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親ばかのススメ

 「読む療育」目指しています。
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 もう何十年も個人塾の先生をなさっている人の話。
 当時は『発達障害』なんて言葉は無かったけれど、今考えると明らかにそうだったんだろうなと感じる子どもは時々いたよ、と話は始まりました。

「忘れられない親子がいるんだ。
中学受験をしたいって小5からうちに来た男の子でね、お母さんはピアノの先生をしていた。
今考えると、軽く学習障害があったと思う。手を変え品を変え、いろんなアプローチで勉強を教えてもなかなか身につかない。結局、中学受験は失敗してしまったのだけど、その後もうちに通い続けていた。

でもね、お母さんが盲目的に彼を信じている。成績が悪くても、運動が出来なくても
「うちの子ってすごいんです!」
ってニコニコしてる。彼が家でどんなにすごいかを嬉々として話してくる。
例えば運動会の徒競走で2着になった時も
「本当に惜しかったんです!うちの子って足もなかなか早いから!」
って満面の笑み。

大学受験の時は、お母さんがつきっきりでピアノを教えて、その時も
「音楽の才能が凄いんです!」
って言ってたけどね(苦笑)。
で、音大に受かったんだけど、その時勉強をみてる限りでは到底合格しないと思ってた。ピアノも聞いた事あるけど。
ところがね、その後ピアノで海外留学までしてるんだよ。
 なんか、彼がそこまで音楽の才能があったというよりも、お母さんの盲目的な愛情、ほとんど異常なくらいの親バカなんだけど、それが彼の才能を実力以上に伸ばしたような気がするんだ。

「あなたは凄い!」
と言い続け、子どもも
「僕は凄いんだ!」
と信じて何事にもトライすると、こんなにまで子どもは伸びるんだって思った。
口先だけでなく、本心からそう思わないと駄目なんだけどね…。

長年子ども達をみていると、やっぱりこの法則?は当てはまる。親が自分の子を信じてる家の子どもは伸びるんだよ。受験生でもね、ものすごく賢い子でどこまで伸びるか楽しみにしていた子でも、親が模試の結果なんかで
「もっと出来ると思ってたのに、この程度なのね」
と見切りをつけるような態度を取ると、本当にこちらが思うほど最後伸びない。
 とことん親バカになって良いんだよ。子どもはその方が絶対伸びる。情緒も安定する、、、」

障害を持つ沢山の子どもに出会ってきました。自閉傾向の強い子、知的に遅れが見られる子、肢体の不自由な子、、、。日々の暮らしをつないでいくだけで大変な家族も、お話するたびに涙してしまうお母さんもいらっしゃいました。安易に『信じる』ことが大切ですよ、なんて言えません。
 それでも、親ばかになりましょう!と言いたい。その子なりの歩みで良いと思うのです。
「これが出来るようになるまでにはもっと時間がかかると思っていたのに、こんなに早く習得出来るなんて、、、うちの子意外とすごかった!(笑)」
とか
「就職なんて絶対出来ないと思っていたのに、ちゃんと働けてます!」
という報告はしょっちゅう聞きます。どんな結果で嬉しいどんでん返しが来るかわかりません。
それならはじめから『なーんかこの子は(周りの期待以上に)やってくれそうな気がする』って親ばかになって良いのでは?

(現場にいる)私達はそもそも担当している子ども贔屓(びいき)になっているので
「(私の担当している子は)思っている以上に出来るのよ」
「いや、うちの〇〇ちゃんのほうが、、、」
なんて張り合ったりします。
#かなり本気で張り合います
そんな話もまた今度。


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