読書感想文(274)田中真知『増補 へんな毒 すごい毒』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回読んだ本は、現在大阪市立自然史博物館で開催中の「毒展」の予習の為に読みました。

感想

とても面白かったです。
少し前に読んだ『毒と薬の世界史』という本で、「そもそも毒ってどういう仕組みなんだろう?」と思っていたので、ちょうどその辺りの解説がわかりやすくて良かったです。

今回も印象に残った話を列挙しようと思います。

・毒は吸収の経路によって強さが違う。例えばある矢毒は直接血管などに入って獲物を死に至らせるが、口から入れると胃酸などによって分解される。なので、矢毒で仕留めた獲物を食べても大丈夫
・日本語の「毒」は英語では「ヴェノム」「トキシン」「ポイズン」となり、ポイズンが尤も広義
・食中毒は感染型と毒素型があり、前者は微生物が食べ物と一緒に入ってきて胃で死なずに腸で増殖するサルモネラ菌など、後者は細菌が食べ物で増殖して毒素を発生する
・アルコールのLD50は8000mg/kgで60キロの人ならビール大瓶7本、ウイスキー1本
・LD50とは、毒物量/投与される側の質量で表され、その量で個体の50%が死に至る量
・テングタケの毒とチョウセンアサガオの毒は逆作用
・石川県ではフグの卵巣を塩と糠に漬けて毒素抜いて販売しているらしい、けどなぜ毒素が抜けるのか不明
・童話などで出てくる赤に白い斑点のキノコはベニテングダケ、幻覚作用がある。宗教で脱法ドラッグとして使用されたりもする
・マジックマッシュルームの一つ「テオナナカトル」、テオナナカトル・ナナテスカトリっぽい名前
・ポケモンのマタドガスの由来となったと思われる「マスタードガス」は皮膚にびらんを生じさせるびらん性毒ガス、結構怖い裏話
・ローマの水道管には鉛が含まれていたので、その毒でローマが衰退した説
・LSDの幻覚作用を利用したアート運動「サイケデリック」
・幻覚作用で見える景色って、宗教の理想郷っぽいかも?
・紫外線は活性酸素(過酸化水素など)を体内に発生させる。活性酸素は反応性が高すぎて細胞やDNAを傷つける。植物は紫外線から逃げられないので、ビタミンなどの抗酸化物質を生み出す。だからこれを接種するために野菜を食べないといけない。
・被子植物の繁栄が恐竜を衰退させた説がある。被子植物は毒を持つものが多く、被子植物の出現に伴って恐竜の化石の数が減る。ジュラシックパークの体調悪そうなトリケラトプスはそれを示唆している。
・菌を殲滅しようとするとより毒素の強い菌が現れる。そもそも人間は菌に助けられてもいる。上手く共存したい

本に書いてあった内容と自分の感想がごっちゃになっていましたが、色々なことを知って色々なことを考えることができました。

おわりに

実際に毒展に行ってみると、「アセチルコリン受容体」「LD50」「テトロドトキシン」「パラケルスス」「星一」など、知っている用語や人物がたくさん出てきて面白かったです。

学んだことをすぐに身体経験と共に復習することができたので、本を読んでから行ってよかったなと思います。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?