読書感想文(6)コナン・ドイル著、延原謙訳『シャーロック・ホームズの冒険』(新潮文庫)

はじめに

こんにちは、笛の人です。
ご覧になってくださってありがとうございます。

今回はシャーロック・ホームズ3冊目、初の短編集です。第1作目である『緋色の研究』はあまり評判にならず、『四つの署名』から1年間の短編連載に繋がり、爆発的人気を博したそうです。

今回読んだのは新潮文庫の平成23年に改版されたものです。元々の単行本からは2作削られており、それらは『シャーロック・ホームズの叡智』に収録されているようです。とはいえ10作450ページのそこそこのボリュームがありました。

感想

面白かったです。今までの長編とはまた違った面白さでした。短編であるおかげか、私でも推理する余地がかなりあり、推理小説の面白さを体感できたように思います。
ちなみに私がある程度真相まで推理できたのは「花婿失踪事件」「ボスコム谷の惨劇」「ぶな屋敷」の三つです。とはいえ、ホームズにはやはり敵わないので、答え合わせも楽しかったです。
まだまだ推理力は低いですが、少しずつ成長している気がします。

一番印象に残ったのは「赤髪組合」です。まず発想が珍奇で面白いです。展開としては「唇の捩れた男」も珍奇で面白かったです。こういうアホらしいような面白さも私は結構好きです。
他に「ボヘミアの醜聞」「まだらの紐」「ぶな屋敷」などは臨場感溢れるものも面白かったです。これらは冒険って感じがしました。

「ボヘミアの醜聞」は一番初めのお話となっていますが、ホームズの意外な一面という点でも面白かったです。そしてこのお話の中で推理とは全く関係の無いところでいいなと思ったシーンがあります。

ホームズ「ところで、君に助太刀を頼みたいんだがね」
ワトスン「喜んで手つだうよ」
ホームズ「法律にふれてもかい」
ワトスン「ちっともかまわない」
ホームズ「捕まるかもしれないよ」
ワトスン「理由さえ悪くなきゃ、平気さ」
ホームズ「理由は立派にたつんだ」
ワトスン「そんなら何でも君のいうとおりにするよ」
ホームズ「君ならきっと、やってくれると思ったんだ」

この信頼関係、とてもいいなと思いました。まさに親友(悪友?)って感じです。ホームズはこの話の中でワトスンを「親友(兼助手)」として依頼者に紹介します。しかし、私はホームズ作品の時系列を知りませんが、なんとなくホームズとワトスンが親友になったのはこのシーンがきっかけのような気がしました。

おわりに

これまで3作読んでみて、一番面白かったのはこの『冒険』でした。もちろん、長編短編の違いはあると思いますが、短編ゆえに読みやすいという点も、例えば人にオススメしやすいという点で評価できます。ただ『冒険』を読む前にはやっぱり『緋色の研究』『四つの署名』を読んでおいた方が楽しめるように思われます。

というわけで、ホームズ3作目は大変楽しく読み終えました。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
また明日お会いしませう。


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