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3. 真言 … 求めよ、さらば与えられん

とき子のインナートリップ ~ 直江幸法の瞑想体験 ~
 この記事は私の母の瞑想体験です。全12話2001年 1月公開です。彼女が見てきた景色は、私のそれともオーバーラップしています。けっして恵まれた境遇とは言えなかった彼女が、その現実に向き合っていく様は、私にとっては大きな導きのひとつでありました。ヨーガと瞑想を通じて人生を切り開いていった母の心の風景、お読み頂けましたら幸いです。

真言 … 求めよ、さらば与えられん


求めよさらば与えられん
あなたの思いは現実となる

 私は変わりたいと思った。その為に今の私に出来ることはなんでもやってみようという気持ちになっていた。自己啓発書の多くは意識改革や自己強化、願望実現などを取り扱っていた。それらによーく目を凝らしてみると様々なやり方を取ってはいるが基本的には同じ流れにそって行われていることに気が付いた。すなわち潜在意識への働きかけが行われているのだ。それが言葉だったりイメージだったりする。私は自分に出来そうなものを選んで慎重に用意周到に組み立てた。結果は見事であった。私は成功したのである。

 まず初めに、自分の望みを箇条書きにした。ついでそれらをまとめて一つの文章とする。次に既に出来上がっているものと仮定し、喜びの感情表現なども組み入れイメージしやすいように再度文章化した。更に、それを大きな枠の中での出来事として捕らえられるように仕上げた。最後にこれは自分の出来事だという受け入れの強化と肯定を行ったのだ。後は仕上げた文章の反復作業が必要であったがこれがとても辛い作業となった。現実は幸せでもないのに幸せだと夫と一心同体だという文章と現実のギャップに泣いた。泣きながら投げ出しそうになりながらも繰り返し、繰り返し朝から晩までお題目を唱えるように繰り返した。反復作業を繰り返すなか、日を追う毎に私の気持ちは澄んでくるようだった。そして次第に無心になりただひたすら繰り返している自分があった

 それから1ヶ月ほど、我が家の状況が180度変わってしまったと、私が感じるくらいに驚くべき変化が現われた。夫は戻り、私たちは一息つける状態となったのだ。風邪をひくのも夫と一緒だったのには笑ってしまった。私は物事の不思議さを感じずにはいられなかった。あれのなにがこれをするのだろう、一体、この世の中はどうなっているのだろう、私達の住んでいるこの現実とは何なのだろうと答えの出ない答えを追いかけた。ともかく、この時点でわかったことは選択することの重要さである。曖昧にせずに強い意志で幸せなら幸せを意識して選び取るのだ。自分が選び取るのだ。弱い自分を感じたら強化する作業をすれば良い、納得がいくまでやれば良い。そうすることでそれは自分の元にやってくる
――これを私は知っているという思いが私を強くさせた。



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