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理系論文まとめ5回目 Nature communications 2023/6/30 ~ 2023/6/30

科学・社会論文を雑多/大量に調査する為、定期的に、さっくり表面がわかる形で網羅的に配信します。今回もマニアックなNature communicationsです。

さらっと眺めると、事業・研究のヒントにつながるかも。
世界の先端はこんな研究してるのか~と認識するだけでも、
ついつい狭くなる視野を広げてくれます。

マイクロ流体を使って小型NMRへの応用が興奮しますね!

一口コメント

Multinuclear 1D and 2D NMR with 19F-Photo-CIDNP hyperpolarization in a microfluidic chip with untuned microcoil
未調整マイクロコイルを有するマイクロ流体チップにおける19F-Photo-CIDNP過分極を用いた多核1Dおよび2D NMR
「核磁気共鳴(NMR)の感度を向上させ、装置を簡素化する新たな戦略を開発し、これにより多核NMR実験の同時実行が可能になり、NMRの応用範囲を大幅に拡大することができた。」

Programmable spatial deformation by controllable off-center freestanding 4D printing of continuous fiber reinforced liquid crystal elastomer composites
連続繊維強化液晶エラストマー複合材料の制御可能なオフセンター自立型4D印刷によるプログラム可能な空間変形
「4Dプリント技術を用いて連続繊維強化液晶エラストマー(CFRLCE)の形状を調整し、外部刺激に反応して自在に形状を変えるスマート材料を製造しました。この結果、ソフトロボティクス、人工筋肉の開発など、さまざまな産業分野での新たな応用が可能になりました。」

Hyperbolic polaritonic crystals with configurable low-symmetry Bloch modes
単一分子の完全な熱電特性評価
「我々は、単一分子の熱電特性を完全に測定するための新たな方法を開発し、この手法によって分子レベルでのエネルギー変換効率の最適化が可能となり、結果としてエネルギー変換と電力管理の分野での効率向上が期待されます。」

Ultrafast imaging of polariton propagation and interactions
ポラリトン伝搬と相互作用の超高速イメージング
「エキシトン・ポラリトンの挙動を新たな視点で観察し、その知識を量子光学デバイスの設計に応用する可能性を開きました。」

Photoredox-catalyzed diastereoselective dearomative prenylation and reverse-prenylation of electron-deficient indole derivatives
光レドックス触媒を用いた電子不足インドール誘導体のジアステレオ選択的脱芳香族プレニル化および逆プレニル化反応
「電子不足のインドールからプレニル化および逆プレニル化インドリンを直接的かつ立体選択的に合成する新たな方法を開発し、新薬開発に貢献する可能性を示しました。」

Fast-exchanging spirocyclic rhodamine probes for aptamer-based super-resolution RNA imaging
アプタマーに基づく超解像RNAイメージングのための高速交換スピロ環状ローダミンプローブ
「新たな蛍光プローブSpyRhoを用いて、ライブセル内でのRNAの高解像度イメージングを可能にし、RNAの動きや分布を詳細に観察する新たな手法を開発しました。」


要約

未調整マイクロコイルを有するマイクロ流体チップにおける19F-Photo-CIDNP過分極を用いた多核1Dおよび2D NMR

https://www.nature.com/articles/s41467-023-39537-8#auth

Two syringe pumps allow on-flow mixing and rapid optimization of photosensitizer/target ratio. The syringes are connected to the NMR chip via fused-silica capillaries. A third (outlet) capillary is connected to a waste container underneath the NMR magnet. A 450 nm fiber-coupled laser diode is used to illuminate in situ the sample volume under the planar spiral microcoil. On top of a probe base tube with RF transmission lines and CNC connectors at the bottom, a 3D-printed chip holder is mounted (blue), holding the chip in position (gray square).


