人生のベクトルの見つけ方|自宅で、一人で、簡単にできる自分探しワークショップ
このnoteでは自分が年末年始に実践した「人生のベクトルの見つけ方」をご紹介します.
自宅など自分の好きなところで、一人で簡単に実施できるワーク形式の方法になっていますので、ご自身の好きなタイミングで始めることができます.
「人生のベクトル」とは、「自分が自分の成し遂げたい世界を実現するために目指す方向」のことを表しています.
今回ご紹介する人生のベクトルの見つけ方を実践することで、自分がどんなことを成したいのか、そのためにどんな方向に自分を伸ばすべきか、そして逆にどんな方向は諦めるべきか、が見えてくると思います.
本note執筆の経緯
自分はMESONというスタートアップの共同創業者で、COOとして会社の経営やプロジェクトリードに関わっています. いままでがむしゃらに経営者として働いてきましたが、ある時に採用面談の場で「小林さんは今後どんな人生にしていきたいんですか?」と質問され、うまくその質問に答えることができず、モヤモヤしていました.
その年の末、長期休暇を使って自分自身で、自分の人生をどうしていきたいかを考え、最終的に実践した方法がこの人生のベクトルの見つけ方です.
このnoteの執筆を決意する前は、「29歳にもなって人生の方向に悩んでいるのは自分だけだろう」と思って、実践したことは特に周りには話さずにいたのですが、年齢の近いチームメンバーや友人からも似たような悩みを持っていることを相談され、もしかしたらこの方法も誰かの役に立つかもしれないと思い、今回noteに公開することにしました.
ワーク終了後の完成イメージ
最終的にワークを進めていくとこのようなシートができあがります.(こちらのスクリーンショットは実際に自分がこのワークを実践してできたシートになります)
以下のURLから実際にMiro上で作成したワークシートもご覧になれます.
シートは大きく2つのパートに別れます.
前半は自分の内外にある様々な要素を評価しながら自分自身を探求するグラフパートです. このパートで自分の内側から出てくる様々な記憶や考えをプロットして、自分自身のことを理解していきます.
後半はそれらの探求の結果を自分自身の表現にして、人生の指標にするステートメントパートです. 前半で書き出した様々な記憶や考えのプロット結果をまとめて、自分なりの言葉にまとめ上げます.
このステートメントが、今後あなたが大きな意思決定をしたり、人生に悩んだときに進むべき方向を示してくれる「人生のベクトル」になります.
以下ではこれらのシートを作成するための具体的なステップをご紹介していきます.
用意するもの
・じっくりと考える時間(連休期間や年末年始、夏休みなどがおすすめ)
・ウェブブラウザが使えるコンピュータ
・オンラインホワイトボードサービス「Miro」の無料アカウント
基本的に必要なのはこの3つだけです. オンラインで実施するのが抵抗がある方は、付箋とペンを用意して、自分の部屋に付箋を貼りながら実施することも可能です.
ある程度、固まった時間を取って実施することをおすすめしているので、連休などまとまった休日が確保できる時期に実施するのがオススメです.
ワークに取り組む上での心構え
ワークに取り組む際に1つ心構えとして持っておいてほしいものがあります.
それは「しっかりやろう」としすぎないことです. しっかりやろうと意識しすぎてしまうと、細かいことに気が向いてしまったり、なかなかワークが進まなかったりせず、結果的に終わらなくなってしまう可能性があります.
このワークは一回で終了するものではなく、継続的にアップデートしていくものです. 今はっきりとはわからないものは、メモとして隅に置いておいて、時間が経った時に見返してアップデートしてみましょう.
筆者のワークシートの共有
このnoteではワークの流れをわかりやすく説明するために、ステップバイステップでワークシートのスクリーンショットを撮影していますが、スクリーンショットの画像が少し粗く、見えづらい可能性もあるので、以下に自分のワークシートの最終盤を公開します.
