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世にいう名作を読みました。

以前の、探していた読みたかった本というのがこちら。
ずっと名前は知っていて、それまでは興味を持たなかったのだけど、
ふと何かのフリー雑誌と先輩のインスタで紹介されていて、心が向いた。

子どものころ、よく図書館に行っていて、
やっぱりこの本は何度も目に入り、タイトルを見てきたけれど、
その頃はなんだか読む気にならなかったんだよな。

もしかしたら、1度手にとってパラパラと読んだことはあるのかもしれないけど、
最後までは行き着かなかった。

おそらく、そのタイトルからなんだかメルヘンな物語を想像して、
全然興味がわかなかったんだと思う。

でも、今読んでみたら全然違った。
魔女といっても、おとぎ話の世界ではなく、
なんだか「魔女」という言葉を借りて、ときめかせているけれど
教えているのはいたって普通の、誰にでも当てはまる、

子どもに夢を語りながらおどかすみたいな、そんな感じ。

今、この視点で読めているから、物語の中にも入り込むんだけど、
主人公のまいを一歩引いた視点で眺められるというか。
今読んでよかったと思えた。

きっと子どものころに読んでいたら、
ゲンジさんのことを怖くて嫌なやつだとしか思わず、まいと同じように恐れていたと思うし、
(色んなすれ違いがあるだけで、全部まいの思い込みなのだろう。
最初のエロ本のくだりも、あれはママのだと思う。)

おばあちゃんは絶対的にかっこいい人で、正しい人なんだ、
としか思わなかったと思う。
(ママが押し付けないで、と感じるように、
正しい素敵な生活をしているように見えるおばあちゃんも、
色んな人からの視点で捉えられることができるんだ、と察せたり。)

すごく自分の成長?というか読解力も感じられる本だった。

だからこの本は、子どもにも、そしてきっと大人にも
愛されているんだと思う。

とはいえ、単純にストーリーは面白くて、没入し、
タイトル通り魔女が死んでしまったときには、私も号泣してしまった。

ちょうど幽霊になってしまうドラマを見ていた時期だったのもあり、
二度と戻らない「死」への切なさみたいなところが極まっていたのだろう。

センチメンタルな気分になったときにまた、魔女の教えを読み返したいと思う。

梨木香歩(2001)『西の魔女が死んだ』新潮文庫

2023.3.12


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