世界は自分を中心に回っているか

親の役割は子を自立させ自分が亡くなった後でも生きていけるように育てることです。子は社会(=他者)との関わりを経て精神的な自立に至りますが自立の前には挫折があります。挫折とは世界が自分を中心に回っていないという現実を認めることです。一見するとそのような考えを持っていることはとても幼稚に写りますが、自立していないのですから幼稚なのは当然です。また、親が社会の厳しさから子を保護をしているため子は社会(=他者=世界)を限定的に捉えており、その世界では大概のことは自分の思い通りに物事が運びます。世界が自分を中心に回っている、または回ってほしいという考えから脱却できないのも無理からぬことでしょう。

しかしそのような考えは打ち砕かれます。年齢が上がるにつれ親の保護が行き届かない社会への参画機会が増え、他者が自分の思い通りにならない存在だと知り、どこかの段階で世界が自分を中心に回っていないことに気がつくのです。これは、それまで世界が自分を中心に回る、または回り得ると考えていた個人にとっては大事件ですが、精神的な自立のためには必要な過程です。中学生くらいに経験する人が多いようですが、もっと早いひともいれば遅い人もいます。極端な例では高齢者でも未経験の人はいるでしょう。

言うまでもないことですが世界は自分を中心に回っていません。この大事件による挫折から立ち直るために重要なのは、親から愛された経験です。次回はこれをテーマにしたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?