全体図を俯瞰したい方、細かく内容がご覧になりたい方はこちらのURLからワークシートをご覧ください.
Step1: グラフの作成
まず最初にMiroというホワイトボードサービスにログインし、新しいホワイトボードを作成します. ここではMiroの登録の仕方は割愛しますが、もしわからない人は以下のnoteを御覧ください.
Miroのテンプレートから4象限のグラフを簡単に生成することができるので、下図のようなグラフを生成してください. この中に付箋を貼っていくのでできるだけ、大きなグラフにすることをおすすめします.
グラフには「DON'T LIKE ⇔ LIKE」と「ACTION・SKILL ⇔ STATUS・OBJECTS」の2つの軸があります.
「DON'T LIKE ⇔ LIKE」はその名前の通り、好き嫌いです. これから付箋に書き出していくものが好きなのか、嫌いなのかを判断し、付箋の位置を決めます.
「ACTION・SKILL ⇔ STATUS・OBJECTS」は付箋に書き出したものが行動や能力などの能動的なものなのか、状態や事物などの受動的なものなのかという軸になります.
これから皆さんに書き出していただく付箋をこの2つの軸を見ながら、グラフの中に張り出していただきます.
Step2: 人物付箋の書き出し
それでは用意していただいたグラフに付箋を書き出していただきます. まずは人物の名前を書く「人物付箋」を書き出していただきます. (図中の青付箋)
このステップでは縦軸は意識せず、横軸のみ意識して付箋を貼っていってください.
ここでは自分の身近な人から歴史上の知っている人物まで様々な方を書いていただくことができます.
ちなみに自分のおすすめは身近な人よりも歴史上の人物を多めに書くことです. 歴史上の人物はその人の人生を客観的に評価することができ、その人のどういうところが好き(嫌い)なのかを率直に言語化しやすいです. もちろん、自分の友人知人、芸能人などでも全く問題ありません.
もし自分の知っている歴史上の人物が少ないという方は以下のようなコミック形式で過去の偉人の人生を学ぶことができる本がありますので、そういった書物を読まれてみてください.
また最近はYoutubeなどで様々な偉人の人生を紹介している動画もたくさん上がっているため、本嫌いの方、あまりお金を掛けたくない方はそういったコンテンツも参考にされてみてください.
個人的なおすすめの歴史紹介動画を以下に貼っておきます.
少しでも気になった人物がいたらその人物の名前を付箋に書き出してみてください. そしてその人物が自分にとって好きと感じたのか、嫌いと感じたのかの軸で評価し、「DON'T LIKE ⇔ LIKE」の軸の上に貼ってみてください.
この時、重要なことはしっかり評価しすぎないように意識するということです. 細かい値まで評価していると時間がかかりすぎてしまいますし、この付箋の位置はあとでいくらでも貼り直すことを前提に貼るので、基本的には好きか嫌いか、もう少し突っ込めるなら超好き(嫌い)か、それともそこそこ好き(嫌い)か、くらいの評価で大丈夫です.
15名から20名くらいを目安に書き出してみましょう. あまり一方に偏りすぎず、好き嫌いの枚数が均等になる(もしくはちょっと好きのほうが多くなる)くらいになっていればOKです.
Step3: 好き嫌いの理由の付箋の書き出し
次に「付箋に書き出した人物がなぜ好き(嫌い)だと感じたのか」という理由を洗い出していただきます. このステップでもう一つの軸、「ACTION・SKILL ⇔ STATUS・OBJECTS」を活用します.
付箋に書き出した人物の好き(嫌い)と判断した理由が「その人物の能力や、実際に起こした行動」などの能動的な要素なのか、それとも「その人物が結果としてなった状態や、その人に関わる事物」などの受動的な要素なのかを評価し、上下の軸で付箋を移動させます.
例えば、自分が実際に書き出した例では「堀貞一郎」という、日本にウォルト・ディズニーを招き、世界で初めてアメリカ以外の国でディズニーランドを招致することに成功した人物がとても大好きです.
