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2. 螺旋 … うちなる声に導かれて

とき子のインナートリップ ~ 直江幸法の瞑想体験 ~
 この記事は私の母の瞑想体験です。全12話2001年 1月公開です。彼女が見てきた景色は、私のそれともオーバーラップしています。けっして恵まれた境遇とは言えなかった彼女が、その現実に向き合っていく様は、私にとっては大きな導きのひとつでありました。ヨーガと瞑想を通じて人生を切り開いていった母の心の風景、お読み頂けましたら幸いです。

螺旋 … うちなる声に導かれて


内なる声に導かれて
出来るところから始めよう

 それは思いも拠らない心の奥底から飛び出した一つの想念だった。――出来るところから始めればいいじゃないか―― そうだ、出来るところから始めれば良いのだ。そう思った途端、この想いが私の中を占領した。そしてつい先程まであったあの苦しみが跡形もなく消えてしまったのだ。そこにあったのは心の変化であり、状況にもう負けてはいない私自身であった。この日を境にして私の人生は急カーブを描いたようだ。とはいっても事態が変わったわけでも特別なことが出来たわけでもなく私に出来たのは本屋での立ち読みぐらいだった。

 明日の自分を思い描くことすら考えることすら出来ない人生だからこそ明日の自分を知りたいと思った。私は星占い西洋占星術に懲り、直にホロスコープを作り読み取れるようになった。私の天宮図は逃れようのない不幸と悲しみを物語っていた。が、読み取りを深めていくとそれで終わる生まれではなく知恵で切り開いてゆけるとでていた死は安らかな形でやって来る…。それで充分だ、これで生きてゆけると私は気持ちを強くした。占いはナンセンスだという人もいるが私はそうは思わない。強くありたいと思っても心迷う時期だってある、弱い人間にとっては人生の方向を指し示す道標だったりもする。

 私の興味の対象は次第に心理学の本、哲学書、自己啓発書などに移行していき、わずかながら見えてくるものもあった。自分を閉ざし欺瞞の中で生きるのはもうよそう。やっていけない事など何もない、求めていけないものなど何もない、自分を大事にし、自分に素直であることが大事なんだ。ただ因果応報の法則が私たち一人一人を貫いていてより良い選択をした方が良いと言う事なのだ。それが自分にとって得策だと言う事だ。そして何より先にまず自分が人を愛すると言う事なのだ。



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