読書感想文(1)コナン・ドイル著、延原謙訳『緋色の研究』(新潮文庫)

はじめに

こんにちは。笛の人です。
ご覧になってくださった皆さま、ありがとうございます。

記念すべき読書感想文第一号は有名なシャーロック・ホームズの第一作目です。私は普段推理・ミステリー小説を読まないのですが、友人に勧められたので読んでみました。ホームズを読むのも初めてです。
今回読んだのは新潮文庫で、平成22年に改版されたものです。

感想

おもしろかったです。しかし、「楽しみ方、これで合ってる?」と思ってしまいました。私は推理小説を読み慣れていないのですが、「この中で誰が犯人だ?」というのを推理しながら読むものだと思っていました。でもこの作品は全くそんな事はなかったように思います。予想外の進み方だったので、ちょっと驚きました。まあおもしろかったからなんでもいいか笑。

私がこの作品で面白かったのは、解答編(第二部)を読んでから「ほー、そうやって道筋を立てていくのか」と思ったことです。これは第一部でも書かれていましたが、「分析的推理」というものがやっとわかったような気がします。ここで少し真面目な話をすると、「総合的推理」と「分析的推理」というのは普段から意識しておくと為になるなぁと思いました。普段よく使うのはやはり「総合的推理」だと思いますが、「分析的推理」によって原因を探ることで「総合的推理」に役立てる事は大いにあると思います。具体的にいうと、例えばある商品がよく売れた時に「なぜ売れたのか?」と分析的推理をすることは現実でもよくあるのではないかと思います。

あとは皮肉もいいですね。私は皮肉っぽい言い回しが結構好きなのですが、現実では人間関係を悪くしかねないのでなかなか言う機会はありません。こういうユーモアがある他の作品ってパッと思いつかないんですけど、何かありますかね。E・ブロンテ『嵐が丘』なんかは皮肉もたくさんあったと思いますが、ちょっと嫌味が強過ぎます笑。皮肉繋がりでいうと、ホームズが何度も言及している「結局警察の手柄になる」というのが印象的です。「世のなかというものは、実際になにを為したかの問題じゃない。肝心なのは世間の人になにかを為したと信じさせることだけだ」という台詞が最も端的でわかりやすいです。昨年度少しだけマーケティングについて学び、色んなものの薄っぺらさが嫌になったのを思い出しました。「ニーズに合わせて」というのはとても素晴らしい考えだと思うのですが、そのニーズが虚栄に偏っているような気もします。最近お金のことについて考えるので、自分の虚栄心とどうやって付き合っていくか考えたりもしています。

話が逸れているので一転、ホームズといえば私は『名探偵コナン』を思い出します。少年探偵団の原型ってホームズの中にあったんだなと思って少し驚きました。子どもだからこそ色んな事を聞けるというのは、どちらの作品にも共通しているように思いました。そういえば新一がサッカーをやっているのは身体を鍛えるためって話もあったなぁと思い出したりもしました。こうやって比較していると、歴史って面白いんだろうなぁと思います。こんなちょっとしたことが繋がるだけで面白いので。

そういえば一つ分からなかったのが、ホームズがヴァイオリンを弾けることです。これは結局何のためだったのでしょうか。上流階級と関わりを持つためとかでしょうか。今回は特に役立たなかった気がします。と、書きながら、そういえば音楽は言葉より早くから人類が楽しんでいた、みたいなことを書いてあったような気がするのを思い出しました。推理にはそういった天啓のようなものが必要ということでしょうか。そういえば、電車でこの本を読んでいる間は名探偵コナンのテーマのヴァイオリン演奏を聴いていました。石川綾子さんという方の演奏です。せっかくなのでリンクを貼っておきます。ヴァイオリンっていいですよね。

おわりに

今回初めてホームズを読んで、思っていた感じと少し違ったけどとても面白かったです。なんていうか、雰囲気もとてもいいなと思いました。他のシリーズはまだ買っていませんが、早く読みたいです。(この時点では買っていませんでしたが、今日3冊買いました。楽しみです。)


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