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生まれる時代を間違えなかった まとめ

#江戸時代 /中間管理職/器用貧乏/不器用な恋/日常/恋愛#
12,516文字

※以下、ネタバレを含む感想です。ネタバレNGな方はご注意下さい※

 泰平の江戸時代。お城を持つことのできない小国の多川たがわ藩が舞台です。

 藩主と国家老は小国のやりくりに疲れ無理やり隠居。木下静太郎せいたろうは仕方なく国家老を継ぎます。

 「生まれるのが100年遅かった」と言われる戦国武士タイプや「生まれるのが100年早かった」と言われる天才タイプのなかで、「自分は生まれる時代を間違えなかった」と思っている静太郎が主人公です。

 読んだ感想としては、1番生まれる時代を間違えているのは静太郎です。200年後の現代に生まれるべき理想の上司そのもの。

 同性婚や事実婚への理解と配慮があり、部下の良いところを素直に尊敬して見習おうとします。

 そしてその様子に地味にキュンキュンし続けるんです。

 おそらくこの物語のなかで実際に1番モテているのは、静太郎の近習の十兵衛でしょう。商人や農民にも分け隔てなく包容力を振りまいていそうです。
 十兵衛は届きそうで届かない絶妙な距離にいる大人の男性で、きっと私がこの世界の住人だったら十兵衛に憧れ密かに慕っていたと思います。

 十兵衛はあくまでも理想であって、静太郎は上司としては理想でも恋愛には奥手で母性本能をくすぐります。

 特に好きなのは想い人とのあり方について『幕府が知らずとも、自分の帰る場所が私の隣だと結月ゆづきが思っていてくれればそれでいい』と語る場面です。

 とても感動する言葉と、直接言えず手紙に書き、しかもそれがラブレターだとすら言えないギャップが最高でした。

 静太郎の人柄のおかげで、大名の跡継ぎ問題が主軸となっているのに少しもドロドロがなく一気に読めました。

P.S.
 静太郎は銀次郎の作った問題も解けるし源之助との手合わせもそれなりに渡り合えるのでは?


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