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イヤモニはロックシンガーを救うか

昨年秋のライブから、10年ほど迷っていたイヤモニを使い始めました。

今回はその経緯を暑苦しく語ります。


音、下げてもらえませんか

なんせ大音量のヘヴィメタル及びハードロックの中で
この小さい華奢な女の子が喉もちぎれよとばかりに叫んで歌って30年

正直、満足に自分の声が聞こえて歌いやすかったという日は数えるほど。

「今日は気持ち良く歌えた!」という日があっても
決まって耳が錯覚しており

録音を聴くと音程が気前良くズレていて死にたくなることしばしば。

そこへもってきて
ここ10年ほどやっているバンドAPHRODITEはこれまでやってきたどのバンドよりも演奏者陣の音がでかいのです。

さらに厚く重ねたコーラスやシンフォニックなパートを同期で出しているので、ステージ上の音は飽和状態です。

「音下げてもらえばいいじゃん」

そういうことじゃないんです。
そういうことじゃないんですよ。

音量を上げることで得られる至高のトーンがあるのだそうで(演奏者談)

それをやめてもらうことなどできましょうか。

これでも、ひ弱な私の為に多少は手加減してくださっているとのことなのでどうかしてるぜ(賛辞)

近年は耳栓で骨伝導音(頭蓋骨に響く声)を聞こうと
100均のから音楽用の高いのまで色々と試しました。

耳栓をきつく押し込まないと聞こえないし
コンディションによって右耳か左耳か、
差し込み方も浅くしたり深くしたり

相当気を遣っても、いざ本番になると骨伝導音が一切聞こえなくなり、
仕方なく耳栓を外して歌うとまた気前良く音程が狂っているという八方塞がり。

そこでイヤモニですよ。

近年ライブハウスでご一緒するバンドのシンガーが使っているのを目撃することが増え、「いいなあ」と指をくわえて見ておりました。

欲しいけど、あと何年歌っていられるかわからないのに機材増やしてもなあ
それに、お高いんでしょ?

そんな理由で躊躇しておりましたが、
ある日プッツンしまして

1回しか使わなかったとしても必要なものは必要なんだよ!


そんな感じで昨年の梅雨時に清水の舞台から自分を蹴り飛ばしたのです。


結論から言うと

買って良かった(安堵)

ということで
シンガーはもちろん楽器演奏者の方でも
演奏中のモニタリングに悩む人は以下を読めば今すぐイヤモニを注文したくな〜る。かもしれません。

(エンドースもアフィリエイトもステマもございません)

説明しよう!イヤモニとは

in ear monitor
イヤホンで音響をモニターするシステム。

従来の床に置かれたモニタースピーカーからのモニタリングではシンガーには周囲の爆音に自分の声がよく聞こえず音程が取りづらくなったり必要以上に大声を出したりせねばならないという弊害があるのですが
遮音性の高いイヤホンでモニターすればその悩みから解放されるという寸法。

いつ頃からかテレビでも歌手の方がイヤモニして歌っているのが当たり前のように見受けられるようになりましたね。

なんでイヤホンして歌ってるの?と言われがち


ついに私もMy new gear…

イヤモニ購入にあたり
知り合いのシンガーの中でも最も過酷な状況で歌っていそうな某ヘヴィメタルバンド(ギタリストが「これでもくらいやがれ」とばかりにマーシャルを鳴らす名手)のシンガー氏にお勧めを聞きました。

親切にも2種類ほど商品のリンクを送ってくださり
熟考すると何年も費やす自分の性格が分かっているので

敢えてブランドで決める!

SHUREのイヤモニシステムをポチリング。
(マイクもSHUREなので)

ジャーン

SHURE P3TJR112GR-JB

これの良い所は、
MIXモードといって
楽器の音と自分の声を別チャンネルにして、好みの音量バランスに手元で変えられることです。

例えばライブ後半になると耳がバテてきて
自分の声をもっと音量上げて聞きたい場合に
チャンネルが一つだと声と演奏が一緒に上がってしまいますが、
別チャンネルだと声だけ上げることができて便利です。

耳に装着するイヤホンは
SHURE SE215

イヤーピースはフォーム(遮音性が上がる素材)に替えましたが、
型取りした自分専用イヤーピースもそのうち試したくなるんでしょうなぁ。


使い方おせーて!

