モラハラ最低男の涙

今どハマりしているドラマがある。

それが、毎週金曜22時放送の『凪のお暇』だ。

もともと漫画を読んでいたので、ドラマ化すると聞いて非常に楽しみにしていた。

そしていざ見始めたが、ドラマにもまんまとハマった。

主人公(凪)のモラハラ最低元カレ(慎二)を、高橋一生が演じているのだが、これがまさにどストライク。

高橋一生は、以前『カルテット』というドラマでもわたしが好きな役柄を演じており、俳優としてかなり好きな部類に入っていたので、今回も期待大で見ていたが、本当に期待通りだった。

物語の序盤は、とにかく最低最悪のモラハラ男であり、凪のことを振り回しては傷つけて、結果過呼吸になるまで追いやった。

しかし、凪が全てを捨て、別れを告げたことにより、慎二の本当の性格や凪への気持ちがどんどん明らかになっていく。

詳しくは書かないが、まずわたしは1話の大号泣でしてやられた。
凪がなにもかも捨て、その中に自分も入っていることに気がつきショックを受ける慎二が、行きつけのバーで「めっちゃ好きなんだわ〜〜」と号泣する。

高橋一生の泣きの演技には、『カルテット』の頃から魅力されていて、見るたびに心をぐんっと持っていかれる。
情けなく号泣する慎二を見ながら、テレビの前で「なにそれ〜〜」と笑いながらも、ついもらい泣きしてしまった。

それからも各回で、事あるごとに泣いている。

人目も憚らず号泣する姿を、凪の知り合いたちに幾度となく目撃されており、側から見れば凪のことが大好きで仕方ないのは明らかなのだが、その気持ちはもちろん、凪の元へは届かない。

ほぼ毎回泣きながら終わるので、わたしも「お、また泣くか??」とわくわくしながら待っていたのだが、先週の第7話で、ついに凪の目の前で号泣する場面があった。

いつもと同じ、号泣。
いつもと同じ、情けない姿。

ではなかった。

7話での号泣は、今までの彼の姿とは一変していた。
凪の目の前で泣いたのが初めてという特別感はもちろんあるが、それだけではなかった。
それまでの、恋人に振られた男の情けない姿から、ひとりの人間として弱さを吐き出した瞬間に変わっていた。

恋人も家族も仕事も、全ての面において辛いことばかりを抱えながら、それでも笑顔を貼り付けて、ひとりで全てなんとかしようとがむしゃらに頑張っていた慎二という人間が、ついに負けたのだ。

負けたからこそ、他人の痛みや自分の身勝手に気づき、叶えられなかった思いに気づき、大切な人がいなくなった理由にも気がついた。

そんな中で涙を流す姿は、視聴者であるこちら側にとって、気づくことができてよかったという安心感と、本当に辛かったであろう彼の苦労への同情とで、非常に尊いものに思えた。

そしてこんな時にこそ、高橋一生の泣きの演技が光るのだ。
顔をぐしゃぐしゃにして、奥歯を噛み締めて言葉を絞り出す姿は、それまで心に蓋をして強がってきた人間が、初めて気持ちを放出し、弱さを曝け出す際の不器用さそのものだった。

性格が歪みまくったこの最低な元カレ役を演じているのが、高橋一生で本当によかったし、彼だからこそここまで夢中になれたと思う。

物語ももう終盤に差し掛かり、最終回も近づいているが、最後まで彼の涙を楽しみにしながら見守りたい。

#日記 #ゆるnote #エッセイ #凪のお暇 #高橋一生

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