14.上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)

このnoteを書き始めた2020年9月には、私の病気が何なのかわかっていませんでした。しかしそのあと、2020年10月、発症から1年1か月も経ってやっと、ひとつわかったことがありました。それが「上腸間膜動脈症候群(superior mesenteric artery syndrome)=SMA症候群」であることです。

消化器官は、口→食道→胃→十二指腸→小腸→大腸→肛門と進んでいきます。
胃の次に進む十二指腸。ここに、人体の解剖学的な欠陥と言われている箇所があるそうです。腹部大動脈と上腸間膜動脈という2つの太い血管の間の、狭い隙間を十二指腸が通っているのです。

それでも本来は、十二指腸のまわりに内臓脂肪がついていて、それがクッションの役割を果たし、十二指腸を守ってくれています。
ところが、この内臓脂肪が落ちすぎてしまうと、十二指腸が2つの太い血管に圧迫されて狭くなり、食物が通過しづらくなってしまうという状態が発生します。これが「上腸間膜動脈症候群(以下、SMA)」です。

あまり患者さんの多くない病気であるためか、これまであちこちの病院にかかっても、この病気の可能性に考え至ってもらうことはできませんでした。
1年1か月の間に、内科、消化器科、婦人科、甲状腺内科、膠原病内科、自由診療の病院、大学病院、メンタルクリニックまで10以上の病院をさまよいました。その後、緩和ケアクリニックからの紹介で、造影剤を使ったCTを撮ってもらい、やっとSMAであることが判明しました。

私が自分の症状として感じていた、「食後に、お腹がふくらんで苦しくなったり、お腹の中のものがきちんと運ばれず停滞しているような、重く固い感じがしたり、それによって気持ち悪くなったりしてしまう」というのは、SMAによって生じていたようです。
2019年5月に悪化した機能性ディスペプシアによりごはんをちゃんと食べられなくなり、1か月半ほどの間に7kgも痩せてしまったことで、SMAを発症してしまったと考えられます。

とは言え、胃は回復してきてごはんが食べられるようになり、体重はほぼ戻ってきていたので、最初はこの病気であると言われても腑に落ちませんでした。しかし、症状と照らし合わせると合致すること、現に直近のCTで結果が出ていることから、徐々に納得しました。

SMAの診断基準は、狭くなっている箇所の幅が8mm以下(正常では10-28mm程度)のところ、私は5.5mm。
角度は25°以下(正常では25-60°程度)のところ、私は17°となっていたのです。

ただし、まだわかっていないだけで、もしかしたらSMAだけでなく、他にも原因はあるかもしれません。

体重は戻ってきたにも関わらず、なぜか十二指腸まわりには脂肪がついていないこと、大幅に痩せた人すべてがSMAになるわけではないことから、「痩せた」だけではなく、元々の十二指腸と血管の位置関係や角度、内臓脂肪の落ちやすさ・つきにくさといった他の要素も影響があるのではないかと思います。
しかし、なぜSMAになる人とならない人がいるのか、そしてどのように治療したら良いのか、この病気については、あまり明確に解明されていないようです。次のnoteに続きます。


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