この論文は、核磁気共鳴(NMR)技術の感度向上と装置の簡素化について述べています。NMRは物理学、化学、生物学、医学など、多くの分野で広く使われる分析ツールですが、核スピンの低い熱極性化による固有の低感度と、複雑な装置が必要となることが主な制約となっています。本研究では、NMR感度を向上させるための2つの代替的かつ補完的な戦略を提案しています。1つ目は、検出感度を向上させるためのマイクロコイルの使用、2つ目は、NMR信号強度を増加させるための核スピン集団のハイパーポラリゼーションです。さらに、RF送受信回路を簡素化し、広帯域性能を持つために、調整されていない平面螺旋マイクロコイルを利用しています。このセットアップは、洗練されたphoto-CIDNPハイパーポラリゼーションを用いた多核NMR実験を同時に可能にします。

  1. 事前情報: NMRは多くの分野で広く使われる分析ツールですが、核スピンの低い熱極性化による固有の低感度と、複雑な装置が必要となることが主な制約となっています。

  2. 行ったこと: 本研究では、NMR感度を向上させるための2つの代替的かつ補完的な戦略を提案しています。1つ目は、検出感度を向上させるためのマイクロコイルの使用、2つ目は、NMR信号強度を増加させるための核スピン集団のハイパーポラリゼーションです。

  3. 検証方法: さらに、RF送受信回路を簡素化し、広帯域性能を持つために、調整されていない平面螺旋マイクロコイルを利用しています。このセットアップは、洗練されたphoto-CIDNPハイパーポラリゼーションを用いた多核NMR実験を同時に可能にします。

  4. 分かったこと: この研究では、マイクロコイルと核スピン集団のハイパーポラリゼーションを組み合わせることで、NMRの感度を大幅に向上させることができることが示されました。また、調整されていない平面螺旋マイクロコイルを使用することで、RF送受信回路を簡素化し、広帯域性能を持つことが可能になりました。これにより、洗練されたphoto-CIDNPハイパーポラリゼーションを用いた多核NMR実験を同時に行うことができるようになりました。

  5. この研究の面白く独創的なところ: この研究の最もユニークな点は、NMRの感度向上と装置の簡素化という2つの主要な課題を同時に解決しようとした点です。また、調整されていない平面螺旋マイクロコイルの使用は、RF送受信回路の簡素化と広帯域性能の実現という新たな可能性を示しています。これにより、洗練されたphoto-CIDNPハイパーポラリゼーションを用いた多核NMR実験を同時に行うことが可能になり、NMRの応用範囲が大幅に広がる可能性があります。


応用先

本研究の結果は、核磁気共鳴(NMR)を使用する全ての分野で広く利用できます。特に、感度向上と装置の簡素化は、物理学、化学、生物学、医学などの科学的調査や研究において、より正確で詳細なデータを迅速に得られるようにします。この進歩はまた、製薬業界やバイオテクノロジー業界において、新薬の開発や生物学的プロセスの理解を進めるためのツールとしても利用できます。さらに、教育環境でも、学生がNMR技術をより簡単に学び、実験に活用することが可能となります。


連続繊維強化液晶エラストマー複合材料の制御可能なオフセンター自立型4D印刷によるプログラム可能な空間変形

https://www.nature.com/articles/s41467-023-39566-3#auth

Fig. 1: Raw materials, mechanism, and extruded composite LCE filaments of the CFDIW Process.
a Shear viscosity of the liquid crystal material components. b Chemical structures of liquid crystal monomers, crosslinkers, and photoinitiators. c The mechanism of the CFDIW process, including three stages of impregnation, extrusion and curing. d The low magnification SEM image of the cross section of the composite, indicating the off-center distribution effect of the fiber bundle. e The high magnification SEM image of the cross section of the composite, indicating a sufficient impregnation between the two materials.

