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ありのままで

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 ありのままを受け止められたらどんなにいいだろう、と思います。最近は
「ありのままの姿を受け止めることを園の方針にしています」
という保育園幼稚園が増えてきているように感じます。
 一人遊びが好きなのにむりやり集団の中で遊ばせようとしたり、苦手な食材を無理やり食べさせようとしたり、それはその子の気持ちを尊重していない。大事なのは、「ありのまま」「あるがまま」、、、。

 そのとおりです。子どもにはいろんな個性があるし、食べ物以外にも好き嫌い、苦手得意はあります。大人の扱いやすいように矯正したり型にはめるのは間違っている、というのは当たり前として、良かれと思って無理強いしたり、みんなと一緒に、を強要したりにも気をつけなくちゃね、という考え方。共感しかない。、、、ないのだけれど、なぜかモヤモヤしたものを拭いきれない。

「手洗いが嫌」
ならばタオルで拭くだけにしよう。
「待つのが嫌」
ならば待たなくても良いように配慮しましょう。
「ダンスの時間は嫌い」
ならばその時間は職員室でブロックで遊んでて良いよ。
「靴を下駄箱に入れるのは面倒くさい」
それなら先生が入れてあげます、、、。
 これらは別々の子どもがそれぞれ通ってる園で言われたことです。お母さんたちは一様に首をかしげていました。
「コレが配慮してもらってるってことですかね?子どものためになっているんでしょうか?」

 本来「ありのままの姿を受け止める」というのは、その人の生まれ持つ個性や特徴を尊重するということです。肌の色も国も性別も才能だって、みんな選んで生まれてくるわけではなく変えることの出来ないものです。その部分は大いに尊重されるべきだし、他人がとやかく言うことでもありません。
 では、社会の中で生きるということはどうでしょう?守らなければいけないルールがあり、好き勝手に出来ない現状があります。これは「ありのまま」ではない、のかな?


 いえいえ、社会のルールは「ありのまま」でいるために必要なものだと考えます。
 自分の「ありのまま」を認めてもらうには他人の「ありのまま」を受け入れる事も必要です。自分の好きなものと他人の好きなものは違う事を認めなくてはならないし、自分の信じるものと他人の信じるものは違う事を学ばなくてはなりません。お互いがお互いを尊重して日々を営んでいくためには最低限のルールが必要。

 子どもたちだって同じ事。同じ遊具で遊びたいなら順番を守らなくてはいけないし、泥んこ遊びをしたならちゃんと手を洗わなきゃ。お遊戯が嫌いなら楽しく出来るような工夫が大人側が考える必要があるし、靴を下駄箱に入れない子には手を添えてでも入れる事を覚えてもらわなくっちゃ。
 どれもこれも社会で生きていく上では最低限のルールです。
#お遊戯は別か

 発達に凸凹がある子どもは、すぐにかんしゃくを起こしたり、衝動性が高かったり、気持ちの切り替えが下手でずーっと泣き叫んでしまったり、、、します。嫌なことがあると部屋を飛び出してしまったり、自傷が始まったり(もちろん他害も)、パニックになって思いも寄らない行動に出たりもします。その状態を落ち着かせるのは本当に大変。至難の業。そうならないように、なるべく波風立たないように腫れ物に触るかのように扱われている子がたまに、いえ結構います。そして、時々聞くのが
「子どものありのままの姿を受け入れています」
の言葉。単に放っておいてるのでは?とも思わなくないけれど、園の方針としては間違っていないし、そう言うしかない現実があるのもわかる。だからなんだかモヤモヤするのです。
 事実、何十人もの子どもを担任一人でみる状況の大変さは経験しないとわかりません。手のかかる子1人とじっくり関わる時間はない。
#断言します


 どうすれば?です。もっともっと療育の現場と保育園幼稚園がつながるべきだし、お子さんに対して
「大変だな」
と感じるのであれば、「加配(通常の配置基準を越えて職員を配置すること)」をつけるべきじゃないかな。
 療育の現場では見学も相談もウェルカムです。コロナで以前のようには積極的に出来なくなった、というのもありますがそれでも電話やオンライン、いろいろなやり方で相談を受け付けているところがたくさんあります。問題のある行動に関しては、園と療育、家庭での対応が一致していることが一番早く問題解決に繋がります。それぞれの場所で対応が違うと、子どもの困った行動は収まりません。
 加配に関してももっと積極的で良いと感じます。1人増えるだけで、困り感はグンッと減る。そして『できない子』とレッテルを貼られている子どもが、『ちゃんとできる子』に汚名返上する機会も沢山あるのです。
 そうして初めて本当の意味で
「その子のありのままの姿を受け入れています」
になるんじゃないかな、と。


 モヤモヤすることもありますが、意外(?)とスッキリすることも多い日々です。なんと言っても大声で笑っても咎められないのは子ども相手の仕事ならでは。
 そんな話もまた今度。


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