったようで、フィールドを離れました。用具の交換時の入場の承認方法の確認として、競技規則を抜粋して掲載しておきます。

用具を正す、または、取り替えるために競技のフィールドを離れた競技者は:
◦ 審判員に用具を点検されてから、復帰を認められる。
◦ 主審の承認を受けて初めて競技のフィールドに復帰できる(承認はプレーが進行中でも行うことができる)。

つまり、用具の点検は第4の審判員もしくは副審が行うことが可能で、負傷のときと同じくインプレー中でも主審が承認すれば復帰を認めることができます。主審の承認を得ずに復帰した場合には警告になってしまいますので、しっかりと審判団4人で連携・確認して対応することが大切ですね。気を付けたいところです。

広澤選手は承認をせずに入りかけてしまいましたが、この程度は見逃すのもある意味競技規則の精神なのではないでしょうか。

飲水タイムと交代が重なった時

一般的に飲水タイムと交代が重なった時には、この試合のように飲水タイム終了時に交代を行うことが多いです。なぜなんでしょうね。記録をしやすいということもあるんですかね?理由が思いつく方いらっしゃれば教えてください(笑)

85:30~ アドバンテージの連続とエリア内での事象

青森山田がボール保持している状況で、疲れてやや出足が遅れてしまった山梨学院の選手が若干遅れてチャレンジする事象が2回続き、中村さんは2回ともアドバンテージを採用しました。結果、PA内まで攻撃が進んだので、非常に有効なアドバンテージだったという風に感じます。

そんな中で、ペナルティーエリア内で接触が起きます。山梨学院19 浦田拓実選手と青森山田10松木玖生選手がもつれるような形になり、松木選手がエリア内で転倒します。接触に関しても軽微ですし、お互いボールチャレンジした中での転倒であるためノーファウルは妥当に見えます。中村さんも15mほどの最適な位置・角度からノーファウルを即座に宣告したため、何も起こりませんでした。やはり、シビアな判定時には声掛けを行うことも大切だと感じます。

また、その直後のオフサイドも最後に当たったのは山梨学院の選手でしたが、近い距離のボールに当たったため意図的なプレーとはみなせず、オフサイドの反則を採用するのは正しいと考えます。

90+0:03 ペナルティーエリア内でのノーハンド判定

山梨学院2飯弘壱大選手の腕付近にボールが当たっていますが、手・腕は完全に体につけられており、ノーハンドが妥当です。

まとめ

中村さんはタフな基準ではありましたが、高校生基準に落とし込んだ見事な基準で90分間ゲームをコントロールしていました。基本的にアドバンテージよりフリーキックを保証していたように見受けられ、その部分でも高校生だからこそそのような選択をしたのではないかと感じました。

Jリーグの基準はプロ選手が相手だからこそできる基準であると改めて感じましたし、選手のレベルに応じて判定基準を決められるからこそ人間のよさだという風に思いました。

非常にゲームも面白いもので、両チームの熱い思いがぶつかりあっていました。それに呼応する審判団のハイパフォーマンスだったと感じます。

もしよろしけれサポートいただけると幸いです いただいたサポートは、自身の審判活動の用具購入に使わせていただきます。