この論文は、4Dプリント技術を用いて液晶エラストマー(LCE)複合体を作成し、その形状をプログラム可能に変形させる方法について述べています。特に、連続繊維強化液晶エラストマー(CFRLCE)の4Dプリントに焦点を当てています。
①事前情報:
4Dプリントは、外部刺激に反応して制御可能な変形を生み出すスマート構造の製造に使用される加工技術です。液晶エラストマー(LCE)は、高い変形能力と相対的に高い機械的性能を持つスマート材料であり、4Dプリントに広く使用されています。
②行ったこと:
研究者たちは、連続繊維を導入することで、構造の準備プロセスをより便利にし、LCE構造の変形能力と機械的特性を向上させる方法を提案しています。また、連続繊維とLCEマトリックスの熱膨張係数の差により、純粋な液晶の変形モードが収縮変形から曲げ変形に変化し、これにより変形能力がさらに向上します。
③検証方法:
研究者たちは、連続繊維直接インクライティング(CFDIW)4Dプリント法を用いて、オフセンターの連続繊維強化LCE(CFRLCE)を作成しました。また、連続繊維とLCEマトリックスの間の界面結合特性を微小滴脱着試験を用いて評価しました。
④分かったこと:
この研究では、連続繊維のオフセンター位置を調整することで、複合体の変形曲率を制御できることが示されました。また、連続繊維のオフセンター位置を制御するための新しい方法が提案され、その有効性が実証されました。
⑤この研究の面白く独創的なところ:
この研究の独創的な点は、4Dプリント技術を用いて、連続繊維強化液晶エラストマー(CFRLCE)の形状を調整することにより制御できることです。この方法により、高い変形能力と機械的特性を持つ複雑な構造を作成することができ、これは航空宇宙、ソフトロボティクス、人工筋肉などのさまざまな分野で広範な応用が可能となります。

応用

本研究で開発された4Dプリント技術と連続繊維強化液晶エラストマー(CFRLCE)の利用は、さまざまな産業分野での応用が可能です。その具体的な応用例は、ソフトロボティクス、人工筋肉の開発、医療用具の製造、そしてスマートテキスタイルの製作などです。例えば、ソフトロボットにとって、繊維の方向や位置を制御し、複雑な運動を生成する能力は極めて有用です。また、人工筋肉は、高度なプロセス制御や快適さを必要とする医療やリハビリテーションの分野で役立ちます。さらに、スマートテキスタイルの製作では、着用者の動きに反応して形状や機能を変えることが可能になります。

単一分子の完全な熱電特性評価

https://www.nature.com/articles/s41467-023-39368-7#auth

Fig. 1: Experimental setup and measurement protocol.
a Schematic representation of the MEMS structure used in the differential measurement of the junction thermal conductance κ J. b The electrical conductance, G, is used as reference (green vertical line) to find the rupture point of the molecular plateau. The thermal conductance is then obtained as the difference between the values before and after the rupture point. c Schematic representation of the technique used for the thermoelectric characterization of a single molecule junction. The red switch represents the biasing status of the tip. When no electrical bias is applied, the measured current consists of only the thermoelectric contribution; d typical example of an opening trace: I(t) and VBias(t) for a single-molecule junction. The green-dashed lines represent the breaking points for the single atom and single-molecule junctions, respectively; e typical Seebeck voltage measured across the junction when VBias = 0, here at ΔT = 40 K. The width of the distribution is given by the different configurations the molecule can assume inside the junction.

この論文は、単一分子の熱電特性を完全に測定するための新しい方法について述べています。

①事前情報 :
単一分子を介した熱と電荷の輸送は、電力管理やエネルギー変換など、さまざまな分野で重要です。分子接合部の熱電エネルギー変換は、分子の化学構造を原子レベルで調整する可能性に基づいて、効率の大幅な向上が期待されています。

②行ったこと :
著者らは、部屋の温度で単一分子の総熱伝導と電気伝導を測定し、Seebeck係数を同時に測定するための方法を開発しました。この研究では、特定の分子(DHBT-OPE3-An)を使用し、その電子的、熱的、および熱電特性を室温で測定しました。

③検証方法 :
分子は金プラットフォーム上にデポジットされ、濃度は0.1から1mM、30秒から2時間の範囲で調整されました。カスタムビルトの走査型トンネル顕微鏡(STM)内で、高真空(約10^-7 mbar)および室温で測定が行われました。電気伝導と熱伝導は、サスペンション式のマイクロ電気機械システム(MEMS)を使用して同時に測定されました。

