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「落ち着いて!」と言う前に出来ることがある

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 ABAのセラピストとして働くかたわら、フリーのビジョントレーナーとしても活動しています。

 先日トレーニングをしていて
『なるほどな』
と思うことがあったので、本日はそんな話を。
#思い当たるお子さんも多いハズ

 ビジョン(視覚)とはいわゆる視力のことではありません。
 両目の筋力のバランスや視野範囲、両目を同時に動かせているか、はたまた目と手、目と体とのチームワークは取れているかどうか、などなど「見る」ことに関しての総合的な感覚のことを指します。
 「板書が苦手」や「漢字を覚えられない」などの原因は「視覚」の問題だったりすることもしばしば。
#学習障害にビジョントレーニングは有効です

 この「視覚」をトレーニングするときに、同時に他の関係ある感覚(聴覚や平衡感覚などなど)も一緒にトレーニングします。
#そのほうが効率が良い

 先日、平衡感覚やボディイメージを強化するために足型の描いてあるレーン?を用意して、その足型に足をのせて歩いてもらうトレーニングをしていたところ、どうしても本来歩くべきレーンではなく、隣のレーンに足をのせようとしてしまうお子さんが、、、。

 目の前の足型に足を乗せればよいのに、わざわざ隣のレーンに足を持っていこうとする。
#そのほうが難しい
これは「視覚」につまずきがあるということ。
「周辺視野」が「中心視野」より強く働いているのかな、という見立て。

(ここから少し専門的な話になるかも。ついてきて!)


 目の前に視界を覆う大きなドーナツを想像してみてください。穴の空いた部分が「中心視野」にあたるところで、ドーナツ部分が「周辺視野」にあたるところです。

 周辺部の視細胞は明暗やモノの動きを捉える働きがあり、本能的な行動に使われます。
 例えば野生動物。特に草食動物は敵が視界の端にちらっとでも見えたら即座に逃げなくては食べられてしまいます。また、肉食動物は視界の端に餌となる動物の影が見えたら即座に飛びかかろうとします。

 一方、中心部の視細胞は色や形、輪郭などを見るところです。文字を読んだり、包丁でものを切ったり、掃除をしたり、、、と対象に焦点をあわせる必要があります。
 実はこの中心視、眼球運動がスムーズに出来てこそ上手に焦点を合わせ「見る」ことが可能になるのです。

 つまり対象を見ようとする意思があっても、目をうまく使えていないことで「周辺視」にシフトしやすくなってしまい、先に書いたように自分の目の前のレーンではなく隣のレーンを歩こうとしてしまったり、するというわけ。

 さて、今日のタイトルの
『「落ち着いて!」と言う前に出来ることがある』
というのはまさにこの「眼球運動」のこと。

 発達障害児は落ち着きがない子が多いですが、原因の1つとしては、中心視がうまく出来ていないことがあります。周辺視が働きすぎて視界の端に映ったものをなんでも捉えてしまうために、集中しようとしてもそちらに気をそがれてしまう。だから
「落ち着いて!」
と言う前に
「集中して!」
と言う前に、眼をスムーズに動かすトレーニングは有効なのです。
#それがビジョントレーニング

 眼の使い方は訓練次第でどんどん上手になります。そして中心視が出来るようになると同時に、周囲に気を取られなくなった子は集中力が格段に上がります。

 逆を言えば、周辺視が働きすぎてしまう子に
「落ち着いて!」
「集中して!」
とやみくもにいうのは少し酷というもの。
#その子のせいじゃない

 さて、ビジョントレーニングの可能性、少しは伝わりましたでしょうか?

 ビジョントレーニングで変わるのは子供の落ち着きだけではありません。姿勢や運動神経の向上も、、、。
 そんな話はまた今度。

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