読書感想文(35)勝又基編『古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回読んだこの本は、一部界隈で超話題になったシンポジウムに関してまとめたものです。
私自身、高校で古典を学び、工学部から文学部に志望を変えたような人間ですが、高校古典については問題があると思っていました。
今まで読んでいなかったのが不思議なほどですが、ともかく機会に恵まれて読んだ次第です。

先に書いておくと、この本は国語教育に関わる人間は必ず読むべきだと思います。

感想

やっぱり現状のままではだめだ、というのが一番の感想です。
私がこれまで一番感じていた違和感は、古典擁護派の人達が古典が必要であるということを前提にして主張していたことです。
「もしかしたら不要かもしれない」「フラットな立場で考え直そう」という人は少なくとも周りに全然おらず、「なんで古典を無くすんだ!実用性にばかり囚われている!」みたいな感じです。好きなものを否定されて怒っているだけにしか見えませんでした。

この本を読むと、なぜ古典が不要とされるのかがよくわかります。読んだ人は必ず否定派の意見にある程度納得させられるはずです。心の中で「でも……」と思っても、明確に反論できる土台ができていないのが現状なのだと思います。

この本の感想をいくつか見てみると、「肯定派の人たちが反論しなかったのが残念」という意見が多くありました。「理系の何もわかってない人たちが……」みたいな意見も結構ありました。この本をディベート、つまり何か結論を出すものとして捉えると、確かに残念だなと私も思いました。これについては本に掲載されているアンケートにも書かれていましたが、結論が出ないのであればシンポジウムの名前を別のものにすべきだった、という意見もありました。

しかしこの本は読む価値がものすごくあると私は思います。なぜなら、否定派の主張に反論できていない現状や、否定派と肯定派のそれぞれの主張がよくわかるからです。
議論が拡散している、という意見もあり、確かにそういう点も一部ありました。しかし建設的に議論されているところもありますし、何よりそれぞれの主張をそれぞれが理解できたところに大きな意味はあると思います。

これまでもこの問題については自分なりに色々と肯定派考えてきましたが、この本を読むことでかなり自分の頭の中を整理することができました。自分の考えたことがほとんど書かれており、また考えたことがないことも書かれていたので勉強になりました。

この本を読んで、私は自分もこの問題に関わりたいと思うようになりました。教育界には正直あまり期待していないので、それなら外部で自分がやればいいのかなぁとぼんやりと考えています。
そしていつか「やっぱり古典は必要だよ!」と多くの人が言い、必修科目としての古典のウェイトが大きくなればいいなと思います。

おわりに

実はこの本には続きがあります。
既に購入済なので、近いうちに読んで、また感想を書こうと思います。

というわけで、最後まで読んでくださってありがとうございました!
次はビジネスモデルに関する本になる予定です!

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