④分かったこと :
この研究により、室温で単一分子の完全な熱電特性を実験的に測定するための包括的な方法が報告されました。分子DHBT-OPE3-Anの熱電特性を完全に特性評価し、熱伝導の電話的寄与を含む、室温での単一分子の完全なzT(材料の熱電特性の指標)を初めて実験的に測定しました。

⑤この研究の面白く独創的なところ :
この研究の革新的な側面は、単一分子の熱電特性を室温で完全に測定するための新しい手法を開発したことです。これにより、分子の化学構造を調整して熱電変換効率を向上させる可能性が詳細に調査されます。また、この手法は、分子接合部の電子的、熱的、および熱電特性を同時に測定するため、熱電材料の効率を評価するための包括的な方法を提供します。

応用

本研究で開発された単一分子の熱電特性を測定する新しい手法は、特にエネルギー変換と電力管理の分野で重要な役割を果たすと予想されます。分子の熱電変換効率を詳細に評価することで、分子の化学構造を最適化して熱電変換効率を向上させる新たな方法が開発できる可能性があります。これは、太陽熱電力発電、廃熱回収、そして熱電冷却システムのような熱電材料の応用におけるエネルギー効率を向上させる可能性があります。

また、ナノテクノロジーや分子エレクトロニクスの分野でも有用な応用が考えられます。例えば、電子デバイスの熱管理、またはエネルギー効率の高い電子デバイスの設計と制御に関わる研究に役立つ可能性があります。

ポラリトン伝搬と相互作用の超高速イメージング

https://www.nature.com/articles/s41467-023-39550-x#auth

Fig. 1: Tracking EPs in a layered halide perovskite microcavity.
a MUPI setup and sample. b Momentum-resolved white light reflectance spectrum of our primary sample, a 0.67 μm thick slab of the layered halide perovskite (CH3(CH2)3NH3)2(CH3NH3)Pb2I7 flanked by two metallic mirrors. Dashed lines correspond to a coupled oscillator model fit; the right side of the figure is a scattering matrix simulation of the structure (Fig. S4). c Exciton transport probed at k = 0, E = 2.17 eV following above-gap (2.41 eV) pump excitation. d EP transport probed at k = 8.98 μm−1, E = 1.77 eV following 2.41 eV pump excitation. The probe energies and momenta used for panels (c) and (d) are illustrated with circles in panel (b); the pump energy and momentum range is illustrated with a blue ellipse. e Monte-Carlo simulation of MUPI contrast generated during EP propagation. Scale bars for panels (c–e) are 2 μm. f Mean squared displacement (msd) of bare excitons from data in panel (c). Error bars are one standard deviation. The solid curve is a fit assuming trap-limited diffusive transport. g msd of EPs from data in panel (d). Error bars are one standard deviation. The solid curve is a fit assuming ballistic transport. h Differential pump ON/pump OFF angle-resolved reflectance spectrum obtained at 1 picosecond pump-probe time delay, displaying pump-induced modification to the EP dispersion when pump and probe beams are spatially overlapped. i Same as panel (h), with the probe spatially separated from the pump by 1.1 μm, selectively probing EP species that have propagated away from the excitation spot.

この論文は、半導体中のエキシトン・ポラリトン(EP)の伝播と相互作用についての研究を報告しています。

①事前情報:
エキシトン・ポラリトン(EP)は、半導体中のエキシトン(電子-ホール対)が光子と混合することで形成されます。EPは、光子のようなEPは高度に一潔で、エネルギー技術に理想的な長距離の弾道エネルギー流を示します。一方、エキシトンのようなEPは、単一光子量子スイッチにつながる可能性のある超強力な非線形相互作用を持続します。

②行ったこと:
著者たちは、EPの伝播と相互作用をフェムト秒-ナノ秒スケールで直接観察するための新しいアプローチを開発しました。このアプローチは、空間的に解像された遠視野光学顕微鏡に基づいており、"Momentum-resolved Ultrafast Polariton Imaging (MUPI)"と名付けられています。

