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浪速のモーツァルト:キダ・タローさん死去、からのイントロクイズ大会の思い出。

 いつだったか「ジャンルアタックイントロ」というクイズ大会に参加した。記憶を元に検索かけたら、もう6年も前の話だった。

 イントロクイズで出題ジャンルといえば「J-POP」「昭和歌謡」「洋楽」「アニメソング」等々あるが、この大会ではさらに細分化されていた。「映画音楽」「クラシック」「CMソング」……ここいらはまだ普通にみえる。しかし「発車メロディ」「野球の応援歌」「プロレスの入場曲」となれば一気にマニアックさが増すだろう。

 そんな出題ジャンルの中に「キダ・タロー」があった。

 自分は一時期、どういうわけか「かに道楽」のCMソングがツボに入ってしまった。そんなに子供の時期ではない。おそらく高校か大学あたりの頃だ。TVでCMが流れるたびになぜか食い入るようになり、一緒に「♪とーれとれピーチピチかに料理~」と歌っていた。こんな息子になって両親もさぞ心配しただろう。安心してくれ、その頃とあまり変わってないから。
 
 そして大学の頃、CDショップでかの名盤を発見した。

 迷わず買った。「かに道楽」を何度も何度も聴くうちに、それ以外の曲も知らず知らずのうちに頭の中へと入っていった。かくして自分の中ではキダ・タローさんが偉大なる作曲家の一人として定着していったのである。

 さて、先のクイズ大会ではどうだったか?
 自分は何の迷いもなくジャンル「キダ・タロー」を選んだ。そして1ジャンルにつき25問出題のところを、自分は16問正解・誤答0問という成績を残して文句なしの1位。もちろん大会前に先のCDをリピートで聴きまくる対策はしていたが、ここまでとは。何なんだアンタは! という周囲のざわつきは今でも忘れられない。

 ただこの大会で唯一心残りなのは「かに道楽」を押し負けた=他の方に正解されたこと。コレさえ獲ってれば自分の中では100%だったが……


 さてキダ・タローさんといえば「かに道楽」だけでなく「小山ゆうえんち」などの各地方で流れるローカルCMも手掛けている。もちろん「日清・出前一丁」といった全国区で流れるCMでもおなじみだが、やはり「浪速のモーツァルト」だけに、やはり関西地区から哀悼の意を表す様子が多く上がっているようだ。

 CMソングといえば、かの小林亜星氏もそのジャンルでは強かった。しかし小林亜星が歌謡曲やアニソン・特撮ソングも手掛けた一方で、我らがキダ・タローは歌謡曲こそあれどヒットとまではいかなかった。唯一あるとすれば『アホの坂田』だろうか。
 そんなキダ氏も同年代の小林氏を意識していたらしく、かつこの人にはどうやっても勝てない、と思っていたようだ。

 それでもキダ・タロー節は色褪せないと思う。改めて聴いてみると、氏のメロディーには楽しさと同時に、分かりやすさが伴っている。CMでもテレビのテーマ曲でも、楽しそうな時はストレートに楽しく、ホンワカとした日常が求められる時はきちんとそうする。学校の校歌や企業のテーマソング・社歌なら、その雰囲気に合ったメロディーを押さえてくる感がある。
 この「コテコテな安定感」こそがキダメロディーの真髄であり「浪速の」と呼ばれる所以だろう。

 印象に残るどころか、自身に影響を与えるメロディーを作った方が亡くなるというのは、やはり寂しい。

 キダ・タロー先生の御冥福をお祈りします。

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