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太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?

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とある娘は何度目かの転生を果たす。 前々世は異世界にある大和の国で太夫と呼ばれた。 前世はこの世界で傾国の娼妓と呼ばれ、最後はやり手爺に転身。 今世はこの世界で数打ち妃の1人から…
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#悪妃

【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第66話

「どうしたのです、静雲」 「巧玲、貴女もよ」  何かしら疑いを含む翡翠色をした皇貴妃の瞳…

嵐華子
3週間前

【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第65話

「……何故こうも、お前の淹れた茶は味が違うのだ」  銀の茶杯を軽く眺め、ゆっくりと口に含…

嵐華子
1か月前

【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第64話

「滴雫の淹れた茶は格別と聞いた。淹れてはくれぬか」  無駄に微笑んだ夫が、私の方にズイッ…

嵐華子
1か月前

【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第63話

「こうして四夫人が揃った事を慶事とし、皇妃と共に内々の茶宴を用意した。思えば他の宮の貴妃…

嵐華子
1か月前
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【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第62話〜三章前の…

次章に進む前の、主に登場人物をメインにまとめています。これから登場する三嬪について大きな…

嵐華子
1か月前

【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第61話〜小雪side

「門がやけに古めかしいな、右鬼」 「古めかしい? コレ、そんな程度か? 木が朽ちかけてい…

嵐華子
1か月前
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【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第60話〜小雪side

「兄様! 兄様! もういいよ! 何もしなくていいから! 手を離して逃げて!」  泣き叫ぶ私の体は、今よりもずっと小さい。  けれど崖にぶら下がっている私の手を掴んで必死に耐える兄様の体もまた、少年と呼べるほど幼い。眼下には凍える河が流れている。  私が兄と呼ぶ少年の体は、痛ましさを覚えずにはいられないほど火傷だらけだ。特に私を庇って炎に曝された右半身は酷い。  額から瞼にかけての3本爪の古い痕といい、いつも兄様は私のせいで大怪我をする。 「いたぞ! 将軍! いました

【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第59話〜牡丹宮筆…

「これで本当に全てか」 「は、はい、女官長。他の宮の筆頭女官にもつたえ、女官に周知するよ…

嵐華子
1か月前

【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第58話〜牡丹宮筆…

「玉翠様!?」  パリンと何かが割れる音がして主の部屋へと足早に向かえば、長年仕える主が割…

嵐華子
1か月前

【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第57話

「もちろん、先にどうするか皇貴妃に伝えておいて下さっても、下さらなくとも構いません。お嫌…

嵐華子
1か月前

【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第56話

「それで魔力が幾らか抑えられていたのでしょう」  更に言うならば殿方は命のやり取りをした…

嵐華子
1か月前

【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第54話

「それに私がお金持ちなのは、聞き耳覗き見していたのですから知っているでしょう。私の給金を…

嵐華子
1か月前
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【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第52話

「子猫というのはあの黒い靄の事ですか? あのように禍々しい靄が白虎だと?」 「モヤ?」 …

嵐華子
1か月前
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【太夫、傾国の娼妓(やり手爺)ときて今世悪妃とは、これ如何に?】第51話

「特に私、他の貴妃や嬪に喧嘩を売っております。誰かさんの純愛とやらの為に」 「ふぐっ」  食らえ罪悪感、とばかりに言葉を続けます。 「少なくとも盾にするか、何かの異常に警告を発するできる護衛は、今この時からでも必要なのです。陛下もここに居続けたり、逆にここを出てすぐに私が襲われ、話せぬ仏になれば困るのでは? せっかく最愛の妻を引き留める光が差したのですよ?」 「ふぐっ……腹黒い小娘め。どうあっても、その者を手中に収めると言いたいのか」  腹黒とは失礼な。自分の価値を高め