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今日の科学 7月8日 物理学者イゴール・タムが生まれた日

1895年7月8日はソビエト連邦(ソ連)の物理学者イゴール・タムが生まれた日です。タムは1937年にイリヤ・フランクと一緒に、ガンマ線を照射した水が青く光るチェレンコフ効果を理論的に解明しました。その功績により、1958年にノーベル物理学賞を受賞しました。

ガンマ線を水に照射すると青く光るチェレンコフ効果に気がついたのは、ソ連の物理学者パーヴェル・チェレンコフです。でも、このときは発光現象に気がついただけでした。そのしくみを解明したのが、イゴール・タムとイリヤ・フランクです。

アインシュタインの相対性理論によると、光は宇宙の中で一番速い速度をもっていて、光より速いものはありません。でも、それは真空中の話です。水の中などでは、事情が違ってきます。水の中では光の速度が遅くなります。そのため、速度がとても速い粒子が水中を通過すると発光することがあります。

電気を帯びた速い粒子が水中を通ると、光子が放出されます。このとき、粒子の速度が水中の光の速度よりも速いときは、放出された光子同士が干渉し合い、増幅することで青い光として観測されます。これがチェレンコフ効果で、このとき観測される光をチェレンコフ光といいます。

チェレンコフ、タム、フランクの3人は、「チェレンコフ効果の発見とその解釈」によって1958年にノーベル物理学賞を受賞しました。スーパーカミオカンデでは、水分子を構成する原子核にニュートリノがぶつかることで発生するチェレンコフ光をとらえることで、ニュートリノの観測をしています。

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