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今日の科学 5月30日

1955年5月30日は、アメリカの生化学者ブライアン・コルビカが生まれた日です。彼は細胞の表面にあるGタンパク質共役受容体と呼ばれるタンパク質の構造と機能を明らかにして、2012年にノーベル化学賞を受賞しました。

私たち人間を始め、複数の細胞を持っている多細胞生物は、細胞間での情報のやり取りが必要になる。このとき活躍するのが、細胞の表面にあるGタンパク質共役受容体(GPCR)です。

ヒトでは、嗅覚、味覚、視覚などの感覚に関係するもの、神経系や内分泌系などの生理機能に関係するものなど、800種類以上のGPCRが発見されています。でも、3分の1ほどはまだ機能がよくわかっていません。

ブライアン・コルビカはロバート・レフコウィッツと共に、1982年にGPCRの1つであるアドレナリン受容体のアミノ酸配列を明らかにしました。その結果、この受容体の構造が目の光受容体であるロドプシンの構造とよく似ていることがわかりました。

さらに、コルビカは2007年にX線結晶解析から、アドレナリン受容体の立体構造を解明しました。これらの成果によって、他のGPCRの研究が大きく進みました。機能わかっていないGPCRは、医薬品開発のターゲットとなっています。

細胞間の様々なシグナルをキャッチするGPCRは、様々な生命現象に関係します。GPCRの1つであるオレキシン受容体は睡眠に大きく関係していることがわかり、睡眠障害を改善する治療薬への開発につながりました。

このように、Gタンパク質共役受容体の構造や機能の解明に大きく貢献したコルビカとレフコウィッツに、2012年にノーベル化学賞が贈られました。

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