③検証方法:
MUPIは、エキシトンまたはEPを生成するために可視光のフェムト秒パルスを使用します。その後、制御された時間遅延でパルスの有無でサンプルをイメージングします。パルスON/パルスOFFの差分画像は、パルスによって生成された種の空間分布を直接示し、これをサブ回折限界の空間精度で追跡することができます。

④分かったこと:
著者たちは、EPの伝播が格子フォノンとの散乱によって大きく影響を受けることを明らかにしました。これは、EPの速度が室温で最大40%まで再規格化されることを示しています。驚くべきことに、これらの強いEP-フォノン相互作用にもかかわらず、EPは最大50%のエキシトン性格まで弾道輸送特性を保持します。50%のエキシトン性格を超えると、物質媒介の相互作用が非凡性と拡散輸送を引き起こします。

⑤この研究の面白さと独創的なところ:
この研究は、エキシトン・ポラリトン(EP)の伝播と相互作用をフェムト秒-ナノ秒スケールで直接観察する新しい手法を開発しました。これにより、EPの伝播が格子フォノンとの散乱によってどのように影響を受けるかを定量的に評価することができました。また、この研究は、EPが最大50%のエキシトン性格まで弾道輸送特性を保持することを明らかにしました。これらの結果は、光子と物質の特性を組み合わせたエキシトン・ポラリトンの理解を深めるための重要な一歩となります。

応用
本研究で開発されたエキシトン・ポラリトンの伝播と相互作用を観察する新しい手法は、特に量子光学、光エレクトロニクス、および量子情報技術の分野で重要な応用が考えられます。具体的には、この手法を利用してエキシトン・ポラリトンの挙動をより正確に制御することで、高効率の太陽電池、レーザー、光スイッチ、光デバイスの開発が進展する可能性があります。さらに、非線形光学現象の理解を深めることで、強力な単一光子スイッチなどの量子デバイスの設計と制御にも寄与する可能性があります。


光レドックス触媒を用いた電子不足インドール誘導体のジアステレオ選択的脱芳香族プレニル化および逆プレニル化反応

https://www.nature.com/articles/s41467-023-39633-9#auth

Fig. 1: Synthesis of prenylated and reverse-prenylated indoline scaffolds.
a Enzyme-catalyzed (reverse-)prenylation of complex molecules with isopentenyl pyrophosphate (IPP) or dimethylallyl pyrophosphate (DMAPP). b Representative naturally occurring prenylated and reverse-prenylated indoline products. c Previous work, transition metals-catalyzed allylic substituent reactions of electron-rich indoles. d This work, our designed strategy for the diastereoselective dearomative prenylation and reverse-prenylation of electron-deficient indoles via photocatalytic tandem Giese radical addition/Ireland–Claisen rearrangement. FG functional group, DG directing group, LG leaving group, PC photocatalyst, TMS trimethylsilyl.

この論文は、電子不足のインドール誘導体のジアステレオ選択的な非芳香族化プレニル化と逆プレニル化について報告しています。

事前情報
プレニル化および逆プレニル化インドリンは、多くの天然インドールアルカロイドに存在し、重要な生物学的特性を持つ特権的な骨格です。しかし、電子不足のインドールは、その核性が低下するため、あまり探求されていません。

行ったこと
著者らは、光レドックス触媒を用いたGieseラジカル付加/Ireland-Claisen転位の連続反応を開発しました。これにより、電子不足のインドールのジアステレオ選択的な非芳香族化プレニル化と逆プレニル化が、穏和な条件下でスムーズに進行します。

検証方法
この研究では、さまざまな電子不足のインドールとα-シリルアミンを用いて、連続反応の有効性を検証しました。また、反応の最適化として、異なる光触媒や溶媒を試しました。

分かったこと
この連続反応により、電子不足のインドールから構造的に多様なプレニル化および逆プレニル化インドリン誘導体を直接的かつ立体選択的に合成することが可能であることが明らかになりました。また、この方法は、高機能性と優れたジアステレオ選択性を持つ2,3-二置換インドリンを効率的に合成することができます。

