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とき子のインナートリップ ~ 直江幸法の瞑想体験 ~

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この記事は私の母の瞑想体験です。全12話、2001年 1月公開です。彼女が見てきた景色は、私のそれともオーバーラップしています。けっして恵まれた境遇とは言えなかった彼女が、その現… もっと読む
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記事一覧

12. 天啓 … とどけ!

天啓 … とどけ! とどけ! まだ見ぬ人達へ  私は21世紀を目の前にしてこの2000年12月、50歳になった。ホームページを作ることになったのは3、4年前、天空に鳴り響く声を聞いたことに始まる。  この啓示を受けてホームページ作りに取り組んだ私は、パソコンの操作法も知らず、いまだによくのみこめていない為、長い時間を必要とした。まさに、強く意図せよ。という言葉がそれを暗示していたのだろう。いろいろな人達の協力を得て、ようやくなんとかなりそうなところまで漕ぎ付けたように思う

11. 視覚化 … パワーシンボル

視覚化 … パワーシンボル パワーシンボル リンクするイメージ  私はイメージの真っ只中にいた。イメージ瞑想は数々の納得と自覚を私に促し始めていた。―― 山田先生の瞑想誘導に拠り、自分自身を内なる導師として視覚化した。無限なる万能なる自分自身、内なる導師、所謂、高次元の自己との交流を試みる。  喉の具合を良くするにはどうしたら良いのかとたずねた。紅茶でうがいをするようにという答え。馴れていない私は思いがけない答えを信じられず、実践する事もなく通りすぎて、随分と経ってからテ

10. 変わり目 … 集中から拡大へ

変わり目 … 集中から拡大へ 集中から拡大へ 自分をここに開いて発信しよう  私はヨガ講師をしている。あのクライシスの体験で心身がバランスを欠き、バラバラになっていると感じた時に出合ったヨガである。やり込んでいくに連れて、自分の内側から前へ前へと押し出されて、ヨガを通して誰かの役に立てたらいい、あれを伝えられたらいいと思うようになっていった。プライベートな部分では安定した瞑想生活を続けていた。  40才を過ぎた頃、新宿の路上で見知らぬ女性から声をかけられた事があった。「今

9. Who am I … マーヤー

Who am I … マーヤー Who am I マーヤー 見る者であり、ある者  私はようやくあのパニック状態から脱しつつあった。私の内側は輝きつづけ、私はその輝きに吸い寄せられた。もう何もいらない、私はもうこれでいいんだ、これこそ私のすべて、この為に私は生きている。思うより先にそうであった。そして肉眼で見る外の景色は白黒の世界が展開していった。あれほどいとおしくわが身同様であった子供達が、夫が白黒であった。何もかもが白黒であった。現実と思っていたものがモノクロの幻であっ

8. クライシス … クンダリニー

クライシス … クンダリニー クンダリニー 私という枠のたががはずれる  この頃、私の瞑想タイムは朝九時からおよそ一時間、日によって多少前後する程度、更に時間に余裕があれば随時座るという形で進んでいた。その日もいつものように座り、そろそろ終わりにしようと思っていた矢先の出来事だった。尾低骨の辺りにしびれるような感覚を感じた。同じ姿勢で座っていたせいで痺れてしまったのかなと思ったが、その感覚は少しずつ上に上がってきた。まるで尺取虫が背骨をゆっくりと這い上がるように少しずつ少し

7. 回帰 … 光曼荼羅

回帰 … 光曼荼羅 光曼荼羅 起きあがる神人  時間がありさえすれば瞑想に没頭するという日々が続いていた。何をするより先にまず瞑想を行った。私の頭の中は瞑想と瞑想に関連する事柄で一杯だった。どのように進めていけば良いのか常に考え、あのようにしてみようこのようにしてみようと思案した。  私はまず、瞑想が順調に進むことを祈った。心の中から「私を導いて、導いて。」と自然に言葉があふれ出て私は泣いた。それは私にとって唯一の自分の中から溢れ出す真実の言葉だった。また、反復の作業の体

