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今日の科学 6月12日

1942年6月12日はドイツの細胞生理学者ベルト・ザクマンの生まれた日です。
ザクマンは、エルビン・ネーアーと共に細胞膜などでイオンを透過するイオンチャンネルの反応を個別に記録できる装置を開発し、1991年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

生物の体の中を流れる体液には、様々なイオンが含まれています。体をつくるそれぞれの細胞が、細胞の中にイオンを取りこんだり、排出したりするためのゲートのようなもので、細胞内外のイオンの濃度を調整することで、電気信号を伝えたり、筋肉を収縮させたりします。

イオンチャンネルは、神経細胞や筋細胞はもちろん、いろいろな細胞が備えていて、様々な生命現象に関係しているため、脳科学や生物学では重要な存在です。細胞はとても小さいものであり、1つ1つのイオンチャンネルの計測はなかなかできませんでした。

ザクマンがネーアーと開発したのは、とても細いガラス管の先端を細胞膜を押しあてることで、電気的に他の領域と隔てることで、ガラス管の先端で囲まれた部分にあるイオンチャンネルを通る電流を測定するパッチクランプ法です。

バッククランプ法が開発されたことで、1つ1つのイオンチャンネルを通る電流を測定する道が開かれ、いろいろな細胞に対応する測定法が開発され、生命科学分野の研究に大きな革新をもたらしました。その功績により、1991年、ザクマンとネーアーにノーベル生理学・医学賞が贈られました。

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