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視覚支援カードはまだ早い?

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 時々、保護者の方から相談を受けます。
「視覚支援カードってどんなものですか?」

 複数の療育に通っている場合や、障害についての知識を深めようと色々勉強されていると、いろんな意見、考えを見聞きし、情報の多さに翻弄されてしまうようです。こっちでは視覚支援カードが有効だと言われ、またあちらではカードはまだ早い(もしくは難しい)と聞かされ、、、。はてさて一体どちらが正しいのかしら?と悩んでしまう親御さんも多いです。

 私個人の意見としては、どんなお子さんにも視覚支援カードが有効だと考えていますが、
「一概にそうは言えないんじゃないか?」
という考えの療育者も沢山います。例えば自発的な要求がまだ出ていないお子さんの場合、カードを使うのは早いですよ、と言われてしまうことも多いようです。

 のんびり穏やかな子で(そうじゃなくても、ですが)、強い要求(例えば、どうしてもこのおもちゃで遊びたい!とか、これが食べたい!というような)があまり見られない場合、カードを練習しても要求がないからコミュニケーションにならないのでは?そもそもカードの練習も出来ないのでは?と疑問を持たれる方は多いです。
 例えばPECS(ペクス)というやり方だと要求が出ることが前提なのでそういう認識になるのかな、と思います。でもPECSに入る前にできることもあるのです。

 子どもからの要求がなくとも例えばトイレやお風呂、日常生活の中で絵カードや写真を使うことは十分意味があります。はじめはわけがわからないかもしれません。でも、トイレにいくときはトイレの写真を見せてからいく、スーパーに買い物に行くときはスーパーの写真を見せてからいく、そういう繰り返しで段々と
「あぁ、この写真のところに行くんだな」
「次はトイレなんだな」
と認識していくのです。そして、見せられる写真にはどうやら(次にやる事という)意味があるらしい、とわかってきます。そうなると、今度はその写真やカードをよく見る、という行為につながってきます。
 それまでどこに行くかもわからずに、連れて行かれるがままに行っていたトイレが、どこに行くのかを明確に知った上で行く場所になるのです。
 カードを見て嫌がるようになったら、それも成長です。カードを見て意味がわかり始めていることなので。まぁ、そうなっても厄介は厄介、だから好きなカード、例えばおもちゃやおやつなどのカードも必要で、その子の好きなもの、好きなことのカードも日常の中で見せる機会を増やす工夫をしなくては、ですけどね。

 自発的な欲求がないから、カードや写真を使うのはまだ早い、とあきらめないで欲しいなぁと思います。自発の欲求が出始めた時に、この「カードを見る」行為が下地として生きてきます。

 次の段階としては、例えば冷蔵庫の前にヨーグルトや牛乳、りんごジュースの写真を貼って欲しい物を選ばせる、なんて事をします(こうなったらもうPECSの練習も出来ますけどね)。
 そんな話もまた今度。

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