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「東京エクストリームウォーク100」に参加しました

イベント等の制限が緩くなってきて、マラソン大会などスポーツイベントの開催もじわじわ増えてきたので「何か参加したいなあ」と探していた時にたまたま見つけた「東京エクストリームウォーク100」。

ハーフマラソンまでしか参加したことがなく、次はフルマラソン、ゆくゆくはウルトラにも挑戦したいなぁ、とは考えていたけど、まさかウォーキングで100kmなんてイベントがあったとは。

でも歩きでしょ?
たいしたことないんじゃないの?
普段から走ってるし!
しかも制限時間26時間。
1時間に5km歩くとして20時間だから6時間分も休憩できるし余裕じゃん?
面白そうだし、いっちょやってみっか!

ということで参加してみました。

イベント概要

  • 小田原城から神宮外苑まで100kmの道のりを歩く

  • チャレンジ部門は制限時間26時間、エキスパート部門は同行程を24時間

  • (↑チャレンジ部門でエントリーしました)

  • 湘南海岸までの36kmを歩くビギナーズ部門もある

  • CP(チェックポイント)3か所、AS(エイドステーション)3か所

  • CPとASどちらも多少の飲料と食料をもらえる

自分のスペック

  • ランニングは月100km

  • ハーフマラソンの大会は4回ほど出場、1時間45分~55分程度の走力

  • フルマラソンは未経験だが山手線1周走ったことはある(約45km)

  • 一昨年に膝を痛めて以来、ハーフ以上走ると痛みが再発するも歩きは平気

  • 散歩は趣味程度で、そんなに長くは歩かない

準備

未経験なのでネットで経験者のブログ等から情報を集め、当日の持ち物やペース配分などの作戦を練る。
トレーニングとして、普段のランニングの他に、昼夜1回ずつ予行演習を行う。

まずは昼間に5時間25kmのウォーキング。
ぜんぜん余裕。
特に大きな疲労や痛みもなく想定通りのペースで歩ける。

次に、未経験の徹夜ウォーキングをやってみる。
仕事後、終電1時間ほど前から明け方まで、6時間約30kmのウォーキング。これも特に懸念なく完歩。
あれ、やっぱり余裕で完歩できるんじゃない?

一番の心配は雨。
数日前の予報では、当日は大雨・・・
雨の中で行動するのが苦手なので、濡れないようにちゃんとしたスポーツ用レインウェアを用意。
(前日の予報では午前のみ雨になってたので一安心)

当日

5/14午前中、天気は予報通り雨。
霧雨とかではなく、けっこう強い。
スタート時刻になっても雨の勢いは衰えず、上下とも防水装備で臨む。

スタート [小田原城址公園]⇒第1AS [平塚漁港しおかぜ広場]

8時20分過ぎにスタート。
同時刻に出発した人たち、意外と歩きが速い。
若干焦りを感じながらも自分のペースを保って進む。
どんどん追い越される・・・でも競技じゃないので、あまり気にしてはいけない。

小田原城を出たところ。雨の行軍。

上下レインウェアで汗をかき始めてやや不快感があるも、1時間ほどで雨が止んだのでさっさ脱ぐ。あぁ、爽やか。風が気持ちいい。
コース沿いのコンビニは同じ参加者で混雑していて、特にトイレ待ちの列が長くて大変そうなのでスルー。

コースは、まず東海道をまっすぐ。平塚市への境を越えたところで旧東海道へ入って市街地を横切り、相模川手前で右折し平塚新港へ。
特にトラブルもなく、エイドステーションには13時半頃到着。

ここまで24km。全行程の4分の1。
まだまだ余裕。

エイドステーションは賑わっていました。カレーパンがおいしかった。


第1AS⇒第1CP [湘南海岸公園 クラゲ広場]

相模川を渡り、コースは茅ケ崎海岸の遊歩道へ。
いい景色の中歩くので、最初はいい気分だったけど・・・

じんわり湿気の多い海風と午後の日差しが徐々に体力と気力を奪っていく。
どこまで行っても見えるのは砂浜とサーファー。変わらない景色。
チェックポイント近くにある江の島が見えてくるも、一向に近づいている感じがしない。

