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英検1級講師が難関大の入試解いてみた(東京医科歯科大学編)

こんにちは。札幌は大通り駅すぐ近くの教室で英語講師をしているアラといいます。

さて、受験シーズンも佳境も佳境、共通テストまであとひと月半となりました。受験生の皆さんは、模試の結果を分析し、本番までに何とかなりそうな分野を絞り込んでその分野の基礎の復習しましょう。時間が迫っていますので、いままで以上に計画的にがんばってください。あとちょっとでゴールですから、不安や焦りはいまは脇において毎日勉強です!

で、講師の方はというと、この時期からはもう共通テスト対策が授業のメインになるので、あまり難しい問題とか英文を扱うことは少なくなります。共通テストも以前のセンター試験と同様にテスト形式の訓練が必要なので、今はあまり実力を伸ばすことに時間が割けない時期なんですね。これはテストというものの宿命ですね。実力を短時間で測る術などないんですから。

新シリーズ始動!

ということで新シリーズです。難関大の入試を僕が実際に解いてみます。普段は生徒の志望校の過去問をざーっと見て対策をあれこれ考えるのですが、その際、問題の形式、単語レベル、分量、制限時間などをチェックし、その子に合った参考書を選んだり、他科目との兼ね合いを見て目標点を決めていきます。授業の中では問題を解きますが、生徒がわからないところだけで全部解くことはないです。英作文や和訳に至っては口頭で説明しちゃうので自分で書くことは珍しいです。

そこでこの新シリーズでは、実際に時間を測って解いてみようと思います。大抵の大学は配点がわからないので、ざっくりどれくらい正解したかだけお伝えしたいと思います。難関大ってどれくらい難関なのか、高校生諸君のヒントになればと思います。

第一回目の学校は!

で、栄ある第一回目の学校は、東京医科歯科大学医学部です。どうしてこの学校を選んだかというと、僕が昔通っていたからです。付属の病院に、患者として。懐かしい。そういう思い出の学校なので選びました。ま、難関って言って東大だとちょっとつまらないですよね。このシリーズでは、難関だとは聞いているけれどどんな試験が出されているのか、受験業界の外の人たちにはまったく想像もつかない大学を扱っていこうと思います。

東京医科歯科大学医学部

さて東京医科歯科大学医学部です。偏差値は死ぬほど高いです。東京大学理科三類に匹敵しますから、日本で一番難しいと言っても間違いないですね。また大変由緒ある大学でもあります。1928年に我が国初の歯科医学専門の学校として誕生したそうです。さらに新八医大の一つでもありますね。これも普通の人には馴染みのない用語ですが、戦後、我が国の中心となる医学部八つに数え上げられていた、ということです。世界の大学ランキングなんかでも上位に顔を出す大学です。

そして立地も素晴らしい。御茶ノ水駅からすぐですが、橋を渡っていくところが個人的に好きでした。札幌育ちの僕としては、ああいう立体的な地形に大変魅力を感じます。そしてすぐ横に湯島聖堂があります。言わずと知れた我が国の近代学問のスタート地点です。もう勉強ばっかりしている人しかいないエリアなんじゃないでしょうか。すぐ近くに医学部御三家の一角、順天堂大学、MARCH筆頭の明治大学があります。田舎者にはキラキラして眩しいエリアです。

問題形式

では試験の解説に入りましょう。今回は令和3年度の問題を解きました。まず、1,500語を超える英語長文が載ってます。そして文中に空欄はありません。つまり「いいから読め」ってことです。載っている長文はこれだけです。そして設問のページが始まります。内容正誤問題が24問あります。これは長文の内容順に並んでいるので、読みながら解くことが可能です。記憶で解くのはハイリスク・ノーリターンなのでやめましょう。その後英問英答が3題あります。本文の表現を丸写しすると減点されるやつです。次は和訳問題。この長文を読める人には超簡単です。そして第六問、本文の内容を指定の語句を用いて400字で日本語要約する問題です。差がつくとしたらおそらくここだと思います。

