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9. 愛について

人間関係や個人と他者の関係性に関連して、恋愛について自分の考えを少し整理したい。

恋や愛にはさまざまな定義があると思うが、ここでは平野啓一郎さんのものを引用したい。平野氏は「分人主義的恋愛観」において、恋は「一時的に燃え上がって、何としても相手と結ばれたいと願う、激しく強い感情」とし、愛を「その人といる時の自分の分人が好き」という状態で、他者を通した自己肯定感だと説明している。

「あの人が好きな自分でいたい」というように、主観的な自己像や理想だけを頼るのではなく客観的に自己を見つめ直し、お互いが理想とする「分人」の”すり合わせ”をする必要があるということだ。

私が最近自身の体験を通して感じたことは、一方通行で身勝手な片思いは非常に迷惑であるということだ。相手に勝手に「理想の自分」を造られて、モチベーションになっていたことや魅力を感じていることを熱心に伝えられても、その分人は私ではない。それはただ相手にとって最も都合の良い私の分人もどきでしかない。アイドルを崇拝したり俳優を推したりする際には許される行為かもしれないが、私の恋愛観には沿わない。

物理的に近い距離感で一緒に過ごした時間や話した回数が少なかったこともあり、私の何を知っているのか疑問に思った。また言うまでもないが、「その人と一緒にいる時の自分が好き」と感じたことはない。「私の理想になるために努力する」「価値観をすり合わせていきたい」と言われたところで、全く響かないのが本音だ。

そしてこういった恋愛は長続きするはずがない。そんなものは向こうが感じた一方的で短期的な刺激や快感で、「恋」ではあっても「愛」ではない。そういった刺激や快感に依存し、他人のことを考えずに突き進んでいく。それは迷惑でしかない。

恋愛はもっと軽くあるべきで、こんなに真面目に考えていては何も始まらないという指摘もあるかもしれないが、こういった本質的なもの考えながら恋愛をする必要があると私は思う。




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