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学校を休みがちな少年の心と体が、音楽で動かされていくまで〜表現者たちの伏線Vol.3長利和季さん①〜

様々な発信活動をする方々に、その活動を続けるに至った「過去の伏線」と、今現在の活動から導かれる「未来の伏線」、2つの視点から迫るインタビュー「表現者たちの伏線」。第3回となる今回は、シンガーソングライターを経て、現在Calm  Room代表を務め心理士、音楽家、ラジオパーソナリティなど様々な顔を持つ長利和季さん。初回は、心と体のすれ違いがありながらも、「音楽」によって決定的に動かされていった長利さんの幼少期を紐解いていく。

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ーピアノをやっている身としてはどうなんだって感じなんだけど笑、あんまり覚えてないんだよね。

まずはじゃあいつもの質問から行きますが、覚えてる限りもっとも古い記憶を教えてください

幼少期の自分って、すごく泣き虫な子供で、喜怒哀楽の振れ幅がすごく大きい子供だったのね。それを前提に聞いて欲しいんだけど笑
多分一番古い記憶は、幼稚園のプールで水遊びをしている時に、顔に水がかかって号泣してた、っていうのが一番古い記憶かな。とにかくもう水が怖くて。そして、これは覚えてはないんだけど、もっと小さな頃に、母方の実家がある女川の浜で、溺れかけたことがあるらしくて。

それが深層心理的に「水が怖い」ってなったきっかけかもしれないですね。

そういうのもあるかもね。

母方の実家が女川、ということでしたけど、生まれも育ちも宮城って感じですか?

そうだね。転校とかもなくずっと仙台だね。24年間宮城。

なるほど、まさしく生まれも育ちもって感じですね。話は変わりますけど、なにかそれぐらい小さい頃にハマってた遊びとかありました?

「クラッシュギア」かな笑。レゴでできてて、好きな形を組み立ててそれをぶつけ合うみたいなやつなんだけど。何か作るってことがまず好きだったし、室内で遊ぶことの方が多かったかな。

さっそく今の活動と通じるところありますね。

確かにね!!今思えばだけど笑

何か習い事って小さい頃からしてました?

うちはいろいろ短期教室みたいなのをやらせてもらってたかな。覚えてるので、太鼓、乗馬、習字、ピアノ、剣道...

次期国王の教育じゃないですか笑

花嫁修行の男版みたいなね笑。うちは兄弟で通わせられたっていうのもあるかもしれないけど。それで結局、そのあと長く続けたのが、ピアノと習字だった。習字は小4までやってて、ピアノは正直どれぐらいまでやってたか覚えてないというか、習ってた記憶そのものがあんまりないんだよね。

意外ですね。

ピアノをやっている身としてはどうなんだって感じなんだけど笑、あんまり覚えてないんだよね。もしかしたらその昔習ってたっていうのがあって、その後音楽始めるときにピアノを選んだっていうのはあるかもしれないけど。

知らず知らずにというか、あったかもしれないですね。そんなこんなで小学生になりまして、長利少年はクラスではどんな感じでした?

幼稚園の頃からそうだったけど、割と低学年の時はやんちゃ坊主だったかな。変な話、今より落ち着いてなかったと思う。「机になんか座ってないでドッチボールしたい!!」みたいな笑

「はやく長休みなってくれよ!」みたいな笑。勉強とかはどうでした?

特に特別得意不得意はないけど、そつなくこなしてたって感じかな。あと、科目としてもやっぱり音楽が好きだった。歌がすごく好きだったんだよね。

歌うことそのものが好きな感じだったんですね。その後中学年の時はどんな感じでしたか?

ーかなり小4ぐらいを機に性格はチェンジしてるはず。

さっき言った通り、習字を小4でやめて、そこから剣道を始めるのね。で、その頃ぐらいから体が弱くなり始めて。その影響で剣道は一年ぐらいでやめちゃうんだけど。あと、並行して小3ぐらいから、学校の合唱部に入って。ここで、それまでは「一人で歌うことそのものが楽しい」だったのが、「みんなで歌うことが楽しい」になっていったかな。小6では合唱部のリーダーを任せてもらえることになって。

それって立候補したんですか?

いや、他の団員の推薦みたいな感じだった。選ばれて嬉しくはあったけど、どちらかというとリーダーとしてやっていくことのプレッシャーの方が大きかったと思う。というのも、低学年の時はリーダーシップを取りたい側だったのが、体が弱くなっていったのに併せて、性格的に内向的になってしまってたから。それを機に結構忙しくなって、他の習い事はやめちゃう。

体が弱くなっていく、みたいなことってそういう小さい頃だと余計、心理的にも大きく働きますよね。

そうだね。かなり小4ぐらいを機に性格はチェンジしてるはず。合唱もやっぱり室内でやるものだし、リーダーシップとるなんて...って気持ちになってる中での部長抜擢だったのも大きい。でもそれでもまだ、自分の中で歌に関して自信があって。というのも、ファルセットっていう高い音域を出せるボーイソプラノが、僕ともう一人ぐらいしかいなくて。そしてボーイソプラノって大体曲中にソロがあったりとか、かなり確立した地位があったりとかして。みんなで歌う中でソロがある、っていう立場だった自分のことは、結構認めてあげられてたと思う。

「俺、高音出せるよ?(ドヤ)」みたいな笑

そうそう笑。でも、頑張ってはいたけど、まとめきれてはなかったなと思う。すごく平穏にまとめ終えたとは思ってるけど

「至らないところあったかもな」みたいなのは日々抱えつつ?