制限時間は90分。今回僕は60分で解ききることができました。とはいえ、もし僕が受験生ならもう30分使って要約の日本語表現を磨き上げるでしょうね。記号問題は2つミスしちゃいました。流石に24問は長い! 練習しないと集中力が切れてしまいますね。他はまあ、最後の要約問題以外は問題なく正解だと思いますし、要約問題ももっと時間をかければちゃんと点を貰えると思います。今回スタバでかなり急いで解いたので、拙い表現が結構ありました(言い訳)。

解いてみて思ったこと

さて、解いてみた感想です。まず驚いたのが、英文が面白い!ということです。今回は犬はいつから人間と暮らすようになったのか、というテーマの文章でした。これが本当に面白かった。雑誌に掲載された記事が元になっているようですが、読んでて楽しかったですね。その分駄洒落っぽい表現があったりするので受験生が隅々まで理解できるかというと、ちょっと難しいかもしれません。でも、単語はそれほど難しいものは出てこないので、いわゆる英検準一級レベルで間に合うと思います。一方でやけに遠回りな表現もでてくるので、受験むけの教材だけでは対応できないかもしれないですね。これは先生と相談して対策しましょう。

つづいて設問について。内容正誤問題が24問ととても多いのですが、それほど捻くれた聞き方はしてこないので、落ち着いて考えれば正解できるのではないでしょうか。僕は大急ぎで解いたので2つ間違えました(また言い訳)。設問の単語ちゃんとみてなかった。たまーに曖昧な表現で聞いてくる問題もありました。でもひっかけというほどではなかったですね。とにかく落ち着いて

英問英答問題は、答えるだけならそれほど難しくないでしょう。ただ、10語から25語で簡潔に書け、という問題なのでこの制限のなかでうまいこと情報を詰め込むには訓練がいると思います。分詞構文は自在に使える必要がありますね。訓練の際は添削をかならず受けましょう。高校生の皆さんはGTECというテストで添削を受けたことがある人も多いと思います。そして、あれくらいの添削では足りないのもよく知っているでしょう。大人数の添削をする場合、ほんとに二言三言のコメントしかできません。なので添削を受けるといっても、まあまあ詳しい添削を受けれるところを探したほうがいいでしょう。

そして日本語要約問題。これは使用する語が4語指定されていて、本文の内容を過不足なくまとめる必要があります。ただ、この4語を指針にして構成を考えればよいので、英文さえちゃんと読めていたら答えられるようになっています。なので、一見するとハードルが高い問題のようでいて、やるべきことが初めから明確なので、それほど難しいわけではないのです。僕も数分で書けちゃいました。ただ、書かなきゃいけない具体例の細かいところは忘れてしまうので、本当に要点だけ書いちゃうと400字には全然足りなくなります。だから本文に戻って確かめる必要がありますし、そうやって行ったり来たりして書いていると、変な日本語になったりしますので、ここはしっかり練習をしておきましょう。推敲の時間を考えた時間配分が大事です。

長文の問題集には全訳の他に要約を載せているものもありますので、そういうものを利用していくと良いと思います。ま、おすすめはさっさと読解の実力をつけて過去問で練習することですね。

東京医科歯科大学の英語の入試問題は、とても楽しい、というのが結論です。受験生の皆さんはそうも言ってられない難易度でしょうけど、一方で問題にクセがないので、馬鹿正直に英語の実力を追求するだけで入試対策になります。だから迷いなく取り組めるんじゃないでしょうか。

テストである以上、時間的な厳しさはやはりありますが、長文読解をひたすら練習してきた人にとっては、90分という時間はそこまでキツくないと思います。ということは、おそらく英語ではそんなに差がつかないということでしょう。この学校を志望する方は、英語は遅くとも高二の終わりまでには目処をつけて、理数系の勉強にたっぷり時間を使えるようにしましょうね。

では。


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