薬は服（の）まずにコレを飲む！（1830文字）
薬が苦手である。
苦いから、とかそういう理由ではない。
化学的な物質というものに、できるだけ頼りたくない構えなのである。
代わりに、酒に頼っている。
だなんて書いてしまうとミモフタモないので、
偽悪的になることなく、
目下真面目に取り組んでいるところの、
というか体内に「取り込んでいる」ところの、
よさげなものについて書いてみたい。
――まずは、トマジュー。
前にも書いたけど、
毎日200mlずつ飲んでいる。
朝食のときや、
ときには入浴中の湯船の中で。
血圧が高めなので食塩無添加を選んでいる。
まったく青くさくなく、
実にすっきりとした飲み心地である。
血圧自体を下げる効果もあるようで、
毎日のバナナや
ときどきの小松菜で
カリウムを補給することとの併用で、
血圧管理の切り札とさせていただいている次第。
――次に、黒酢。
むかし、まだ独身だった頃、というか最初の結婚が駄目になり独身に戻っていた時期、『大戸屋』で独り、黙々と食していたメニューに『鶏と野菜の黒酢あん定食』というのがあったのだが、これが僕はたいへんに好きだった。
当時からなんとなく、「黒酢」という響きをヘルシーに感じていたのだが、
歳を重ねて
諸々の数値やらが気になり始めたので、
いろいろ調べたら、
それなりの質で
十分にコスパな一品にたどり着けたこともあり、
こちらも日々愛飲している。
ヨーグルトに掛けたり、
僕の場合は焼酎を割ったり、
いろんな摂り込み方で取り込むことができている。
友人に紹介したら、彼もはまってくれたようだ。
――最後に、梅エキス。
東京で日々、深夜や朝まで消耗していた頃、
「友だちにすすめられたから」
と言って妻が出してくれたのは
見ためコールタールみたいな、
どう見ても体に悪そうな、
美味そうにも見えないドロッとしたやつ……。
それが梅エキスなのであった。
「不治の病も治ったんだって！」
という妻に
（なわけなかろ？）
と内心で突っ込みながら、
言われるがままにチロリとなめてみたら、
頭のてっぺんがラッパを吹き鳴らしちゃったのか、と思うくらいキョーレツに酸っぱくて、
「こりゃ駄目だ」
といかりや長介ふうに言ったのだが、
「蜂蜜に混ぜると美味しいんだよ」
と妻が言うので、
（それ早よ）
とまた内心で突っ込みながら、
ハチミツ梅ドリンクを作ってもらい、
おそるおそる飲んだらメチャクチャ美味しくて、
ほう、
と思いながら騙されたつもりでしばらく飲み続けたら、
なんということでありましょう！
体調のほど、すこぶるよくなり、
その冬は風邪をひくこともなく、
普通なら二日酔いになるであろう量の飲酒にも、
堪えて体はいたってシャッキリ
みたいなありさまとなり、
（梅エキスおそるべし）
と内心でこれは素直に感嘆したのであったが、
だけど、梅エキスってなかなかにお高いのでしょう？
と確かめたら、
「そりゃね、不治の病が治る秘薬がそんなに安いわけないじゃん！」
と妻は胸を張ったが、
そんなふうに言われても、
当時はまだ僕若く、
秘薬に掛ける金を美酒に掛けたいお年頃だったわけで、
だからハチミツ梅ドリンクじゃなくて
シメイやギロチンで心の健康を維持することに腐心したのであったが、
やはりこれまた歳を重ねて
ベルギービールよりアレをと、
つまり、
コールタールのふりをした秘薬を我に！
と切望するに至り、
“ハニー・チェリー疲れた心さえセクシーに Shakin' in the night”
と、
佐野元春の古い歌の歌詞なんて口ずさんでみたのだが、
次の瞬間、
あ、チェリーはそうか、梅じゃない、桜か……
と気が付き、
佐野元春さまには脳内よりご退場いただき、
……でもまあなにはともあれ、
ハチミツ梅ドリンクを我にぃぃぃ！
と歯ぎしりする思いでネットの海を泳ぎ、
ついにはハチミツ梅ドリンクの原料となる梅エキスの、
秘薬にしては十分にコスパな一品を選び出し、購入し、
今では
ウメボシデンカ
という古い響きの名前で
我が身を喧伝しようかと企むほどの
梅エキス愛好家となるに至り、
「これでもうあなたは不死身だね」
と妻に太鼓判を押され、
（オレは亜人か！）
と内心では突っ込みながらも
確かに強くなれたような気にもなれ、
至極ご満悦さんだったりする。
免疫力が上がるらしく、
僕はあのよからぬ感染症のワクチンを、
身体に合わなかったがゆえに１回しか打てていないのだけど、
１度も感染することなく、
まあ元気に暮らせていたりする。
――トマジュー、黒酢、梅エキス、
プラスしてまあお酒を少々。
あひろちゃんの健康の秘訣なのであった😆！
文庫本を買わせていただきます😀！