2023年ドラフト速報の話

先ほど2023年のドラフト会議が終了した。2年前(高1時)から目玉になると思われた花巻東高の佐々木麟太郎がアメリカの大学へ留学するというサプライズはあったが、やはり今年も盛り上がった。

北海道日本ハムファイターズは支配下5人育成3人合計8人を指名している。それではまず選手達の簡単な紹介と、その後に全体を通しての雑感を書いていく。


◆◆ 指名選手(支配下) ◆◆

▶ 1巡目

名前】細野晴希
所属】東洋大 【守備】左投手
長/重】180cm/86kg 【投/打】左/左

スケールの大きさは今年のドラフトで一番の投手と言って良いでしょう、秋のU-18壮行試合で158キロを計測した左腕。おそらく与四球の多さがネックになったのだろうが、もし先発でダメでも絶対的なクローザーになってくれそう。

▶ 2巡目(全体14位)

名前】進藤勇也
所属】上武大 【守備】捕手
長/重】182cm/90kg 【投/打】右/右

ここ数年で最も評価の高い大学生捕手。守備の評価が非常に高く、下級生時は先輩の古川裕大を差し置いてマスクをかぶっていた。打撃は賛否両論あり時間がかかるかもしれないが、打てるポテンシャルはある。

▶ 3巡目(全体35位)

名前】宮崎一樹
所属】山梨学院大 【守備】外野手
長/重】184cm/84kg 【投/打】右/右

大学日本代表にも選出された大学球界を代表するOF。打っては22年秋に打率.600/5HR/19打点/7盗塁と大暴れ、守備も俊足強肩でCFに留まれる能力はあるだろう。

▶ 4巡目(全体38位)

名前】明瀬諒介
所属】鹿児島城西高 【守備】内野手
長/重】183cm/87kg 【投/打】右/右

花巻東高の佐々木麟太郎らに比べると知名度では劣るものの、高校通算49HRを放った右のスラッガー。高校では主に1Bを守ったが、投手として152キロを計測した強肩でプロ入り後はおそらく3Bでも出場する事になるだろう。

▶ 5巡目(全体59位)

名前】星野ひので
所属】前橋工高 【守備】外野手
長/重】182cm/84kg 【投/打】右/右

1年夏から3番打者で起用された打力のある右打者。2年の夏大会終了後に右肘の手術を受けた事もあって高校通算16HR止まりも、最後の夏に3試合で2HRを放っている。守備走塁の意識を褒めるスカウト評も。


◆◆ 指名選手(育成) ◆◆

▶ 育成1巡目(全体2位)

名前】濵田泰希
所属】京都国際高 【守備】内野手
長/重】189cm/73kg 【投/打】右/右

粗さはあるが当たれば逆方向でも関係なくスタンドインする右の大砲候補、まだまだ細く身体作りが終わればとんでもない選手になるかもしれない。3年夏は4番RFで出場していたが、現在はSSの練習をしておりオニール・クルーズやエリー・デラクルーズの様な超大型SSになり得るかもしれない。

▶ 育成2巡目(全体21位)

名前】平田大樹
所属】瀬田工高 【守備】外野手
長/重】181cm/70kg 【投/打】右/左

2年秋に新型コロナウイルスに感染すると後遺症や髄膜炎に苦しみ今年の春までまともにプレー出来なかったが、それでも4番CFとして高校通算21HRを記録した。まともに身体作りが出来なかった事を考えれば打撃の伸びシロは計り知れない。

▶ 育成3巡目(全体24位)

名前】加藤大和
所属】帝京大可児高 【守備】左投手
長/重】190cm/79kg 【投/打】左/左

背番号11で高校での実績は少ないものの、190cmの長身から最速144キロを計測する好素材。もちろん課題も多いので時間はかかるだろうが、もし大学進学していたら4年後は上位クラスになっているはずだ。


◆◆ 指名雑感 ◆◆

中央大の西舘勇陽をクジで外し、大阪桐蔭の前田悠伍も外し、どうなるかと思ったが…稲葉篤紀GMが東洋大の細野晴希のくじを引き当ててくれたのは本当に大きい。10球団がスルーしているのは事実だが、それでもエースになり得る投手なのは間違いない。

意外だったのは細野を指名した後、支配下では徹底して野手を指名した事だ。捕手の進藤勇也・CFの宮崎一樹・1B/3Bの明瀬諒介・LF/RFの星野ひのでと各ポジションの有望株を確保した。4人ともレギュラーになれる逸材だろう。

育成ドラフトでも肉体的に伸びシロを大きく残すセンターラインの濵田泰希平田大樹を指名。どちらも将来的にはコーナーに移るかもしれないが、打撃で充分プラスを生みだせるはずだ。時間はかかるだろうが加藤大和も5年後には先発ローテ入り出来る可能性はある。


ドラフト前日に投稿したプレビュー記事の"獲得したカテゴリー"がほとんど野手の話だった事からも分かる通り、清宮幸太郎万波中正らが鎌ヶ谷を“卒業”してから野手の顔触れが小粒になりつつあったが…

まさかここまで全振りするとは。うまく育てばWARを稼げそう(=貢献度の高い)人選といい、チームの補強ポイントに合致する素晴らしい指名だったと思う。

おそらく「即戦力投手が細野だけである事」と「指名人数が少ない事」だろう。前者に関しては気持ちは分かるものの、ドラフトは長期的な視野で指名を行うものであって、近々の一軍の穴を埋める為にするものではない。

というか、そもそも上沢直之加藤貴之の穴埋めなど1巡目がいくつあっても難しい。前述の様に数年先の事を考えれば、野手のテコ入れを優先したのは理解出来る。一軍の補強はFAや助っ人に期待だ。

後者に関しては支配下の枠を多めに空ける事で、育成枠からの昇格する分を確保したのだろう。今年が高卒3年目だった松本遼大は順調に伸びているし、大卒3年目の齊藤伸治も来季ブルペンで戦力になる可能性はあると思っている。

育成ドラフトで大学や独立リーグから二軍でイニング消化出来る投手が1人か2人獲れれば良かったが、おそらく4巡目までに消えてしまったのだろう。他チームから戦力外通告を受けた投手達でカバーしたいところだ。

そんな訳で、個人的にはかなり満足度の高い指名だった。二軍のイニング消化出来る投手が獲れなかった事で“-5点”だが、100点満点で「115点」を与えたいと思う。

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