見出し画像

アスナビin名古屋~トップアスリートの言葉

 トップアスリートのための就職支援ナビゲーション「アスナビ」。名古屋市内のホテルで6月8日、アスリート6人がプレゼンテーションで競技と企業での仕事についてアピールしました。
 アスナビは、日本オリンピック委員会(JOC)の制度です。卒業後もオリンピックなどを目指す現役選手と、応援したいという企業との「面接」の場。2010年10月にスタートし、2014年8月から日本パラリンピック委員会(JPC)とも協定を結んでいます。
 私は2017年に中部経済同友会の招きで取材をしたことがありました。今回、長野県出身者が多数参加するというので、久々に出かけました。このコラムでは、6人のうち、主に長野県出身のアスリートを中心に心を打った言葉を紹介します。企業の採用ご担当者の方で関心があれば、JOCキャリアアカデミー事業(career@joc.or.jp)へ問い合わせいただければ幸いです。
■若月夕果選手(スキーアルペン) 

企業の採用担当者との交流会で名刺交換してアピールする若月選手

 長野県北部の信濃町生まれの21歳。東海大学卒業見込み。希望勤務地は中部、関東、東北、北海道。
 2022年の秩父宮妃杯第95回全日本学生スキー選手権大会回転3位。2022年全日本ジュニアスキー選手権大会アルペン競技回転2位。
 高校2年生のシーズン、ワールドカップ出場権を目指した中国大会参戦中に大けがをして、2シーズン雪上に立つことができませんでした。そのとき、「夢を夢で終わらせたくない」とリハビリをに励み、全日本学生選手権大会で3位入賞し、国内強化選手に選ばれました。
 若月さんは、この復活の経験から三つの力を養いました。「あきらめない力」、「目標を追いかけ続け達成する力」、「挑戦を続ける力」です。
 アルペン競技は時速100㌔を超えるような猛スピードで滑降します。欧州では雪上の格闘技といわれる競技です。けがへの恐怖心があると思います。
 若月さんは、その日のコンデションや雪質などレースに関連する要因を洗い出して、不安な所があれば、それへの対処法を組み立てて恐怖心を克服していくと話していました。
 「採用していただきましたら、仕事も競技もどちらも全力で取り組みます。感動を共有することで、社内に活気をもたらします」
 雪上の格闘技に臨むアスリートにもかかわらず、その語り口は、まるで詩を朗読するかのような、たおやかなリズムでした。
 目標は2026年イタリア・ミラノのコルティナダンペッツォの冬季五輪出場と2030年冬季五輪のメダル獲得。雪深い信州からひとり北海道へスキー留学し、けがを克服してきた若月さんには、「夢で終わらせない」という詩の続きが聞けそうです。
■篠原琉佑選手(スキー/スノーボード)

プレゼンテーションでマイクを手にする篠原選手
 

 長野県茅野市出身の21歳。大東文化大学卒業見込み。希望勤務地は中部、関東。
 2023年FISヨーロッパカップ大会パラレル大回転2位。2023年全日本スキー選手権大会スノーボード競技パラレル大回転優勝。
 父親の影響でスノーボードを始めて15年。「私が大切にしたいことは、信頼と挑戦です」。 
 スポーツは決してひとりでできるものではありません。選手間、コーチ、応援の方々との信頼関係があってこそ大きな力を生み、見る人に感動を与えます。
 篠原さんは「日々新たなビジネスを開拓し、社会貢献に尽力される企業にも共通する原理ではないでしょうか」とアピールしました。
 篠原さんはマイナスイメージのある「ネガティブ」について、「ネガティブは悪いものではなく、自身の弱点を知ることができる一つのツールと考えるようになった」と明かします。
 精神面が弱く、競技本番で苦しんでいたという篠原さん。「考え方が変わることで物事の見方が変わり、自身のパフォーマンスに集中できている」とプラスの発想に変えています。
 なぜ、スノーボードをしているのか? 
 篠原さんは「私が世界に挑戦する姿が、だれかの挑戦の後押しになるかもしれない。そう考えるとわくわくする」といい、企業内での一体感の醸成につながると強調しました。
■切久保仁朗選手(スキー/アルペン)

企業との交流会でアピールする切久保選手

 長野県白馬村出身の21歳。法政大学卒業見込み。希望勤務地は関東、長野県。
 2023年全日本学生スキー選手権大会 回転優勝、大回転優勝 
 「私の目標はオリンピックでメダルを取ること。もう一つは、感動をもたらす選手になることです」
 切久保さんはフィギュアスケートの羽生結弦選手らを例に挙げて、「いままでたくさんのアスリートの活躍する姿を見て、その感動が競技へのモチベーションとなり、自分も頑張ろうという気持ちになった」と話しました。
 主将としてチームをまとめ、周囲の支えてくれる人たちとのコミュニケーションを大事にしてきました。
 実家が旅館を営んでいることも影響しているかもしれません。「料理を提供し、安心感のある雰囲気を創り出すことで、お客様も親も笑顔になれる」と言います
 アスリートと企業も同じです。世界で活躍する姿が社員に好影響を与えるのは、これまでの採用実績からもうかがえます。
 旅館とお客のようなウイン・ウインの関係をアスナビでも築き上げていけることを願っています。
 今回、紹介できなかった3人の選手の言葉も印象に残っています。後日、書かせていただきます。
(2023年6月18日)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?