マガジンのカバー画像

758スクラップブック コラム集

90
新聞記者が歩いて、見て、感じたことをコラム調に配信します。「ふと思い出しました」のフレーズで、昔の取材経験を織り込みながら、地域経済や文化の「今」をスケッチする「歩きメディア」で…
運営しているクリエイター

#アート

「四季折々の情景」~特色生かしたヤマザキマザック美術館の展覧会

「四季折々の情景」~特色生かしたヤマザキマザック美術館の展覧会

 名古屋市東区のヤマザキマザック美術館で2月27日まで「四季折々の情景 美術館に息づく小さな自然たち」が開かれています。
 「季節と共に移り変わる花々、鳥のさえずり、虫の音、小動物の気配…。日本の四季は変化に富んでいます。そして、その『日本の四季』を五七五の十七文字で鮮やかに切り取る俳句の世界。この展覧会では、現代作家9名(組)の作品を美術館所蔵のアール・ヌーヴォーのガラスや家具と共に展示し、四季

もっとみる
名古屋城からはじまる植物物語~天井板絵、シーボルト、伊藤圭介…

名古屋城からはじまる植物物語~天井板絵、シーボルト、伊藤圭介…

 名古屋城といえば金のしゃちほこです。2005年に開かれた「愛・地球博」(愛知万博)で地上に降ろされて以降、今年ふたたび名古屋の街にオス、メスそろって「降臨」しています。
 この金のしゃちほこのオスは、1872年(明治5年)3月10日、東京・湯島(元昌平坂聖堂)で日本初の博覧会が開かれたときに展示され、大変な評判だったそうです。ヤマザキマザック美術館(名古屋市東区)で開幕した企画展「名古屋城からは

もっとみる
ポロックのこと~大人の学びなおし「絵画のノイズ」

ポロックのこと~大人の学びなおし「絵画のノイズ」

 大人の学びなおしの講座のことは前にも書きました。「ナゴヤ イノベーターズ ガレージ」で12月1日に行われた3回目のテーマは、絵画のノイズ。聞き慣れない言葉でした。講師は愛知県立芸術大学の白河宗利准教授です。
 レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザなど数々の名画も、時を経て漆喰から絵の具が剥がれていきます。こうした「ノイズ」もありますが、わかりやすかったのは、画家が意図して絵画表現のなかにノイズ性を

もっとみる
スクラップという言葉の響き アーティストのたくらみを探す

スクラップという言葉の響き アーティストのたくらみを探す

 新聞記者だったので、スクラップという語感にひかれます。ヤマザキマザック美術館(名古屋市東区)で、富田菜摘スクラップ・ワールド展が始まりました。
 スクラップ(scrap)を明鏡国語辞典で調べてみると、二つの意味がありました。ひとつは「新聞・雑誌などから必要な記事を切り抜くこと。また、その切り抜き」です。もう一つが「金属の切りくず。くず鉄。また、金属製品の廃品」です。「廃車をスクラップにする」とい

もっとみる