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思想・哲学・宗教・人物(My favorite notes)

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思想・哲学・宗教など心や意識をテーマにしたお気に入り記事をまとめています。スキさせて頂いただけでは物足りない、感銘を受けた記事、とても為になった記事、何度も読み返したいような記事…
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2023年5月の記事一覧

「アラヤ識」と「五蘊」について

 ベルクソンは、脳の中に記憶があるのではないと言っている。脳は物質であり、イマージュである。対して記憶は純粋な即自存在であり、物質ではない。したがって物質である脳の中に物質ではない記憶が保存されているというのはナンセンスである。記憶自体は物質的変化と関係なく、永遠に無傷のまま宇宙の”どこか”に保存されている。脳はただ記憶を現在の知覚へと送り出している仲介機能を果たしているにすぎない。だから脳が破壊されても記憶自体がなくなることはないという。ではいったい記憶はどこに保存されてい

心のトレーニング(全訳)

アチャン・チャー ●この法話は、1977年3月、バンコクのワット・ボーウォンニウェートで、西洋人の比丘たちに対して語られたものです。  アチャン・マンやアチャン・サオが活躍していた時代の生活は、今日よりもずっとシンプルで、複雑なものではありませんでした。当時の比丘たちは、行うべき義務や儀式がほとんどありませんでした。彼らには僧院のような定住する場所もなく、皆森の中で生活をしていました。ですから、一日中、瞑想の実践に専念することができたのです。  当時は、現在では当た

【書評】近藤康太郎『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾』(CCCメディアハウス)

◎〈善く、生きる〉ために、書く 本書は、「書くこと」について、小手先の技術を披露するハウツー本ではない。むしろ逆に、そのような小手先の技術を排して頼らず、〈自分の目で世界を観察し、観察したものを自分の言葉で言語化すること〉を読者に促す書である。 本書がそう促すのは、なぜか。副題にあるように、それはすべて、私たち一人ひとりが〈善く、生きる〉ためである。この〈善く、生きる〉ことと、自分の言葉で言語化することが、本書においてイコール関係で結ばれる。さらに言えば、そのイコール関係