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【ラジオ】アレコード備忘録・2022/02/23放送分「ホリデースペシャル・みんな大好き!こどもアレコード」

 今回は祝日に合わせた特別編成! 伊集院さん曰く「コーナーが終わってしまうということは、もう一生例の曲が聴けなくなってしまう」のは寂しくもありますが、そんな今だからこそ「子どもたち」に聞かせたい曲を流しましょう!

・「ウルトラ怪獣えかきうた図鑑・ザザーン/朝戸鉄也」

 いきなりこれ? ヘドロ怪獣・ザザーン自体が「第一話の冒頭でオイル怪獣・タッコングと戦うも敗れ去」り、以降ずっと未登場というマイナーな存在。それは別にいいんです、絵が描ければ。しかし……
 歌自体はいわゆる「絵かき歌」ではなく単に様子を表した歌なので、歌詞をなぞっても絶対に描けません。しかし朝戸鉄也氏の歌い方は楽しいし、ヘドロ怪獣のをうまく表現してると思います。つまりは怪獣イメージソングであって「えかきうた」ではなく「ザザーンを描く時はこれを歌いながら描け!」なんですよ。さあ描いてみよう! ただドロドロ感をうまく表現しないと伝説怪獣ウーになってしまうので気を付けよう!
 そういえば他にも、と思ってマイ本棚を漁ると『パチモン大王 Vol.3/唐沢なをき』(同人誌)で紹介された『豪華カラーレコード版 サンダーマスク(またか!)/サン出版』収録の「えかきうた デカンダ」てのもあるんですよ。デカンダってのは地球征服を企む魔王ですが、その歌詞はというと、

 でこぼこがおの しんりゃくしゃ うちゅうのまおう デカンダだ
 「ゆけ!まじゅうよ はかいしろ」
 おれさま まおう デカンダだ

『パチモン大王 Vol.3』より

 やっぱり同じ調子。唐沢なをき氏も「上から順々に描いていくだけではなー」と。ドラえもんみたいに「描ける絵かきうた」を作れるキャラの方がレアなのか。

・「機動戦士/宮内良」

 こんな題名だけど「ガンダム」ではありません。「機動戦士」です。じゃあ単なる真似っ子かというと、昔あったガンプラブームの折に他のメーカーから次々量産されたパチモンプラモとは全く無関係で、あくまでもこのレコード独自の作品。自分はガンダムについて全く知りませんが、曲の歌詞にあるような
「♪侵略してきたエイリアン 一歩も入れずに 追い返せ」
そんな話でないことくらいは知ってます。じゃあ「機動戦士」って誰なんだ。おまけに5人の戦士で「合体」とあるのでむしろ「戦隊」では?と思えてなりません。謎です、実に謎です。
 ……にしても、この手の「発表会レコード」てのを聴いてると身体がムズムズしてくるんですよ。アレな感じを楽しむと同時に、小学校の低学年あたりでいかにもお遊戯会的な曲で踊らされた記憶が蘇ってくる。当然いい思い出なんかありません。そりゃ運動会に向けて真面目に練習はしてましたが、本音を言うと
「何でこんな(ズバリ言えば、ダサい)曲で踊らなきゃいけないの?」
でした。最近の子たちは流行りの曲でガンガン踊ってるそうですね。その辺は羨ましく思えます。

・「働いて手に入れたものを/竹田恵子・松下武史」

 「新しいこどものうた」だそうですが、むしろ大人に刺さる
「♪タダで手に入れたんじゃない きみの大事な人生を切り取ってくれてやり 替わりに受け取った金で買ったものだろう」
 こんな真理を子どもに聴かせていいんでしょうか。いや「労働」というのはズバリそうなのです。人生を80年ちょっととした場合、働いてる期間はおおよそ40~45年。完全週休二日・長期休暇アリだとしてもそのうち11000日以上は「働く日」、つまり30年以上も自分の大事な人生を切り取ってくれてやってる。そうやって受け取った金なんですから、ウッカリ失くすなんてことは…………何か財布の紐が固くなりそうだから、この辺で止めときましょうか。

・「さよならロボットばあや/麻里圭子、杉並児童合唱団、ボーカル・ショップ」

 本家の「あやしく輝く!アレコード大賞2020」第3位、そして「俺のアレコード大賞2020(勝手につけたランキング)」第5位に輝いた名曲。その折の感想は、

 ロボットの声は「ばあや」というより「じいや」だが、年季が入ってて必ずしも万能ではないロボットと、世話になった少年との交流、そして別れが描かれててドラマ性がある。少年が最後までロボットを慕うところも良い(後略)。

 やはりロボットばあやの存在感がとてもある。「本当に『ばあや』なんだなぁ」と思えます。これはボーカル・ショップの方だからこそ出せる味。
 麻里圭子さんは特撮ファンなら『ゴジラ対ヘドラ』の「かえせ!太陽を」でおなじみの方。そしてボーカル・ショップといえば『マッハGoGoGo』や『キャプテンウルトラ』の主題歌を手掛けたコーラスグループです。

 ロボットばあやの声は、やはり低音・バス担当の方がされたのかな?

・「僕はダンプの運転手/ダーク・ダックス」

 これも大人の歌ですね。題名の通り、ダンプの運転手から見たガテン系の苦労話を、ダーク・ダックスの巧みなコーラスと掛け合いで歌い上げた名曲。いつの時代でも運転マナーを守らない輩はいるし、労働条件ってやつは面倒なのである。でないと明日の飯にも困る。「働く」というのはそういうヤツなんですよ。単に仕事への憧れでなく、こうも軽快に本当の大人の世界を覗かせてくれる曲もないでしょう。先程の『働いて手に入れたものを』と合わせて聞けば、子どもにも大人の世界が「少しは」分かってもらえるかもしれませんね。
 そういえば植木等の曲も昔は「単に楽しい、面白い曲」として聴いてましたが、四十路入って改めて聞くと「ああ、これは大人の歌だったんだ」としみじみ思います。馬で金儲け出来るわけがないと分かっているのに止められない、俺がそんなにモテるわけがないのに分かっちゃいるけど……と。

 子供の頃は「大人になったら何でも出来るんだ!」と思ってましたが、大人になってからは逆に「自分の出来ないこと」に気付かされたり、思い知らされるパターンが多いです。それをどう克服するか、あるいは「出来ること」を見出してトコトンやっていくか。自分を見極めつつ「留まるか、打って出るべきか」を日々考えながら銭を稼いで過ごす、それが大人ってヤツかもしれません。

 いかん、こどもアレコードの話なのに大人な結論になってしまった。次の放送はもう3月になり、水曜日のオンエアは残り5回。ラストの週でもやってくれるのか? 最後まで突っ走ってくれることを期待します!
 ではまた来週!

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