なぜ自分は堀貞一郎さんに惹かれているのか、よくよく考えてみると彼が「ディズニーランドを日本に持ってくる」という、周りから不可能だと思われていたことを、あっと驚くようなアイデアを考え、ウォルト・ディズニーと交渉して成し遂げたという彼の才能に惹かれたんだということがわかりました.
こういった場合は「LIKE」と「ACTION・SKILLS」の象限に堀貞一郎さんの付箋を動かします. そして人物の周りに好き(嫌い)の理由の付箋を貼ります. (図中のオレンジ付箋)
この時、できるだけ理由を細かく分類して、1付箋に1つの理由を貼り出してください. そしてこのStepはできるだけ、書き出した人物全てに対して行ってください.
Step4: 自分の人生に関連する事象の洗い出し
これまでのステップでは自分の外側に目を向けていましたが、今度は自分の内面や記憶に目を向けてみます.
先程のステップで洗い出したオレンジの理由付箋を眺めながら、それらと関連するような自分の過去好きだったことやハマっていたこと、もしくは避けていたこと、トラウマなどを書き出します.
例えば、自分はキング牧師の大衆に働きかけることや人々を熱狂させた行動が好きだとことがわかりました. これらの付箋を眺めながら、ふと自分が学生時代にバンドを組んでライブをしていた瞬間がすごい好きだった記憶とリンクしました.
他の人から見ると少し大雑把なような、押し付けがましい感じもありますが(笑)、実際皆さんが取り組むときも付箋を眺めてながら、直感的に自分の記憶や経験とリンクしたものを書き出していただいて構いません.
こういった自分の人生を振り返った時に関連しそうな要素を付箋に書き出してください. (図中の緑色付箋)
これによって、自分の過去の人生で自分がとった行動や、人生を構成する要素を結びつけることができます.
このステップで書き出す付箋は全ての人物に対して行う必要はありません. オレンジ色の付箋を眺めながら、直感的に思いついた記憶や経験について書き出してみてください.
Step5: 要素をグルーピングし、自分の言葉で自分を表現する
ワークも終盤に差し掛かってきました. 次のステップではここまで書き出してきた付箋を眺めながら、近いものをグルーピングしていき、横長の付箋で自分の言葉で「自分はこんな人だった」や「自分は〇〇がやりたい(やりたくない)」など、自分の気持ち、人柄を表現してみてください.(図中の黄色横長付箋)
このステップでは自分と対話することを意識しながら、付箋を書き出してみてください.
これまでのステップで自分自身がどんなことが好きなのか、嫌いなのか、そして過去自分が行ってきた行為や経験はその好き嫌いとどんなふうにリンクしていたのかを自分なりの言葉で書き出してみることで自分のことがより深く理解できるようになるはずです.
Step6: 各象限の内容をまとめる
ここまででだいぶ皆さんが自身を探求するためのグラフも埋まってきたと思います. 一旦ここまで洗い出した内容を各象限ごとにまとめていきましょう.
「LIKE x ACTION・SKILL」、「LIKE x STATUS・OBJECT」、「DON'T LIKE x ACTION・SKILL」、「DON'T LIKE x STATUS・OBJECT」について、書き出した内容を簡単に箇条書きで書き出してみましょう.
例えば自分のワークシートでは「LIKE x ACTION・SKILL」のパートは以下のようにまとめることができました.
・人とのコミュニケーション
・驚きを与える
・熱狂を生み出す
・人々を導く
Step7: 人生のベクトルを定義する
さあ、ついに最後のステップです. これまでのステップを経て探求してきた要素を人生のベクトルにできるようにステートメントとして、自分の言葉でまとめていきましょう.
今回、自分は大きく3つの要素でステートメントを作成しました.
・得意なこと、やりたいこと
・自分の理想状態
・社会の理想状態
このステップまで進めたあなたはきっとこれらの要素を自分の言葉で言語化することができるはずです.