6. 瑞兆 … 瞑想へ

瑞兆 … 瞑想へ 瞑想へ 涌きいづる命の泉  今まで幾度か瞑想という言葉を目にはしていたものの、いつも通りすぎていたものにはじめて真正面から対峙した 20代後半。私の目的は自分の心の中をきれいにする事、そしていつも感じてしまう「何かある」のあの「何か」の正体をつかむ事。私は未知の大陸へはじめて足を踏み入れた探検者と同じ、道しるべも何もない大地を慎重に用心深く1歩また1歩と足を踏み出す。  一番初めにおこなったのは数息観と随息観であった。これはゆったりと座り息をゆっくり吸

5. カルマ … 悪夢

カルマ … 悪夢 悪夢 意識の深淵からそれは湧き起る  様々な想いが私の中で浮かんでは消えた。自分に起きている現象の真実を考えれば考えるほど私たちには見えていない大きな何か、眼に見えている世界とは別の世界か次元かが実はあるのだと想えてしまう。たとえ、私に反復の作業で念力がついたのだとしてもそこがなければやってこないではないか。いつのまにか苦しかった悲しかった頃を忘れて眼に見えていない私達の根底に横たわる何か、何者かを追いかけ始めていた。  しかし、身震いするような落とし穴

4. 蒼いろ … シンクロ

蒼いろ … シンクロ シンクロ 心の中と外の世界は繋がっている  先の一件で強烈なインパクトを与えられた私に、今まで疑うことなく通りすぎてきた我々が住むこの現実を改めて見直さなければならない時期が迫っていた。  それは露草から始まった。最悪の状態をようやく脱し気持ちに余裕が生まれたある朝、夏の盛りを過ぎた秋口の朝のことである。早朝、一人散歩に出た。朝の静まり返った空気の清清しさに私の呼吸は深く気持ちは穏やかに冴えていた。こみちを歩く私の目にふと、露草の花が飛び込んできた。

3. 真言 … 求めよ、さらば与えられん

真言 … 求めよ、さらば与えられん 求めよさらば与えられん あなたの思いは現実となる  私は変わりたいと思った。その為に今の私に出来ることはなんでもやってみようという気持ちになっていた。自己啓発書の多くは意識改革や自己強化、願望実現などを取り扱っていた。それらによーく目を凝らしてみると様々なやり方を取ってはいるが基本的には同じ流れにそって行われていることに気が付いた。すなわち潜在意識への働きかけが行われているのだ。それが言葉だったりイメージだったりする。私は自分に出来そうな

2. 螺旋 … うちなる声に導かれて

螺旋 … うちなる声に導かれて 内なる声に導かれて 出来るところから始めよう  それは思いも拠らない心の奥底から飛び出した一つの想念だった。――出来るところから始めればいいじゃないか―― そうだ、出来るところから始めれば良いのだ。そう思った途端、この想いが私の中を占領した。そしてつい先程まであったあの苦しみが跡形もなく消えてしまったのだ。そこにあったのは心の変化であり、状況にもう負けてはいない私自身であった。この日を境にして私の人生は急カーブを描いたようだ。とはいっても事態

1. 混沌 … 泣きたい時は泣いてもいいよ

混沌 … 泣きたい時は泣いてもいいよ 泣きたい時は泣いてもいいよ でも自分を信じて、明日は必ず来る  20代は悲しみと共に幕を開けた。余りにも幼すぎた私が挫折感を味わうのは当然のなりゆきだったのだろう。若くして結婚した私は長男の出産後、ときを待たずして夫の心変わりを知った。傷は深く人間不信はその極みに達し長いこと立ちあがれないでいた。足元の大地が崩れ行く、白い風が体の中を駈け抜けて、もう戻れないという喪失感。夕暮れの闇に遠く小さな灯りが浮かぶとたまらずに一人泣いたものだ。そ