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仮住まいでも住んでいる間は住まい。

 私は今まで6つくらいの賃貸に住んできました。思えば、ハズレ物件みたいなのはほとんどなくて、物件に恵まれてきたと思います。ただ、そのなかでも不満があった物件はあることはあり、それが今のリフォームへの気持ちの入り方につながっているような気がします。

 大学の頃はごく一般的な1K。20m2そこそこでしたが、今思うと不思議なくらい十分でした。その物件は基本的には大学生ばかりだったと思うので、変に気をつかうこともなく。ただ、ある日上の階に部活の後輩が住んでいると知ったときは驚きました。

 社会人になって初めて住んだのは、同じく1K。なのですが、カウンターがあるところがお気に入りポイントでした。通勤があるので立地と、給料も高くはないので家賃は抑えめで、そして料理が好きなので二口コンロは外せない。そんな条件で探していてたまたま見つけたキッチンカウンターに一気に惹かれて決めました。
 結局カウンターはほとんど物置のように使っていましたが、こういうワンポイントは暮らしに楽しみをくれるものだと思います。
 洗面台がなかったので毎日風呂場で顔を洗っていてそういうのも不便と言えば不便でしたが、不満というほどでもなく。裸足を濡らしながら毎朝顔を洗ってヒゲを剃っていました。

 その後も、まさかの築50年だけど、眺望抜群の部屋に住んだりもしました。二十年前くらいにリフォームしたであろう設備はもちろん新しいわけではありませんが、十分でした。
 古い物件に特有の、押入れサイズの大きな収納や異様に広い玄関土間はとても便利だったことを覚えています。土間が大きいとベビーカーが置ける。アクア技研のアパートでもそういう便利さが提供できないかと考えてはいますが、玄関を広げるのは難しく...。残課題です。
 風が強いと窓がものすごくガタガタしたり(割れるかと思いました)、台風が来ると窓の隙間から雨が侵入してきて雑巾を詰め込んだりしたこと以外は、特に大丈夫でした。
 しかし、ある日まさかの取り壊しの通知が...。まだまだ住めるし、まだまだ住む気だったのですが、今では新しいマンションが建っています。

 そのすぐ後に引っ越したのが、少し不満がある新築のマンションでした。立ち退き期限があったのでゆっくり探している時間もなく、そこに決めました。
 基本的な設備は揃っているし、新築だから衛生面も問題はありません。アクセントクロスなんかも使っている。なのですが、要所要所に使いにくさがありました。
 ベランダの洗濯物干しは低いところに付いていて太陽が当たらないし、室内物干しが付いているのはいいけどちょうどソファの真上にあっていつも洗濯物が目の前にありました。エレベーターは小さくて、ベビーカーを入れてから持ち上げて横にしないとドアが閉まらない。機密性が高すぎてキッチンの換気扇が効かないから、換気扇を回すときは窓を開けなければならない。玄関入ってすぐの洗面所入口の扉が開き戸だから通行の邪魔になる、引き戸にするだけで邪魔にならないのに...。
 ここらへんにしておきましょう。結局この物件は、住み始めてすぐに「次を探そう」となって早々に引っ越しました。

 どんな物件も住めば都なんて言われることもありますが、こうして振り返ると、そうとも言えないよなと思ったり。気に入って住み始めることが一番ですし、やっぱり住む人のことが考えられていないといけない。せっかく時間とお金をかけて引越したのに、腰を落ち着ける間もなく次の住まいのことを考えなけれないけないのは残念です。
 最新だからいいというわけではない、新しくても古くてもそれをどう使うか・どう組み合わせるかで暮らしの満足度や快適さが大きく変わります。賃貸だから仮住まいになるかもしれないけど、そこに住んでいる間は賃貸だろうと持ち家だろうと過ごす時間に変わりはありません。全てにおいて満足のいくようにというのは難しいですが、住む人にとってどうか・どんな暮らしになるのかには想像を巡らせていきたいと思っています。

(吉田)

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