読書感想文(7)コナン・ドイル著、延原謙訳『シャーロック・ホームズの思い出』(新潮文庫)

はじめに

こんにちは。笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回はまたまたシャーロック・ホームズです。4冊目であり、短編集としては二冊目です。今回読んだのは新潮文庫で、平成22年に改版されたものです。

感想

やはり面白かったのです。今回一番感じたのは、『冒険』よりも推理の難易度が上がっているのではないかということです。ほとんどの事件がわかりませんでした。

全10篇のうち、特に印象に残っているのは「白銀号事件」「海軍条約文書事件」、そして何よりも「最後の事件」です。

「白銀号事件」と「海軍条約文書事件」は何が面白かったのかというと、うーん、難しいです。単純に話が面白かったように思います。いや、でもそれでいえばどれも面白かったのですが……。そうですね、改めまして、全部面白かったです笑。

ちょっと乱暴なのでもう少し考えてみます。ホームズの面白さはいくつかあると思っていて、例えば犯人側のバックグラウンドが劇的であるなど過去の物事が面白い場合と、ホームズ自身の体験や事件のトリックなど現在の物事が面白い場合に分けられます。前者は「黄いろい顔」「グロリア・スコット号」など、後者は「白銀号事件」「海軍条約文書事件」「最後の事件」の他、「マスグレーヴ家の儀式」などでしょうか。両方の要素が含まれている場合も勿論あります。
尚、この分類でいえば『緋色の研究』や『四つの署名』は長編であるため、前者の要素がかなり強いと思います。一方で『緋色の研究』は推理の余地はあまり無いもののホームズ作品の基盤を為しており、現代部分の面白さもあるのは長編だからでしょう。『四つの署名』は基盤が既にあるため、『緋色の研究』より現代部分の面白さも多かったように思います。

さて、「最後の事件」について少し書きます。とはいえネタバレは念の為しない方針なので、それほど書けることはありません。
印象に残った理由は冒険的で面白かったこと、そしてワトスンとの友情を感じられたことではないかと思います。こんな終わり方をされてしまったら、続きが気になって仕方がありません。不幸なことに、私はまだ続きを買っていません。なので読むことができるのはもう少し先になってしまいます。

おわりに

これまでシリーズを4冊読んで、どちらかといえば短編の方が好きかもしれないなと思いました。ただそんな事を書いていると長編のドラマチックな過去の部分も良いんだよなぁとも思います。物語性を重視する人は長編、推理性を重視する人は短編が面白いのかもしれません。

先に書いたように、ホームズの続きはしばらく先になります。明日は既に読み終えたカミュ『異邦人』です。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。それでは、また明日。


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