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みんな、みんな

本当は全然違う本を読みたかったのだけれど、
探している途中に、図書館におすすめされたこの本を手放せなくなった。

ちょうど、仕事で理不尽だな〜と思うことがあって、
人間関係とか、友だちって何なんだろうってところを、考えたいな〜と思ったのだと思う。

その日は嫌なこと何も考えず、とびきり自分を甘やかそうと思って、
ずっと気になっていた雰囲気がとっても素敵なカフェで読むぞと決めた。

お店の方の、丁寧に刻まれたシワと笑顔。
「ごゆっくりどうぞ」と、これはきっと本当に心から言ってくれた、その言葉に甘えて、本当にゆっくりさせていただいた。

傷つけられるのも人で、救ってくれるのもまた人なのだと、じんわりと感じられるひとときだった。

「みんな」って何なの?ということを問う本だったと思う。
「みんな」が言ってるから、「みんな」に嫌われたくないから、、、。

そういえば私が小学生のころ、
先生に言い訳をして「だってみんなもやってるもん」と言うと、
「みんなって誰なの?」と諭されたことがあった。
「みんな」という言葉で解決しないで、あなたの意思を持ちなさい、というメッセージだったのかな。先生もこの本を読んでいたのかな、と今になってつながった気がした。

友だちがいるんだってことの自己顕示欲とか、隠している弱さとか、
色々そういうところ見透かされると、恥ずかしいのだか、悲しいのだか、怒っているのだか、なんか知らずと涙がこぼれてしまったりすることってあるよね。
この本の主人公のえみちゃんと出会って、何人もの子がそんな経験をしたんだろうな。

心が元気だったら、きっと読もうと思わなかった。小説。
でも出会えてよかった。人生ほんとにタイミングだね。

読みながら頭に流れていたBGMは、
♪きみのーことー しらなかったよ
おなじーこのみーち かようのに
でした。

重松清(2008)『きみの友だち』新潮文庫

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