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新井の漫画感想『ヤキュガミ』全4巻

『ドラフトキング』で一気に好きになったクロマツテツロウ氏が原作の本格高校野球漫画『ヤキュガミ』。年末年始に読もうと電子書籍で購入し、読みました。

Amazonレビューは数少ないものの1-3巻は全て星5と高評価。読んでみれば分かるのですがすごく面白いです。しかし4巻のみ星2.5の残念な評価。理由は明白で、最高に盛り上がって、ライバルや脇役達のキャラも立ち始めたところで打ち切りになってしまったからです。


※以下ネタバレありの感想


主人公、白戸大輔くんは野球部に所属する中学3年生。ポジションはショート。身長は160cm程度と恵まれた体型ではありませんが、俊足強肩守備センス抜群、そしてスタンドに放り込める強打の持主。そんな彼が不幸な家庭環境やチーム状況にも負けず、スーパースターにしか憑かない野球の神様「ヤキュガミ」の応援を受けて大活躍する作品です。

しかしこのヤキュガミ様、ただ応援しかしません。確かに良い場面で白戸に打席や守備機会がまわるのですが、それはヤキュガミ様の力らしいことは語られますがそれだけ。その正体や、プロ野球選手だったという白戸の父親についても、全く謎のまま終了します。

スーパースターは何か持っている。野球の神様が憑いているとしか思えないようなシーンは確かにあります。2019年プレミア12の決勝で3ランホームランを打った山田哲人や2009年WBCでセンター前ヒットを放ったイチローなど、ここぞという場面で一番やってほしいことをやってくれます。

それを「やかましいオッサン」という形で神様にしたのがこの作品だと言えます。もっともっと白戸の活躍は見たかったですが、作者の「スーパースターには野球の神様が憑いている」という思いを描くなら一旦彼についてはこれで完結で良いのかもしれません。

クロマツテツロウ氏の野球観はドラフトキングで分かるようにとても幅広いので、一人を掘り下げるより色んな人物を描く方が向いているように思います。もしヤキュガミの設定で続編を描くことがあるなら他の主人公にして、3巻ずつくらい描いてくれたら更に面白そうですね。そのどこかで白戸くんの途中経過にも触れてくれつつ。


レペゼン群馬、新井将司。世界一になる日まで走り続けます。支えてくださる皆さんに感謝。