見出し画像

「湯もみ」が想像以上にエキサイティングだった件。

 草津・大滝乃湯で「合わせ湯」を堪能(体感)した後、再び湯畑の方へ。好天なうえに気温もこの時期としては高めで、おまけに日が暮れるまでは時間もある。まだまだ散策は出来そうだ。すると友人から提案が。
 「よし『湯もみ』を見に行こう」。

 草津温泉と聴いて浮かぶイメージと言えば、先の湯畑と「湯もみ」。効能のある高温の源泉を水で薄めることなく入湯するため、より早く温度を下げる方法として編み出された。と同時に、お湯を柔らかくしたり入浴前の準備運動も兼ねているとか。
 現在は「湯もみショー」として残っているが、その受付開始時間がちょうど先の温泉から出たタイミング。同行の友人らと共に赴いた。やはり草津の人気スポットらしくチケット窓口には行列が。入場すると、二階席にも人が入るほどの賑やかさになった。

ショーの会場。徐々に人が入り始めている

 ショーが始まる。まず「湯もみの歴史」のムービーが。それにしても、この湯もみを行う「時間湯」のルールではあるが、何十人というおっさん達が揃って湯もみをして、その後ズラッと並んだ状態で肩まで浸かっている画はなかなか面白い。と同時に草津温泉にはリハビリ・湯治の言葉が相応しいとよく分かる。

 そして「草津節」の踊りが披露。あの「♪草津よいとこ一度はおいで」のアレである。終わったところで、入れ替わるように「湯もみガールズ」の皆さんが登場。いよいよ「湯もみ」のスタートだ。
 「草津節」に合わせて、テンポ良くお湯を左右にかき回していく……

♪お医者様でも~草津の湯でも~
♪恋の病は~治りゃせぬよ~チョイナチョイナ~

 恋の病ねぇ……二次元の場合は罹ってるというのかな。余計に治らなさそうであるが。

 と、ここで気付いた。
「この板を左右にドッコイショ、チョイナチョイナとやっただけでホントにお湯が冷めるのかな?」
 準備運動に関しては、水の中で板を動かせば抵抗がかかるだろうからまあ理解できる。しかしお湯はどうだろう? これで撹拌されてるのだろうか?

 そして湯もみは一旦終了。これで終わりかと思いきや、今度は
「草津湯もみ唄」
が始まるそうだ。これは初耳、と思っていると
「こちらの方、終盤は大変激しくなりますので最後までご注目ください」
とのアナウンス。え、どういうこと?

 「草津湯もみ唄」が始まった。こちらの合いの手は「♪ヨホホイ」だ。
 湯もみガールズの皆さんが再度板を左右へとかき回した、かと思いきや一斉に板の向きをクルリと変え、上下へ勢いよく、

 ドバシャーン!!

 ドバシャーン!! ドバシャーン!!

 え?!
 湯もみってこんな激しいモノだったの? 全然知らなかった! 
 そりゃそうだ、左右にかき回すだけで冷める訳がない。外気に晒す方がより早く冷めるだろうけど、まさかこんなだったとは。おまけに準備運動の〆でこれだ。渾身の力を込めてこれなら、筋トレの最後に激しい運動をするのとほぼ一緒ではないか。

 なかなか凄いモノを見た、と同時に関心もさせられた。湯もみは運動だ。つまりはトレーニングと温泉、ってもしやこれスポーツジムの元祖ではなかろうか。とはいえ鍛えた後に「汗を流す」のレベルは全く違いますが……


 今こそショーではなく「リアル湯もみ」をやるべきだろう。とはいえ普通のお湯でやっても無意味だ。あの草津の湯だからこそ産まれた入浴及び湯治方法である。「トレーニング付きガチ湯治場」。それが草津温泉の隠された姿だったのだ。

 やっぱり草津は凄いトコなのだなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?