忘れっぽい私のための(適当な)短い読書 35
西條八十
ねづみとり
古妻(ふるつま)と
共に死ぬべくたくはえし
むらさき壜(びん)の青酸加里(シアンカリ)。
戦ひ過ぎし夏の夜を
いたづら鼠をころすとて
振れば、音する、青酸加里(シアンカリ)。
はや三界に家も無き
軀(み)も野鼠の 生恥(いきはぢ)を
白々曝(さら)すパン屑に
夜あけとなりし 青酸加里(シアンカリ)。
(下館にて)
<解説より>
・・・西條八十は、茨城県下館の疎開生活で、上掲のような詩を書いていた。
本土決戦・一億玉砕がさけばれ、最後の抵抗は死あるのみーと国民は教育されていた。
(中略)そのころは国内の一般庶民にまで、自殺用の青酸カリが配給された事実があるのだ。
戦後の詩 現代教養文庫
(*なかなかおしゃれな詩ですね 終戦記念日には間に合いませんでしたが、時々こういう部類の詩も抜き出したいです。)
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