読書感想文(212)原田ひ香『三千円の使いかた』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

『サピエンス全史』の下巻を読んでいたのですが、内容が濃くて疲れていたところ、ふらっと立ち寄った本屋で見かけて読みたくなったので買いました。
買った当日に読み終えたのは久しぶりのような気がします。

この本は以前読書会で紹介された時から気になっていましたが、何となくタイミングがなかったので、読めて良かったです。

感想

面白かったです。
読む前は自己啓発本だと思っていたのですが、小説の形でかなり読みやすかったです。

この本を読んで一番強く思ったことは、異なる世代のリアルな話を読めたなぁということです。
勿論、現実は十人十色千差万別なのですが、例えば老後や熟年夫婦の話というのはなかなか聞く機会もないものです。
今の自分にとってはやはり自分に一番近い年代の話が身近に感じられましたが、それらも含めていずれ自分が直面するであろうことが沢山ありました。

普段小説を読む時は、無意識にフィクションとして読んでいることに気が付きました。一方でこの本は、小説と自己啓発の間のような位置なので、よりリアルに感じられたのかもしれません。
読んだことはないのですが、『夢をかなえるゾウ』もこんな感じなのでしょうか?

この本はタイトルにある通り、お金の使い方がテーマになっています。
そして作者が一番伝えたかったのは、恐らく次の一文かなと思いました。

お金や節約は、人が幸せになるためのもの。それが目的になったらいけない。

P337

尤もだと思いますが、意外とこういうことこそ忘れがちなものだと思います。
ただ、もしも自分が節約しなければいけなくなったら、ゲーム感覚でその状況も楽しめるだろうなぁと思ったりもします。
実は、奇しくも来年度から非正規雇用の職に転職する予定なので、恐らく節約することになります。
とはいえ、まだまだ若い上に生活の安全が脅かされるような状況ではないので、楽観的なのかもしれません。
恐らく年を重ねるにつれて、登場人物達のような焦りも感じることでしょう。

他には、仕事を続けるためには仕事内容・給料・人間関係のどれかに満足している必要があるという話も印象的でした。
私は現在、3つともに満足できているのでかなり恵まれた職場なのだろうなと思います(休日が少ないことを除けば)。

あと、家計簿の歴史の話が少し出てきたのも面白かったです。家計簿は昭和37年に生まれて、戦時中も戦後も出版されていたそうです。

あとは「あの人のせいで我慢しているという状況はやめるべき」というのも、今後の為に覚えておきたいなと思いました。

おわりに

本屋さんで今年売れた文庫ランキング1位だっただけあって、読みやすくて面白かったです。
『サピエンス全史』に戻るのが億劫になるくらい……。いや、あれはあれで面白いのですが、脳がすぐにキャパオーバーを起こしてしまうので……。

ただ、今回の学びとして、読むモチベーションが落ちたら潔く読みやすい本を読むといいかもしれないと思いました。
難しい本は調子の良い時に読む方が、色んな事を考える余裕もあるし、読むペースも早くなります。
自分の読むペースを上手く維持しつつ、来年も沢山本を読みたいです。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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