【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第54話
「それに私がお金持ちなのは、聞き耳覗き見していたのですから知っているでしょう。私の給金を補償するという話。おいしいのでは? 貴方はどこの馬の骨ともわからない、一目で異国の者だとわかるその外見です。まともな働き口を見つけられるのかという観点から考えても、旨味しかないのでは?」
「そ、れは……」
一瞬真顔になってから、項垂れてしまいましたね。
「そちらの世界から足を洗うなら、今だと思います。そして私も、貴方のそうした弱味があるからこそ安心して雇えます。この後宮や朝廷から遣わ