この研究の面白く独創的なところ
この研究の独創性は、電子不足のインドールからプレニル化および逆プレニル化インドリンを直接的かつ立体選択的に合成する新たな方法を開発した点にあります。これは、インドールアルカロイドの合成における重要な進歩を示しています。また、この方法は、電子不足のインドールを用いた新たな化学反応の可能性を開くことができます。

応用

この研究は、医薬品の合成や新たな有効成分の開発に対するアプリケーションが考えられます。具体的には、電子不足のインドールからプレニル化および逆プレニル化インドリンを直接的かつ立体選択的に合成する方法を提供しているため、これらの化合物が含まれる天然インドールアルカロイドの合成が容易になるでしょう。これらのアルカロイドは、多くの場合、抗菌、抗炎症、抗腫瘍などの薬理活性を持つため、新たな医薬品の開発に利用できます。


アプタマーに基づく超解像RNAイメージングのための高速交換スピロ環状ローダミンプローブ

https://www.nature.com/articles/s41467-023-39611-1#auth

Fig. 1: FLAP concepts for aptamer-based RNA imaging.
a Schematic illustration of the fluorescence turn-on mechanism of fluorophore-quencher conjugates binding to their cognate aptamer. b Chemical structure of fluorophore-quencher conjugates used as ligands of the rhodamine-binding aptamer RhoBAST. c Scheme of fluorescence light-up of spirocyclic rhodamines upon binding to RhoBAST. d Equilibrium of rhodamines between spirocyclic (closed) and quinoid (open) form. e Strategies for tuning the spirocyclization equilibrium and the corresponding rhodamine derivatives synthesized in this work; left: fluorination; right: amidation.

この論文は、RNAの視覚化における主要な課題である高い空間的および時間的解像度を持つライブセルRNAイメージングを可能にする新たな手法を提案しています。具体的には、著者らは、ライブセルまたは固定セルでのRNAの視覚化に適した蛍光ライトアップアプタマーシステムを可能にするスピロ環状ローダミンプローブを設計しました。これらのプローブは、2つの異なる超解像顕微鏡モード、SMLMとSTED、を用いてRNAを視覚化することができます。

【事前情報】
生命科学において、蛍光顕微鏡は主要な技術となっています。しかし、RNA分子のイメージングにはまだ限定的な手法しかありません。近年、蛍光ライトアップアプタマー(FLAPs)がライブセル内のRNA視覚化のための有望なツールとして登場しています。

【行ったこと】
著者らは、SpyRhoの性能をSMLMで評価し、ライブ哺乳動物細胞内の特異的にラベル付けされたRNAの初めての超解像STED画像を報告しました。

【検証方法】
SpyRhoは、高い輝度、蛍光ターンオン、高い光安定性、そして速いリガンド交換動態を特徴とする新たな蛍光プローブであり、これによりRNAの視覚化が可能になりました。また、これらのプローブは、STEDとSMLMを含むさまざまな蛍光イメージングモダリティでの超解像RNAイメージングのための多目的ツールとして機能することが示されました。

【分かったこと】
Pこの研究の独創的な点は、新たな蛍光プローブSpyRhoの設計とそのRNA視覚化への応用です。これは、ライブセルまたは固定セルでのRNAの視覚化に適した蛍光ライトアップアプタマーシステムを可能にします。また、SpyRhoは、STEDとSMLMを含むさまざまな蛍光イメージングモダリティでの超解像RNAイメージングのための多目的ツールとして機能することが示されました。これにより、RNAの視覚化における主要な課題である高い空間的および時間的解像度を持つライブセルRNAイメージングが可能になりました。

応用

この研究の現実的なアプリケーションは主に生物学と医学の領域にあります。具体的には、この新たな蛍光プローブSpyRhoは、RNAの役割や機能を理解するための新たな道具として使用される可能性があります。これにより、細胞内でのRNAの動きや分布、細胞間でのRNAの交換など、RNAの生物学的な振る舞いをより詳しく研究できます。また、疾患の発生メカニズムや治療法の開発にも貢献できます。RNAは、遺伝子発現の調節や細胞機能の制御に深く関与しているため、RNAの異常はさまざまな疾患、特にがんや神経疾患と関連しています。




最後に
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