高額販売機

路地の一角にもう現役を引退した自動販売機があった。

普通の自動販売機とは違い、商品がとても高額のものばかりだ。

千円札も使えますと書いてあるが千円札じゃないと買えないようなものもある。


一番左端のものは5000円もする。

気になったのでゴミ山に足を踏み入れ、正面から写真を撮ってみた。

何やらいかがわしいものであることは分かるが劣化しすぎてよく分からない。


そして、"硬貨の釣銭、返却は致しません''

これもよく分からない。お釣りは返って来ないし、間違えて入れても返ってこない。

何ともシビアな世界。


だいいち、こういういかがわしいものを買うときというのは周りの目を気にするあまり焦ってミスすることが多いのではないか？


そんなときですらお金は返ってこない。

これが引退した所以ではないのか。


それにしてもこの商品は何なのだろうか…

60分5000円のやつを購入したら何が出てくるのか、そしてどんなサービスを受けることができるのか。


買ってタバコみたいなものが出てきて、そっから60分？なにか箱の中に電話番号が書いてあって60分間電話できるのか？その通話料金はどっち持ち？番号が書いてあるなら何度も電話出来そうだし…。


時間が書いてなくてただ5000円という商品もあれば3000円のものもある。

これに関してはもう何かも分からない。

どの商品がどんなものでどんなサービスを受けることができると分かるのだろうか…。

見る限り、違いと内容が分からない。


そして、何より高すぎると思う。

60分の電話で5000円。風俗事情にあまり詳しくはないが5000円あれば今ならもっといいサービスを受けることができるのではないか。


時代の流れに取り残されゴミ山にひっそり佇む自動販売機。きっと昔は男たちから人気だったのだろう。

少し寂しげに見えたので100円入れみた。

やはり返ってこなかった。