私自身もこれらのステップを通して、ずっとモヤモヤしていた自分の好きなことや、目指すべき世界を自身の言葉で定義することができました.
もちろん上記の3要素以外の表現で書き表すことも問題ありません.
大事なことは「自分自身の言葉で表現できること」「そしてこのステートメントを見返すことで自分がどんな成長を遂げるべきかがわかること」です.
ぜひ皆さんもこのワークを通して、自分自身が目指すべき方向、成長すべき方向である「人生のベクトル」を見つけてみてください.
筆者がこのワークを終えて
長丁場のワーク、お疲れ様でした!
皆さんも自身の言葉で自分自身を定義できたでしょうか?
最後にこのワークを終えてからの自分のことについて、少し触れたいと思います.
自分は元々このワークを実践する前は、人生はあまりゴールドリブンに考えずに、とにかくがむしゃらにやってみて、「なんでもできる」人になることが理想的なキャリアアップだと思いこんでいました.
しかし、実際にいま自分が経営しているMESONで働いて、人生は全てのことに手を付けるにはあまりにも短いこと、そして自分自身の人生のベクトルを持っていないことはあまりにも弱いということを思い知りました.
このワークを終えて、自分が様々なコミュニケーションを通して、人に驚きや熱狂、うねりを与えることが得意なことでもあり、やりたいことでもあるということに気づいてからは仕事の中でも明確に自分の役割を意識できるようになり、他人と比較することがなくなりました.
少し前までは自分がパートナー企業との交渉もできて、ものづくりもできないといけないという、一種の強迫観念のようなものに追われ、自分で何でもやらないと気がすまない状態でした.
しかし、今は「自分は人とのコミュニケーションが得意だからパートナー企業との交渉やチームマネジメントはどんどん任せてもらおう. だけど、ものづくりはもっとクリエイター気質の人に任せていこう. 」というような形で自分の役割を明確に意識して、以前よりもチームメンバーとのコラボレーションがしやすくなりました.
そして、このワークを通して自分がなりたい理想像に出会うこともできました.
自分のワークシートの一番右側に付箋で貼られているビル・キャンベルが、自分が最も理想的な経営者でもあり、人物像でもあると気付き、自分の人生の理想像として、常に意識できるようになりました.
「シリコンバレーの父」と謳われたビル・キャンベルは、世の中で広く使われているプロダクトを生み出してこそいないものの、1on1やコミュニケーションを通して、シリコンバレーの多くの起業家の中に眠る可能性に気づかせ、様々な起業家に変化する勇気を与えました. 近年、ビル・キャンベルの生き方、働き方について紹介した「1兆ドルコーチ」という書籍も出版され、話題になりました.
自分も様々なコミュニケーションを通して、人々にまだ気づいていない可能性を気づかせることができるような変化を与えていきたいと思っています.
自分が経営者を務めるMESONについて
自分が経営者を務めているMESONはARというスマホの次のメインストリームになりうる技術にフォーカスしたスタートアップです.
MESONは代表の梶谷が、自分にAR技術で起業することを提案し、自分がその想いに共感したことで始まりました.
このワークを終えて、改めて思い返してみると、このAR技術というのも技術そのものに惹かれたわけではなく、この技術を使って、人々がいままで気づくことができなかった可能性に気づくことができるようになる、そういう機会を自分が与えることができるということを潜在的に感じていたから、MESONの起業に踏み切ることができたのではないかと思っています.
人生のベクトルは、人生における大きな意思決定を言語化し、一歩を踏み出す勇気を与えてくれるものでもあるのではないかと思います.
最後に
このワークを通して見つけることができた、あなたの人生のベクトルがMESONを指していると感じた方はぜひ我々と一緒に働きましょう!
MESONで働くことに興味がある方は会社サイトの問い合わせフォームか、自分のTwitterのアカウントにDMでご連絡ください!
皆さんからのご連絡お待ちしております!
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