あったね。終わってから至らないところに気づくことが多かった。帰り道一人反省するみたいな。内向的になってから、すごく内省する機会は多くなっていったと思う。この頃から学校に行けないような日も増えていって。

そういう状況を受けて、「昔より学校行けなくなったな、あんだけタンクトップで駆け回ってたのに」っていう思いもあった。あと、体温調節がうまくいかなくなって、夏にパーカー3枚とか、冬にタンクトップとか着てたりして。それでいじられたり。そういうのもあって、いじられて笑ってはいるんだけど、「でも暑いしなぁ...」みたいな。

長利さんの中では真顔なんですね笑

そうそう。切実だから。

ー歌とか合唱に対する圧倒的な自信に反して、体が思うように動かなくなってくっていうジレンマは抱えてたな

かなり小3-4はターニングポイントな感じがしますね。何か小学校時代の思い出の先生とかいます?

小3の時の担任の先生かな。というのも、その先生が合唱の先生で、僕に「合唱やらないか」って声をかけてくれて。その先生に「音楽の楽しさ」を教えてもらったかな。

逆にすごく嫌いだった先生っていました?

うーん、いないかな。その頃からね、あんまり人を「嫌い」みたいな感情で見なくなったと思う。

なるほど。そこも割と真顔というか。面白いですね。

あと、今話して思ったんだけど、歌とか合唱に対する圧倒的な自信に反して、体が思うように動かなくなってくっていうジレンマは抱えてたなと思う。結構学校行けない分歌頑張ろう、ってモチベーションに直接転化していった感じはあるかな。「音楽が自分の居場所!」ぐらいの。

そうなると合唱がかなり決定的な出会いだった感じはありますね。あとは...あ、初恋とかってこの頃あったりします?

あるよ!笑

あ、でも僕そういえばヨバナシ(長利さんのやっているWebラジオ)で聴きました!

ほんと?!ありがとう笑

じゃあ皆さんにはそっちで、聞いていただきましょうか笑(長利さんの初恋の話が聞ける回はこちらから)

是非お聞きください笑!

ー中1 の初めに自分の体調の悪さに病名がつくの。

そこから中学生になった長利少年のお話を聞きたいんですが...中学校って普通に学区通りの進学しました?

そうだね、うちの中学は近隣の小学校3校ぐらいが一緒になる感じで、わりと大きめだったかな。

じゃあ3年間話さない人もいますよね。その小学校から中学校になるにあたって、めっちゃ仲良くなった子とか全然話さなくなった子とかいたりしました?

うーん、まず小学校から中学校になって決定的だったのが、「完全に内向的になったこと」なんだよね。もうやんちゃの「や」の字もないというか笑

完全にクラスの隅っこ側というか。

うん。どんどん髪も長くなっていくし。人の視線が嫌で、自分を隠そう隠そうとしてた。

なるほど。でもそれでも合唱って続けるんですか?

合唱はね、結局やるんだけど中1-2は帰宅部で。というのも、中学校にあったのが合唱と吹奏楽部が合併した「音楽部」ってやつで。ひとまず入るんだけど、そこでまだトゲの残ってた長利少年は、「合わない!」って言って3日で辞めた。

それは「吹部がやりたいわけじゃない!」ってなったからですか?

うーんそれもあるけど、すごく閉鎖的な空気感があって、それが合わなくてやめた。もうパートとかも決めたあとだったから、普通に迷惑だったとは思うんだけど笑。必ず部活に入るような学校だったのもあって、スタートダッシュで帰宅部になったから、あんまり友達はできなくて。

結構カースト的にゴロゴロゴロ...っと落下してく感じですよね笑

そうそう笑。で、中1 の初めに自分の体調の悪さに病名がつくの。「起立性調節障害」って言うんだけど。体温調節だったり自律神経系の狂いが見られる病気だってことが発覚して、朝起きるのもすごい大変になっていって。そこで自分の体調の悪さに名前がついて、帰宅部になって、完全にトゲがなくなる。

変な話、「あ、俺ちゃんと弱いんだ」っていう。

そう、今風に言うと、「僕って決して陽キャじゃなかったんだな」っていう。それからはしばらく学校に対してマイナスな気持ちだったかな。もうその頃には全然学校には行けなくなってて。もう体調的に。でも別に行きたくないわけじゃないんだよ。

それが一番しんどいですよね。

「なんで僕は毎朝ベットから起きれずに学校にも行けないんだろう、当たり前のことができないんだろう」ってことをすごく悩んだ。本当に勉強しかすることがなくて。学校に行ったとしても具合が悪いから、机に突っ伏してることしかできないわけで。せめて勉強はと思って頑張って、テストの点数はちゃんと取ってた。それも周りから見れば「なんで学校きてねぇのに点数取ってんだ」って思われてたと思うけど。

でもそこで勉強するかってなるんですね。そこで自暴自棄にならない強さみたいなのは感じますよね。

いや、むしろ自暴自棄だったからこそ勉強してたまであるよ。

ヤケクソ勉強だ笑

そうヤケクソ勉強。周りに心の中で当たってた感じはある。「『勉強したくね〜』とか『学校行きたくね〜』っていうなら僕と代わってくれよ」って。それが中3始めぐらいまで続いてたかな。

(続く)

中学生になって交友関係と、進路選択の過程からいよいよ「過去の伏線」の核心に迫る第2回は、3/7に更新予定。

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