江の島が徐々に大きく見えてくる気もするし、変わらない気もする。

水分補給に気をつけ、ブラックサンダーを食べながら黙々と歩く。
16時半頃、チェックポイント到着。
芝生に座って食べるおにぎりが美味しい。

ここで36km。まだ3分の1。
先は長い。

第1CP⇒第2CP [横浜市児童遊園地]

海沿いを離れ、ここからは戸塚方面へ北上。
最初のコンビニでお菓子とドリンクを補給。
次のチェックポイントまでは20km。
距離を意識するとちょっとしんどいので、無理矢理楽しいこととかを考えながら歩く。
(なぜか「復活のイデオン」が脳内無限ループしてた)

いつの間にか日が沈み、視界が悪くなってきたのでヘッドライト点灯。
戸塚駅を越える頃にはもう夜の暗さ。
景色が見えなくなってきて、目を楽しませるものも少なくなってきた。
行き交う車のライトが眩しい。
疲れからか、補給する水分量が増え、だいぶ足の疲労も溜まってきた。
途中で寄ったコンビニでも、同じ参加者が辛そうな顔をしている。

21時半頃、チェックポイント到着。

CP出発時の時間。関門時間が・・・?

出発するとき、このチェックポイントの門限が22時だったことに気づく。
あれ?ペース間違った?
こんなにギリギリでいいんだっけ?

スタッフから、最寄りバス停の終バス時刻を伝えるアナウンス。
そして、周囲から「リタイアします」という声がちらほら。
だいぶ焦り始める。

第2CP⇒第2AS [ポートサイド公園]

最寄りのバス停には、数人の参加者が並んでいた。
この人たちはもう帰って寝るだけなんだ。
いいなぁ・・・

誘惑を断ち切るようにペースを少し上げ、横浜みなとみらいへ向かう。
距離は14km。さっきよりも短いけど、地図を見るとうんざりするほど遠い。
通行する車も少なくなり、すれ違う人も仕事帰りか酔っ払い。
この人たちも今日はもう帰って寝るだけなんだよなぁ。

やがて日を跨ぎ、普段ならもう家にいて寝る準備をする時間。
なのになぜか横浜にいて、なぜか歩いている。ふしぎ。
あー、さっきから寝ることばかり考えている。
まだ眠くはないけど、横になりたい。布団が恋しい。

横浜スタジアムが見える頃には気温が下がってきて、トイレに行きたくなることが増えた。
股関節が痛み始める。
足の指の関節がだるい。
足の裏が痛い。靴下を脱ぐと、大きなマメができていた。

もう夜景を楽しむ余裕がない。

痛む足をかばいながら、1時過ぎにエイドステーション到着。
ベンチで横になりたかったけど、そのまま寝てしまいそうなので我慢。

第2AS⇒第3AS [稲毛神社]

だいぶ寒くなってきたので上着を羽織り出発。
足の裏のマメが辛いのでワセリンを塗るも、あまり効果なし。予防策なので、マメが出来てからでは遅かった。

ここからは、あまり記憶がない。
体調が思わしくなく、水分補給してもすぐに排出されるかのような尿意が続いていて、第一京浜沿いのほとんどのコンビニに入ってトイレを借りた気がする。

少し空が明るくなり始めたころ、11km先、川崎のエイドステーション到着。
神社の境内。
食欲がないけど菓子をむりやり喉に入れ、座り込む。

ここまで80km。
よく頑張ったよ。がんばった。
もういいよ。
そろそろ始発電車の時間だし、リタイアしよう。
・・・でも、隣に座っている人、自分よりはるかに年上で定年過ぎてそうなのに、まだまだ歩けるぞ!ってくらい元気でニコニコしてるんだよなあ。
なんか悔しいなあ。
・・・もうちょっとだけ頑張るか。

第3AS⇒第3CP [鈴ヶ森道路児童遊園]

出発して間もなく、多摩川を越える。
やっと東京都に入った。

ゴールが見えてきた・・・?

