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大学受験の英語:単語学習の重要性

こんにちは。札幌で英語講師をしているアラといいます。

単語学習の重要性についてお話ししたいのですが、そんなの重要に決まっているだろう、と特に現役の高校生は思うかもしれません。しかし、割と最近まで、単語学習はかなり軽視されていました。

『語彙の神話』という単語学習の科学的な研究をまとめた本の序文を一部引用しましょう。

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長年にわたり、わたしが何度となく耳にした俗信の1つが、語彙などさして重要でない、といったものでした。多くの学会発表で、多くの学術雑誌の論文で(さらにはわたしが参観した授業でも)、やらねばならないのは理解可能なインプットを与えることのみであって、その結果まるで魔法か何かのように新しい言葉が身につくのだ、とくり返しいわれてきました。学習者たちには、「要点」をつかむように読みなさい、全体の概要を聴きとりなさい、「細部」に拘泥しないようにしなさい、と指導されてきました。しかし問題は、リーディングやリスニングの文章に出てくる多くの語を実は理解できず、したがって文章の意味も実は理解できないと、ほかならぬ学習者が、自覚していたことなのです。
(略)
語彙はたいして重要なものではないと、教師たちは聞かされてきました。語彙をばらばらに教えるのではなく、文脈が重要なのだと聞かされてきました。これ自体が、外国語の語彙に関する俗信の1つなのです。実際のコミュニケーションにおける文脈の重要性を否定する人はいないでしょうが、学習者にしてみれば、大量の語を知らなければ、手がかりにできる文脈など、そもそも存在しないのです。

キース・フォルス著『語彙の神話ー英語語彙指導の俗信を正す』(学文社)


20年以上前、僕の学生時代も、単語は「文脈で理解しろ、単語リストはダメ」とよく言われていました。丸暗記を蛇蝎のごとく嫌う風潮が今よりも強かったと思います。意志の弱い学生だった僕は、そういうコツコツとした努力が避けられそうな道を真っ先に選んでしまうヤツだったので、どうしたって中途半端な勉強になっていたと思います。英語に限らず。

前回の記事で、札幌の高校で単語テストがちょっと軽視されているように感じると書きましたが、40代以上の先生方の中に、もしかしたら上に引用したような「俗信」がまだ残っているのでは、と危惧します。僕自身授業の現場にいて、別の先生が「単語テストなんて意味ないよ。」と生徒に断言する場面にでくわしたこともありました。年齢によらず、知識のアップデートをする機会を持ちたいものです。

次回は、この『語彙の神話』をもとに、どんな単語学習が効果的なのか、書いてみたいと思います。

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