2023年ドラフトプレビューの話

早いもので明日(10月26日)、2023年のドラフト会議が開催される。今回は北海道日本ハムファイターズの指名について押さえておきたいポイントを書いていく。

詳しい方にとっては当たり前の内容かもしれないが、「興味はあるけどよく分からない」という方の役に立てれば幸いである。また、ひょっとすると解釈が違うという人もいるかもしれない。その場合は「そういう考えもあるんだ」程度に捉えていただきたい。


◆◆ 獲得したいカテゴリー ◆◆

▶ 1年目から投げられる先発候補

皆さんご存知の通り、先発三本柱のうちリーグ最多の170.0回を消化した上沢直之とリーグ3位の163.1回を消化した加藤貴之が退団する可能性がある。合計333.1回はチームの26.3%に当たる。

助っ人はどんな大物を連れてきてもアジャスト出来るかやってみなければ分からないし、FA補強はそもそも(オファーしたところで)獲得出来るか分からない。金村尚真根本悠楓ら若手も“期待”はするが“計算”は出来ない。

ドラフト指名選手はもっと計算出来ないが、候補は多ければ多いほど良いだろう。50.0イニングでも消化してくれれば儲けものだ。将来的にブルペンに回りそうなタイプでも構わないので、2人は確保しておきたい。


▶ 二遊間を守れる選手

ドラフトで加藤豪将奈良間大己、トレードで山田遥楓福田光輝、助っ人でアレン・ハンソンとこの1年間で二遊間を守れる選手を数多く獲得してきたが、それでもまだ質・量ともに充分ではない。

打撃は2年目のジンクスにぶち当たり、守備は新球場の洗礼を受けた上川畑大悟が復活すればある程度形になるだろうが…問題は二軍の方で事態はなかなか深刻と言って良い。

出場(イニング数)が最も多かったのはSSが32歳の中島卓也・2Bは29歳の石井一成なのだ。他にも郡拓也やハンソン、引退する谷内亮太もそれなりに就いており、(育成指名も含め)高校生と大学社会人を1人ずつ指名しても充分な出場機会を与えられるだろう。


▶ 好素材の捕手

現在支配下のみで8人と適性な人数はいるものの、高校生捕手を最後に指名したのが18年の田宮裕涼まで遡る。23歳の彼が最年少となっており、25~27歳という中堅どころが非常に多い。

しかもアリエル・マルティネス郡司裕也はどちらも野手として出場する事が多く、郡拓也に関しては今季ほとんどマスクをかぶっていない。編成的には歪みがある状態と言えるだろう。

デプスを埋めるための指名をする必要はないので、高評価しているのであれば気にせず大学生でも指名すべきだが、タイミングが合うなら高校生を指名するのが望ましい。


▶ 次世代の主軸候補

打てるならポジションはどこでも良いが1番分かりやすいのは1Bだ。二軍で今季100.0イニング以上就いた選手が(多い順に)福田光輝郡拓也王柏融梅林優貴という顔触れなのはやはり気になる。

一軍の1Bは渋滞気味なもののアリエル・マルティネスは助っ人な上にキューバ案件なので計算しづらく、気付けば清宮幸太郎も4年後には国内FA権を行使出来る様になる。

今年は珍しく高校生1Bが豊作であり、加えて下位や育成でも指名出来そうな長打ポテンシャルのあるOFもそれなりにいるので、1-2人確保して鎌ヶ谷で経験を積ませたい。


◆◆ 注目ポイント ◆◆

▶ 初回入札

ここまでの報道を見るに、初回入札は「大学生投手」だと思われる。候補は既に他チームが公言している青山学院大の常廣羽也斗・國学院大の武内夏暉・中央大の西舘勇陽。そして東洋大の細野晴希だろう。

19日のスカウト会議終了後に「今年のナンバーワンピッチャー」というワードが出ているが、どの投手を選んでも「うちはこういう理由で彼をナンバーワンだと評価しました」と言える投手達だ。

まだ公言されていない細野に行ってもおそらく競合するだろう、余計な駆け引きせず純粋に最も評価した投手を素直に入札して欲しい。最悪なのは一本釣りを狙ってクジを外す事である。


▶ 2巡目(+外れ)

今年のウェーバー順はセ・リーグ優先なので、パ・リーグ最下位の日本ハムは全体14番目の選手を指名出来る。昨年は全体13番目で他チームが外れ1位候補にしていた金村尚真を指名したが、今年も良い選手が残っている可能性が高い。