ここからはほぼ知っている道。
モチベーションを維持するために短距離の目標を設定して進むことにする。
京急沿いの道なので各駅を目標に。
チェックポイントまでは7駅。

だいぶ多くの人に追い越された。
もう、股関節も膝も足首もアキレス腱も足指も足裏も痛みがひどい。
足を引きずる。
登山用のポールを持ってこなかったことを後悔。
手も使って歩けるからだいぶ楽なはずなのに。
余計な荷物になると思い、家に置いてきてしまった。
このまま歩き続けたら、二度と足が使えなくなるかもしれない。
というか、死んでしまうかもしれない。
死。
歩いているだけなのに死を意識してしまうとは。
ああ、遺骨は海に撒いてくれ。

などと考えながらも、なんとかチェックポイントへ到着。

もう明るい時間。

まだ関門時間には余裕がある。
ここで休憩している参加者もかなり多い。
時間内にゴールできそう。
さっきリタイアしなくてよかった。

安心したのか、貰った羊羹を食べながら、少し泣いた。

第3CP⇒ゴール [明治神宮外苑 室内球技場]

あと12km。
ランナーズハイなのか、ウォーカーズハイなのか、徹夜明けだからなのか、泣いたからなのか、テンションが高い。
この先に待っている感動のゴール!を想像して、叫びたい気分になる。
やったぞ、やりきった!(まだゴールしてないのに)

品川駅を通り過ぎる頃、足の痛みがさらに強くなり、多少の吐き気を催してきたので、かなりペースを落として進む。
少し歩いて、休んで、また少し歩いて、また休んで・・・
タイムリミットに間に合うか分からなくなってきたけど、もう間に合わなくてもいいや。
とにかくゴール地点に辿り着ければ。
少しずつでいいから進もう。

東京タワー手前を左折し、六本木ヒルズを通り過ぎ、あともう少し!というところで、ちょっとしたトラブルに遭遇。
ドラマのロケをやっていて、コースが塞がれている!
約5分の足止め。
最悪のタイミング。イラっとしたけど、ラストスパートができるくらいの休憩ができたので結果オーライ。

そこを曲がれば・・・!

道路標識にも「神宮外苑」の文字が見え、本当にあと少し。
他の参加者たちも笑顔になっている。
そして・・・

一人ずつゴールテープを切らせてくれました。

ゴール!
なんとか時間内に辿り着けた!
生きて帰れる!
ありがとうございました!

なんとか26時間以内にゴールできました!

感想

どこかで見た過去参加者の「思った以上にエクストリームでした」というコメントが気になって参加したこのイベント。
確かに、エクストリームでした。
そもそも24時間以上歩き続けるというのがもう非日常的だし、「歩く」という動作だけで死ぬかと思ったのは初めてではないだろうか。

正直一番辛かったのは、ゴールした後、帰るための駅までの道のり(笑)
ひと休みしたとはいえ、ボロボロになった足を引きずって歩く駅までの数百メートルが地獄のようだった・・・

というか普段10kmくらいしか走ってないやつがその10倍を歩けると思うなんて、ひどい勘違いですね。
練習で30km歩いたくらいで、余裕!なんて言っちゃったりして、なんと愚かなことか・・・
100kmウォークなめてました。
ごめんなさい。

あと、今回すごく辛いと思った原因として、会話を控えていたのがあるんじゃないかと思います。
実は自分と同じくらい歩けそうな友人を誘ってたんだけど予定が合わず一人参加。
さらにコロナ対策もあって他の参加者とのコミュニケーションもほとんどしませんでした。
他の参加者との声かけがあれば、もっとモチベーションを維持して楽しく歩けたかもしれない。

いろいろネガティブな気持ちを書いてしまいましたが、それでも「自分の足だけで100kmを踏破する」ということへのワクワク感がずっと持ちながら歩いていて、全体的には楽しかったし、何より完歩したときの達成感は何物にも代えがたいし、貴重な経験をさせてもらえたと思っています。

ちなみに、その後の最初の1週間くらいは「100kmウォークなんてもう二度とやることはないだろう」なんて思ってたけど、今はもう次のイベントを探してしまっています。
もっと足腰を鍛えて、今年中にフルマラソン1回、来年にまた100kmウォークできたらいいな。

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