それにしても
買ったもののどうやって使うのかわからないにもほどがある。

前出のシンガー氏に教えを乞いたいところでしたが氏が使っている物とはメーカーから違うので、
インターネッツに聞いてみました。

すると同機種を使う方のブログを発見
詳細に書いておられるのでとても助かりました。

SHURE PSM300 ワイヤレスイヤーモニターシステムをライブで使ってみた https://mickweb.net/2019/01/17/shure-psm300-live/


YouTubeにも聞いてみる。

同機種を使っている方がスタジオのミキサーに繋ぐ様子を実況しておられて、とても助かりました。

よく分かりづらいSHURE【PSM300】レビュー動画
https://youtu.be/q1XyezG9ic8


以上、感謝を込めてシェアいたします。

イヤモニして気づいたこと

個人練とバンドリハーサルでイヤモニを試運転
2021年9月のライブから実戦投入

3回のライブで使ってみて気づいたのは(ここまで書いた時点では3回ですが、記事を公開した時には5回になってます)
これまでいかに自分の声を聞くことに必死になって余裕のない状態で歌っていたか。

とにかくずっと大声を出さないと聞こえないので抑揚をつけるとか細かいことは正直二の次になっていました。

それが音程はもちろん、子音の出し方や語尾の処理まではっきり聞こえるようになったので、細部に気をつかえるようになりました。
(気をつかえるだけでうまくいってるわけではない)


イヤモニ使用前は勘に頼って成功したり失敗したりしていた部分が、使用後は安定感が出ました。

ただしまだモニタリングの音量
及び、声と演奏のバランスが試行錯誤中で、
低音のほうが音程を見失うことがあるのは気をつけないといけないところです。
多分、低域が強い演奏の音でマスキングされるのかも。
声の音量をもう少し上げてもいいのかもしれない??

いつもお世話になっているPAの方が

「イヤモニは音量に気をつけてね!耳が悪くなる人いっぱいいるから!」

とおっしゃっているのを気にして控えめにしているんですけどね。

それと
聴きやすくモニタリングして発声が楽になるって、
じつは良し悪しあるなぁと。

大声出さなくてもよくなるわけで、
極端な話、ウィスパーボイスでもやろうと思えばやれるわけです。

そうすると、ハードロック、ヘヴィメタルの歌唱に必要なパーワーーー!が失せてしまう。

これはレコーディングスタジオでも同じで、
ヘッドホンから聞こえるオケの音量を良い塩梅にすると、歌がおとなしくなります。(私の場合は。)

レコーディング経験の浅い頃は、
頭おかしいと言われたほどの大音量でヘッドホンからオケを鳴らし声を極限まで張って歌っていましたが

少し歳いくと、あまり音を上げなくなり、それにつれ歌い方がかしこまっていく感じになっていました。

やはりハードロック及びヘヴィメタルは
ダイナミックさが無ければ。
叫んでいなければ。

ダイナミックに叫び、
かつ
音程は外さず抑揚をつけ発音や語尾の処理まで気を抜かず
リズミックに言葉を乗せる


大変すぎるわ!!!!!

ということで
今後もベストな音量とバランスを探っていかなければなりません。

ばっちこい大音量

先にも言いましたように、この種類の音楽の演奏には大⭐︎音⭐︎量は不可欠

演奏者の方々に音を下げてくださいとは、こちらも言いたくないのです。

なぜならその関係性は「歌と伴奏」ではなく、
全てのパートが闘いせめぎ合いつくりあげる音楽だからです(かっこいいなおい)

音を下げてくださいと言うのは自らの負けを認めることであるばかりか
演奏者の士気を削ぐことにもなりかねません。

イヤモニのおかげで
ばっちこい大音量!!!
と言えるのが嬉しいです。

救済のその先に

というわけで
いかに私がイヤモニに救われたかというお話を長々と書きましたが、
これは新たなる試練の道の始まりかもしれません。

30年もやっててまだそんなこと言ってんの?な話ですが

これまでモニタリングに気を取られていた分を
歌うこと自体に回すことがやっとできるようになったのですから
これからやるべきことはたくさんあります。

自分でハードルを上げてどうするんだって話なのですけどね。

長文お読みいただき
ありがとうございましたm(_ _)m


追記
この時点では実戦投入(ライブでの使用)3回でイヤモニの良い点しか感じていませんが
その後、イヤモニ導入は諸刃の剣であると思わせるなかなかに恐ろしい体験がありました。

その話はまた今度。。。

↓↓↓葛藤の続編はこのあとすぐ!!!↓↓↓


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