読書感想文(166)小川洋子『物語の役割』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は『博士を愛した数式』の著者である小川洋子さんの本です。
小川洋子さんの文学観は結構前から気になっていたので、今回手にとってみました。

感想

大変読みやすく、内容もわかりやすかったです。

とうてい現実をそのまま受け入れることはできない。そのとき現実を、どうにかして受け入れられる形に転換していく。その働きが、私は物語であると思うのです。

P25

最も印象に残ったのはこれです。
防衛機制の話とも考えられますし、また先日読んだ夏目漱石『草枕』で考えたことで言えば、創作による自己の客観視とも考えられます。

また、創作論の話も面白かったです。
作家は人類の一番後ろを歩いている、というのは以前You Tubeで小川洋子さんがおっしゃっていたので知っていましたが、そのことも書かれていました。
世界に誰もが持っている物語、そのうち零れてしまいそうなものを見つけて書くということです。
これについては、世の中には色んな作家がいて、全く異なる考え方で創作をしている人もいるのだろうなと思います。
仮に自分が作家になるとして、自分が書きたいものは何だろう?と考えてみた時、まだ上手く言葉にできませんでした。そういえば昨日読身終えた『桜のような僕の恋人』でも「自分が本当に撮りたいものは何か」という話が出てきました。この問いは表現者にとって必ず問われるものなのでしょう。逆に言えばそれだけの想いがあるから、人を惹きつける作品となるのかもしれません。

おわりに

今回恐らく初めてちくまプリマー新書を読んだのですが、何か新しいことを学ぶにはこれくらいの難易度がちょうどいいのかもしれないなと思いました。
普通の新書や学術文庫は内容が詰まっていますが、予備知識が少ないと読むのがしんどいので。これから活用していきたいです。


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