子連れで行く釣りは魚に対してフェアだし最高って話

釣りって楽しいですよね。

わたしは小学生のころ『グランダー武蔵』というマンガ・アニメ作品に影響を受けて釣りを始めてから20年以上経ちますが、今でも全く飽きません。学生時代は霞ヶ浦のブラックバスや管理釣り場のレインボートラウトばかり釣っていましたが、最近は鯉やナマズなど日本の淡水魚にハマっています(魚に詳しいそこのアナタ! 日本の内水面に生息する鯉はほとんどが大陸からの移入種だってことは本稿の主題と関係ないので黙っててくださいね)。

画像2

さて、ひとくちに「釣り」といってもその面白さは多岐に渡ります。自分の手で釣り上げた魚を食べるのが無常の喜びであるという人もいれば"キャッチ&リリース"を信奉して釣り針のカエシをペンチで潰し、純粋に魚とのやりとりを味わうだけの人もいます。

わたしはギャング釣り(※エサやルアーに食いつかせるのではなく、釣り針を魚に向かって直接投げつける釣り方)以外すべての釣りを愛していますが、基本的には「食べる」より「釣る」こと自体に興味があります。ゲームフィッシング、すなわち漁として魚を獲るのではなく「遊び」ないし魚との「勝負」として行う釣りが好きなんですね。だからどちらかといえばエサ釣りよりもルアーや毛針を使い、魚を「騙して」釣り上げることに面白さを感じます。

ただ、最近は道具の進歩がめざましく、生き餌を使わなかったからといって必ずしも魚に対して対等な勝負とはいえません。高弾性カーボンを編み込んだ軽量・高感度な釣竿、ちょんと触っただけの魚すら引っ掛けてしまう化学研磨の釣り針、0.5mmにも満たない太さで20kg以上の引っ張り強度を誇るブレイデッドライン(糸)などなど、魚に対して有利すぎる道具をAmazonで簡単に入手できる時代です。魚は人類が文明を獲得してからのここ数千年、ほとんど進化していないっていうのに!

とはいえ今さら旧世紀の竹竿に絹糸、動物の骨で作った針を使って釣りをするのも現実的じゃないでしょう。昔の釣りを再現するという考古学的・民俗学的興味でもあるならともかくとして、せっかく高性能な道具が安価で手に入るのにそれを使わないのは不自然です。

では魚に対して人間が有利になりすぎたゲームフィッシングという遊びを、どうやって対等な勝負に戻すのか?  色々な案が考えられますが、わたしはここで人間側が背負うハンディとして「子供、それも幼児と一緒に出かける」ことを推したいと思います。

わたしには可愛さのイデアともいうべきめっっっっっっっちゃキュートな4歳児の息子がいるのですが、この子を連れていくだけで釣りの難易度は格段に跳ね上がります(このあたりで賢明な読者諸兄姉はすでにお気づきかと思いますが、本稿の狙いはゲームフィッシングのあるべき姿について提言することではなく、我が息子の可愛さを自慢することです)。それこそ釣具のアドバンテージなんて帳消しになるくらい。

画像1

釣り人は「木化け石化け」といわれるくらい、気配を殺すことを重要視します。当たり前の話ですが、どんなにリアルなルアーや生き餌を使ったところで、それを人間が投げ込んでいることがバレたら魚は絶対に食いついてくれませんよね。とりわけ日本は狭い国土にも関わらず釣り人の数が多いので、細くて長い釣竿を用いて魚から距離をとって狙う釣法が主流です(※釣竿は長い方が振ったときに強い遠心力が働くため、遠くに仕掛けを投げられます)。

翻って、わたしの愛する息子4歳也がそのあたりの事情をわかってくれるかというと、当然のように理解度0%なんですね。「はやくお魚釣って!」とか叫びながらその場でジャンプを繰り返したり、石を拾っては川面に投げ込んだりを繰り返すわけです。気配を消すどころか全力で自身の存在を周囲に向かってアピールしてしまいます。

これにイライラしてしまう人も多いでしょうし、だから釣り堀など人口密度の高い釣り場(そもそも今はCOVID-19の影響で密は避けたいですが)に息子と行くのは避けていますが、人間の存在を隠せない状況のなかでどう釣るか? を追求するのはかなり面白いゲームですよ。

経験的にいって、下記の3つは確実に効きます。

【1】騒ぐ息子の声や地団駄の音が聞こえない距離まで遠投する
【2】撒き餌をするなど、人間を「エサをくれる有益な存在」だと魚に思い込ませる
【3】雨で河川が増水・濁る日など、そもそも人間の気配が薄くなるタイミングを狙う

画像3

上の写真は【3】で雨上がりの濁った川から釣り上げたナマズです。もちろんこの3つ以外にも有効な戦略はあるはずですし、それを探すのも一興でしょう! なにせ漁ではなく"ゲーム"フィッシングなんですから、釣れなくたって誰に迷惑が掛かるわけでもありません。それになにより、狙った魚が釣れたときの喜びを息子と共有できるのは最高にハッピーな経験ですよ!

子供がいるから釣りに行けない……と嘆く全国のお父さんお母さん。幼児の存在はむしろ釣りのゲーム性を上げてくれるDLC(ダウンロードコンテンツ)なんですよ。お子さんが歩ける年齢になったら、どんどん釣りに連れ出しましょう! 通い慣れたフィールドも、子供と一緒だとまた違った表情を見せてくれるはずです。もちろん息子さん・娘さんが落水したり川に流されたりすることがないよう、最低限の注意は払ってくださいね!

それとですね、虫のいいお願いなのは重々承知なんですが……ソロで真剣に釣りをされている皆さまがたにおかれましては、どうかどうか釣り場で子供が騒いでいても怒らないでやってください……自然河川はみんなの共有財産ですから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?