1巡目がすんなり初回入札の投手で決まったなら、何も考えず残っている中で最も評価している選手で良いと思う。「1.投手 2.野手」が分かりやすいが、質の高い大学生投手がまだ残っているなら「1.投手 2.投手」でも有りだ。

もし入札を外したのなら少し考える必要がある。外れで次点の投手を指名するのが基本線にはなるものの、今年の上位候補は投手の方が多い…というよりも上位候補に野手が少ない。中日がENEOSの度会隆輝の指名公言をしたなら尚更だ。

それなら外れで先に野手を確保しておいて、全体14番目の2巡目で投手を狙うプランも考えられる。野手の一本釣りを目論むチームは必ずある筈なので、そこは初回入札が出揃ってから臨機応変な対応が求められるだろう。


▶ 育成ドラフト

18年にようやく指名解禁され、ここまで「1人→3人→2人→4人→4人」と推移している育成ドラフト。ここまで3年目の松本遼大や2年目の福島蓮柳川大晟が順調に成長するなどそれなりの成果を上げているが、果たして今年は何人指名するだろうか?

今季は故障者が続出した時期に選手の一軍昇格が見送られる場面があったと新庄剛志監督がコメントしていた事と、来季から二軍に新球団が参加して試合数が増える事から、育成枠の人数は増やすべきだと考えている。

今季は投手8人・野手4人の合計12人でスタートして、シーズン中に王柏融の支配下登録。このオフは孫易磊の獲得と姫野優也の戦力外を発表したので暫定11人である。

個人的には昨年から5人増の17人まで増やして欲しい。ここからの育成落ちや支配下登録・戦力外など出入りが“トントン”と仮定すれば、育成ドラフトでは6人まで指名出来る計算だ。


▶ 北海道関連

今年も北海道関連のドラフト候補はたくさん居る。さすがに全員は難しいが有力どころをリストアップしておこう。ちなみに、報道によると日本ハムのリストに残っているのは高校生・大学生で計5人らしい。

ここでピックアップしたいのが、上位指名も予想されている星槎道都大の滝田一希と仙台大の辻本倫太郎の2人である。

黒松内町生まれで寿都高出身というローカルボーイの滝田は最終年は故障で苦戦したものの、最速153キロを計測した大型左腕。大学からすぐ近くのエスコンフィールドで深夜清掃のアルバイトをしているとか。

札幌市生まれの辻本は北海高から仙台大へ進み、大学日本代表でもプレーした168cmの小柄なSS。攻撃でも守備でもスピード感があり、サイズの割にパワーもまずまず。高校でも大学でもキャプテンを務めている。

【高校生】
札幌新陽の細野龍之介(右投手)
旭川明成の千葉隆広(左投手)
白樺学園の西村昴浩(右投手)
旭川志峯の伊地知晴(右投手)
函館大有斗の川下将勲(左投手)

【大学生】
東農大オホーツクの石澤大和(左投手)
星槎道都大の伊東佳希(右投手)
北海学園大の帯川瑠生(左投手)
東北学院大の古谷龍之介(右投手)

【社会人】
NTT東日本の片山楽生(右投手)
王子の高島泰都(右投手)

【独立リーグ】
武蔵の小野寺賢人(右投手)
徳島の宮澤太成(右投手)
高知の若松尚輝(右投手)

とりあえず有名どころはこの辺りだろうか。小野寺は宮城県出身だが、星槎道都大からトランシス(千歳市の社会人チーム)を経ているので北海道関連という事にしている。


◆◆ 指名妄想 ◆◆

それでは最後に「こんな感じの指名になってくれれば嬉しい」という妄想を書いておく、“予想”というよりも“妄想”だ。初回入札で決まった場合と外れた場合の2パターンで、選手は被らない様にした。


▶ 初回入札ver.

【1】細野晴希 LHP (東洋大)
【2】下村海翔 RHP (青山学院大)
【3】辻本倫太郎 SS (仙台大)
【4】鈴木叶 C (常葉大菊川高)
【5】佐倉俠史朗 1B (九州国際大付高)
【6】森田駿哉 LHP (HONDA鈴鹿)


▶ 入札外れver.

【1】岩井俊介 RHP (名城大)
【2】上田希由翔 3B (明治大)
【3】滝田一希 LHP (星槎道都大)
【4】相羽寛太 SS (ヤマハ)
【5】藤田悠太郎 C (福岡大大濠)
【6】篠崎国忠 RHP (修徳高)

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