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バースデイ・パーティ<僕のおもろい仲間たち④>

一昨日は僕の63回目の誕生日だった。ここ数年毎年のように約100人の友人にバースデイ・パーティでお祝いをしてもらってきたが、さすがに今年はあかんやろ、ということでやらないことに。あー、残念、やりたかったなぁ、と思う反面、あらためて毎年祝ってもらえていたことに心の底から感謝の気持ちが湧いてきた。

僕の子供のころ、つまりは、半世紀以上も前のことだけど、お家で「お誕生日会」を学校の友達も呼んで盛大にやる家は、大阪の僕の住んでいた街ではそんなになかった。お金持ちの「O君」の家に一度呼ばれたくらいかなぁ。(あっ、その時、O君のお父さんがめっちゃ大事にしているツボを割ってしまい、逃げて帰ったことをいま思い出した…ごめんなさい)毎年、自分の家で、当時はまだまだ特別の日にしか買ってもらえなかった不二家のケーキとかを食べられるのが本当に本当に楽しみだった。

大人になってからも誕生日は彼女と阪急梅田の三番街のフレンチレストランに行くとかぐらいでみんなでパーティーっていう感じでもなかった。そして、就職した銀行でも大騒ぎすることもなく、独立してからは、夜の店でシャンパンを抜いてもらったりケーキが出されたりすることはあっても、バースデイ・パーティーっていうのはどこか遠い世界のことだった。

それが、変わったのは、やはりavexに入ってから。こんなにも、バースデイ・パーティってみんなやってるんだ。アーティストはもちろん、役員、社員なんかもバースデイはなんかやってた。僕にとっては、いわゆるリア充のパリピの生体験だったわけだが、これがメチャメチャ楽しかった。こんなに元気でこんなに面白い人たちがこんなにいっぱいいる!

入社して最初のバースデイを迎えた日、確かなんかの仕事で一緒にいたRさんが「ちょっと飲みに行きませんか」と誘ってくれて六本木の接待のある方の人気クラブ「F…」に行ったら他にも社員とか業界関係者がいて「今日は荒木さんの誕生日だから!」といってシャンパンが抜かれ、ワインリストを見ていたRさんが「ロマネ・コンティ持ってきて!」とオーダーしたので「Rさん、そんなに高いの頼まなくていいですよ」と言ったら「いや、ロマネを僕が荒木さんのために開けることが重要で、僕が荒木さんをすごく大事に思っていることが、このことで何も言わなくても全員に浸透するんですよ。そのために開けるんですよ。」と少し小声で教えてくれた。因みに15年前だが確か90万円だった。

正直、業界おそるべし、めっちゃハイコンテクストや、と思った。実は僕はこのRさんに、芸能界のこと、クリエイターとはどういう生き物なのか、アーティストマネジメントの本質など、エンタメ業界で生きて行くための考える基礎を教わった。それまでの僕は、勉強ができて、ロジックに強く、ハードワーカーで、新しい総合エンタメ会社にすべく構造改革を行っていた、つもりだった。でも、根本のところで、人はファクトやロジックだけでは考え方を変えないし行動も変えない。

その翌年かな、今度はMさんが自分の誕生日を思うところあってプロデュースした。知り合いのIT企業の社長の誕生日に招待されて行ったが全くつまらなかったのがきっかけで、誕生日を迎えるホストが招待した人たちを喜ばせるのが本当の楽しいパーティだというコンセプトで人数を絞って招待客のみのパーティーが行われた。次から次に「すごい!」「おもろい!」コンテンツが用意されていて、今思い出してもめちゃめちゃ楽しいパーティーだった。

ということで、この二人から学んだことをベースに、今のエンタメ業界を引っ張っている若きリーダーたちに手伝ってもらって毎年企画しているのが僕のバースデーパーティ。招待して来てもらった友人たち(一部お金はいただいていますが)が楽しめるように、そしてわざわざ説明しなくても気持ちが通じるような企画を盛り込みながら楽しんでもらう。出席率はかなり良いのできっと楽しみにしてくれている人も多いと勝手に思ってる。

あー、また早くやりたいなぁ。コロナのやつめ!



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