「テイル」の罠にハマっテイル

こんにちは。札幌で英語講師をしているアラといいます。

やる気を失いがちな秋、プロレス見ようぜ

さて、無事夏期講習も終わり、気づいたら九月も終わろうとしています。受験生はこの時期にやる気が落ちやすいので、思い切って気分転換してみるのもいいかもしれません。プロレス見るとか。今G1開催中ですし。ZSJ! ZSJ!

現在進行形と用語の重要性

今日は中学生1年生の英語の授業でならう「現在進行形」についてです。「be動詞プラス動詞のing形」で進行形でしたね。He is running in the park now.ってやつです。「今彼は公園で走っている。」という訳でした。そして疑問文にするときはbe動詞の文だから、Is he running in the park now? になるんでしたね。

このなんてことはないお馴染みの表現ですが、まだ英語のことがよくわかっていない中学一年生の時期に習うこともあって、ちゃんと理解しないまま高校三年生になっちゃった子がかなりいます。例えば、a sleeping baby「眠っている赤ちゃん」みたいな表現で、「sleepingは動詞の何形?」と尋ねると「進行形」と答える高校三年生が、高校の偏差値にかかわらずものすごく多い。もちろん正解は「現在分詞」です。進行形はあくまでも「be動詞+現在分詞」のこと。用語の整理ができていないと旧帝や難関私立の和訳問題で本当に苦労します。それに近年ますます、なんとなく読めれば解ける問題が減ってきている印象です。ちゃんと英文を分析する力をつけるには、用語の意味がわかっていないとできません。他科目を考えるとわかりますよね。絶対値、電気陰性度、優勢・劣勢(または顕性・潜性)などなど、用語がわからなければ何も始まりません。英語だって本来そうなんです。英語学習界隈では「習うより慣れろ」という慣用句が過大に評価されているので気をつけて欲しいですね。どんな分野も用語が大事なんです。

現在進行形っていろいろ意味がある

さて本題。中学一年生で現在進行形を習うとき、「現在進行形は日本語のテイルに相当する。」かのように習います。実際多くの参考書にでてくる英文の和訳に「テイル」が当てられています。先程の例文、He is running in the park now.は「彼は今公園で走っテイル。」の通りです。

では、そもそも進行形って何を表しているのでしょう。「何かをしている途中である」ことを表しているのは間違いなさそうですよね。例によって何で読んだのか忘れてしまいましたが、進行形が表す意味の種類は実はたくさんあって、どれくらいあるのかは学者さんによってまちまちだ、という話を読んだことがあります。実際に、高校の参考書だと複数の意味が載っています。直近の未来、とか確定した未来、とかそんな風に書かれていることが多いです。I'm leaving Japan tomorrow.「明日日本を出発するところなんだ。」みたいな文ですね。

ここでは進行形にいくつの意味があるのかは置いておきましょう。というか僕の手にあまる問題です。ここでは、進行形=「テイル」で覚えてしまっている子、さらに、覚えてから時間もそこそこ経過しているのでまったく意識せず進行形=「テイル」と訳している子が結構多いよ、というのが現場の実感です、とお伝えしたい。

でもね、テイルもいろいろなんだよ

では一方で、日本語の「テイル」はどんな意味があるのでしょう。もちろん、英語の進行形のように動作の途中を表すことができますね。「彼は今公園で走っテイル。」のように。他には、「お昼ご飯がもう出来テイル。」このテイルは完了のようですね。出来るという「動作の途中」とは解釈できそうにないです。さらに「彼女の耳は尖っテイル。」これもまさか彼女の耳が日に日に尖っていくわけでもないでしょう。そして「若いときにそんな金があったら、とっくに車を買っテイル。」これも完了っぽく感じますが、文脈的に実際に起きた出来事ではなさそうです。英語だったら仮定法過去完了の出番でしょうね。これも「動作の途中」と解釈するのは無理でしょう。

本当は怖いテイル問題

どうでしょうか。中学一年生に「進行形=テイル」と覚えさせることに危険を感じないでしょうか。確かに定期テストを乗り切るには「進行形=テイル」が効率が良いのですが、先のことを考えるとちょっと怖いですよね。「彼は今公園で走っている。」だって「彼は今公園で走っているところだ。」とか「走っている最中だ。」とか言い換える余地はたくさんあります。英語と日本語は全く、なんの関係もないものなので、英語の表現と日本語訳を一対一で対応させることはできないといことは、なるべく早いうちから伝えていきたいところです。

ロス・インゴベルナブレス・デ・復習

何年も前に学んだことって、実は覚え間違えていたり、理屈を勘違いしていたりすることがあるものです。だから復習が大事なわけですね。ところが、英語に限りませんが、高校に入るとなかなか復習の機会が得られないものです。高校生はシンプルに忙しい。三年生になって受験勉強を開始するときにうまいこと復習ができる子もいるにはいますが、大抵は受験を意識するあまり、自分のレベルを超えた参考書を買ってしまってあまりの難しさに落ち込んでしまうのです。側から見れば、そんなの復習すればいいじゃん、でおしまいなのですが、本人は大真面目に落ち込んでいたりします。そしてそんな感じで1、2ヶ月経過してしまったりすることもざらです。三年生の一ヶ月は受験においては結果を左右する大事な資源です。なので、騙されたと思って中学生内容から復習してみて欲しいですね。英語に限らず。

同級生は受験の相談相手にはなれない

あと、やっぱり受験は相談できる人がいるといいと思います。同世代で気持ちを分かち合うのも大切ですが、同級生は受験相談の相手としては相応しくないと思います。若いうちの友人は、心のどこかでライバルになってしまう面がありますからね。いよいよコロナ禍も終わりそうですから、どうぞ受験の相談ができるところを早めに探してみてください。

では、また。


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